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異世界転移したら勇者じゃなくて「※注意書き」だった件

作者: 鱈場蟹
掲載日:2026/04/10

「ピンポーン」


「休日の朝から誰だろ」


俺は玄関を開けた。


「異世界転移のお知らせでーす」


「は?」


気づいたら異世界にいた。

ふざけんな。


「おい誰か説明しろよ!!」


とりあえず叫んでみたら、近くにいた兵士っぽいやつがビクッてした。


「ひっ!?しゃ、喋った!!」


いや喋るだろ人間なんだから。


「お前、誰だよ」


「お、俺は王国騎士団の者だが……その……お前が例の……」


例の?なんだよその言い方。


「今回召喚された“注意書き”か……」


「……は?」


ちょっと待て。


今なんて言った?


「勇者様の横に表示されるやつだろ、“※この先ボス戦です”みたいなやつ」


「いや俺人間なんだけど」


「でもお前、体見てみろよ」


言われて自分の体を見た。


……あれ?

なんか薄い。

てか、透けてる。

いや透けてるっていうか、なんか……表示されてる?


「は???」


視界の端に自分がいる。

いや違う、俺そのものがUIになってる。


「いやいやいや、ちょっと待てって」


俺、空中に浮いてるし、四角い枠に囲まれてるし、フォントがやたら綺麗だし。


「なんだこれ!!」


「落ち着け、説明する」


騎士がため息ついた。


「この世界では、勇者召喚の際に“サポート表示”も一緒に呼ばれることがある」


「それが俺?」


「そうだ。過去には“チュートリアル妖精”とか“ミニマップ”とかいたらしい」


いや俺その並びに入るの?


「ちなみにお前の役割は――」


騎士が俺を見ながら、読み上げるように言った。


「“重要な情報を分かりやすく表示する”」


「地味すぎるだろ!!」


勇者どこだよ勇者!!


「で、その勇者様は?」


「さっき来た」


はやいな。


後ろ振り返ったら、なんか普通の高校生みたいなやつが立ってた。


「うわ、すげぇ……ほんとに出てる……」


お前かよ。


「俺、佐藤だけど……」


「奇遇だな、俺も佐藤だよ!!」


なんだこの地獄。


「え、じゃあ俺が勇者で、お前がその……説明文?」


「言い方!!」


いや間違ってないけどさ!!


「とりあえず進むか」


軽いなこいつ。


で、城の外出た瞬間、


俺の中に“表示したくなる衝動”が湧いた。


やばい、これ勝手に出るやつだ。


『※この先、スライムが出現します』


「うわ出た」


勇者が笑ってる。


「いや俺の意思じゃないからなこれ!?」


「便利だな」


便利で済ますな。


で、案の定スライム出てきた。


勇者が剣でサクッと倒す。


つえぇな。


その瞬間、


『※スライムは火に弱いです』


「遅ぇよ!!」


「知ってるよもう倒したよ!!」


くそ、タイミング最悪。


なんだこれ。


「役に立ってんのかお前?」


「俺に言うな!!」


で、しばらく進んでいくと、洞窟に入った。


なんか雰囲気的にボスっぽい。


嫌な予感しかしない。


案の定、でかいドラゴン出てきた。


「おお、ボスだな」


冷静だな勇者。


いや俺は冷静じゃない。


来る、表示来るぞこれ。


頼む、ちゃんと役に立つやつ来い。


『※このボスは強いです』


「知ってるわ!!!!!」


「ざっくりしすぎだろ!!!」


いやほんとごめん。


俺も今絶望してる。


勇者が戦い始めた。

結構押されてる。


やばい、これ普通に負けるぞ。


なんかないのか、俺にできること。


頼む、頼むからまともな情報出ろ。


その時だった。


なんか、今までと違う感覚がきた。


これは……


出る。


『※このドラゴン、実はお腹が弱いです』


「は?」


勇者が止まった。


「え?」


「試すしかないだろ!」


勇者が思いっきり腹に斬撃入れた。


ドラゴン、


「グオオオオオオオオオオ!?」


めちゃくちゃ苦しんでる。


え、効いてる!?


「マジかよ!!」


勇者が追撃。


そのまま倒した。


「勝った……」


すげぇ。

俺、初めて役に立ったかもしれん。


「お前、やるじゃん」


「いやたまたまだろこれ」


でもちょっと嬉しい。


その時、


俺の中に“何かが更新された”感覚があった。


『※レベルアップしました』


「俺が!?」


「お前も成長すんのかよ」


なんだこれ。


ステータス的なもの見てみる。


【注意書きLv2】

・表示速度:↑

・情報精度:↑


「うおおおお!!強化されてる!!」


「地味に強くなってんな」


地味言うな。


でもこれ、もしかして。


ちゃんと成長すれば、めちゃくちゃ役に立つんじゃないか?


