6話 一件落着って事で!
「足元に気を付けてくださいませ・・・」
「あ、はい」
(レオルドの野郎・・・メイティと手なんか繋ぎやがって!!!)
レオルドが家に来てからというものの、この野郎メイティに色目を使いやがって!!!??
俺達3人は中庭を散歩していた。
綺麗な花の道をレオルドがメイティの手を引いて歩いているのが気に障る!
そんな俺はただそれを後ろで見ているだけ・・・
こんな理不尽で不公平なことがあってたまるか!!!
この野郎、こうなったら"弱み"でも握ってやる!!
◇◇◇
そう思って俺はレオルドの弱みを探る事にした。
最初は苦手な食べ物を探ろう敏江、得意のおにぎりで攻撃してみたが、どの具材にも反応はなく美味しくいただきやがった。
「このおにぎりというのは美味ですね!」
「それは、クリスの大好物らしいのです」
「君って確か養子だったよね?君の故郷の料理はいい味だね!」
「そ、それはどうも・・・具材によっては美味しさも変わりますので・・・」
俺は引きつった笑顔でその場を我慢した。
次にレオルドはお返しとして自分が料理をしだした。
出来た料理はどれも美味しかった!!
「レオルド様ってお料理されるのですか?」
「ええ、実は趣味なんです」
(こいつ料理も出来んのかよ!?)
今度は音楽を披露するとか言い張ってピアノとバイオリンを弾いて来た。
レオルドって、完璧人間かよ!?
◇◇◇
結局のところ、レオルドに弱みらしい弱みは見えなかったな・・・
俺が甘かった・・・。
攻略対象には元々"弱み"というか苦手な物なんてなかったのかもな・・・。
というか、そういう設定がなかったからかもな・・・。
俺は完全に諦めモードになった。
もうレオルドしかいねえのかな・・・メイティの隣は・・・。
「ぎゃあああああああああああああ!!」
「ん?」
「どうなされたんですか!?」
レオルドの悲鳴が聞こえた。
駆けつけると、意外なことがあった。
レオルドの肩に小さな蜘蛛が乗っていた。
でもレオルドは怯えちまっている。
「た、助けてください・・・」
「しかたないな・・・」
呆れつつも蜘蛛をなんとか肩から引き離してやった。
「あ、ありがとうクリスト君!」
「あ、ああ・・・」
レオルドは泣きながら感謝して来た。
こいつもしかして・・・。
「レオルド様は虫が苦手なのですか?」
「はい、お恥ずかしながら・・・見た目も動きも気持ち悪くて・・・」
(なんだ、苦手な物あったんじゃん!)
安心していいのか良くないのか分かんねえが、レオルドの意外な一面が見れた気がして楽しいな・・・。
こいつ、メイティの婚約者候補ってだけにむかつくが、一緒に居るとおもしれえな・・・。
「クリスト君、君は恩人だよ!なにかお礼でも・・・」
「いいよお礼なんて、なら僕の事は以後クリスと呼んでください!あと呼び捨てでお願いします!」
「え?」
「あらまあ、クリス、レオルド様が気に入ったみたいですね!」
「・・・分かったよ、クリス!」
こいつの事は気に食わねえけど、良い友達になれそうだな・・・。
これでメイティも少しは・・・
「では、レオルド様、私の事も"メイティ"と呼んでいただけますか?」
「はい?」
(結局そうなるの~!!!!!!)
◇◇◇
こうしてレオルド達エルヴィン家は帰って行った。
許