「なあ勇者」


「ん?」


「俺、最強の注意書きになるわ」


「なんだそれ」


「世界で一番、分かりやすいやつ」


勇者が笑った。


「じゃあ俺は、その説明通りに最強になるわ」


意外といいコンビかもしれん。


ーー洞窟を出てから数日。


俺たちは順調だった。


『※右の宝箱はミミックです』


「危ねぇ」


回避。


「お前、普通に有能じゃね?」


「だろ?」


進んでいると、また表示が出た。


『※この先、安全です』


「お、珍しく何もないのか」


その瞬間。

ズボッ


「え?」


勇者が地面に消えた。


「は?」


落とし穴だった。


「おい!!!!!!!!」


下から声。


「全然安全じゃねぇじゃねぇか!!!!」


「知らねぇよ!!俺も初めてだよ!!」


しばらくして勇者が這い上がってきた。


「お前……信用できねぇな」


「ぐっ……」


初めて言い返せなかった。

その時、


『※訂正:この先、安全ではありません』


「遅ぇよ!!!!!!」


冒険をするにつれて、レベルもどんどん上がっていく。


【注意書きLv5】

・表示速度:爆速

・情報精度:かなり高い

・たまに余計なことも言う


最後なんだよ。

でもまあ、ほぼ完璧。


俺、ついに気づいた。


これ、実質チートだわ。


勇者も明らかに強くなってる。


「これ魔王余裕じゃね?」


「油断するな」


とか言いつつ、内心ちょっと思ってた。


いけるなって。


ーーで、来た。


魔王城。


いかにもって感じの黒い城。


空もなんか紫。


テンプレすぎて逆に安心する。


「行くか」


「おう」


ーー中に入る。


嫌な静けさ。


俺の中で、警告がビリビリ来てる。


来る――


『※この先、魔王がいます』


「知ってるわ!!!!」


……いや、違う。


なんか、いつもと違う。


表示が、もう一つ出る。


『※候補①:魔王は正面からの攻撃に強い』

『※候補②:魔王は魔法耐性が高い』

『※候補③:魔王は昨日、寝不足です』


「増えた⁈」


ーー玉座の間。


魔王がいた。


でかいし、いかつい。

めちゃくちゃ強そう。


「よく来たな、勇者よ」


低音ボイス。


圧やばい。


「ここで貴様の旅は終わる」


勇者が一つ聞く。


「昨日寝不足ですか?」


魔王が驚いた。

勇者も驚いた。


「マジか?」


試しに連続攻撃。


入る。


めっちゃ入る。


「グッ……!」


魔王、明らかに反応遅い。


「おいこれ……」


「連続攻撃で押し切ればいける!!」


そこからはゴリ押しだった。


勇者、連撃。

魔王、防御間に合わない。


そのまま――

撃破。


「勝った……」


静寂。


そして、


「……いや、なんでだよ」


勇者がぽつり。


「いや俺も分からん」


寝不足で負ける魔王ってなんだよ。


威厳どこいった。


何はともあれ、世界は救われたらしい。

らしいっていうか、実感ない。


「終わったな」


「終わったな」


ちょっとだけ、間が空く。


「で、お前どうすんの?」


「俺?」


考える。


元の世界に戻るとか、そういうのあるのかと思ったけど、何も起きない。


ーーその時だった。


突然、俺の視界にウィンドウが出た。


でかいやつ。

今までとレベル違う。


『※チュートリアル終了』


「は?」


『※これより本編を開始します』


「いや待て待て待て」


勇者も固まってる。


「今までなんだったんだよ」


『※現在の難易度:EASY』


「は?????」


EASY???


あれで???


魔王倒したよな???


『※本来の魔王は別にいます』


「ふざけんな!!!!!!」


『※先ほどの魔王は中ボスです』


「中ボス寝不足かよ!!!!」


設定雑すぎるだろ!!!


その時、さらに表示が出た。


今までで一番でかいやつ。


『※課金することでヒント精度が向上します』


「来たな」


「来たなじゃねぇよ!!」


「異世界で課金要素出すな!!」


「いくらだよ!」


表示された。


『※月額980円』


「現実と変わんねぇじゃねぇか!!!!」


しかも円。


通貨そのままだ。

夢壊すな。


勇者が肩叩いてきた。


「どうする?」


「どうするも何も……」


ちょっと考える。


……いや、考えるまでもない。


「課金するわ」


「するのかよ!!」


「だってこのままじゃ絶対また“寝不足”とか出るぞ」


「それは嫌だな……」


結局。


俺は課金した。


異世界でサブスク契約した。


ーー数分後。

新しい表示が出た。


『※広告を表示します』


「は?????」


空に、でかいバナーが出た。


【今なら勇者スターターパック!】


「うるせぇ!!!!!!」


「戦わせろ!!!!!!」


結局この世界、

一番強いのは魔王でも勇者でもなく――


“運営”だった。

ここまで読んでいただきありがとうございます!


「もし自分が異世界で“説明文”だったらどうなるんだろう」

という思いつきから書いてみました!

最初は完全にネタのつもりだったんですが、

書いていくうちに意外と成長要素もあって、まともな小説になっていました(笑)

少しでも面白いと思っていただけたら嬉しいです!

連載小説も書いているのでそちらも是非!

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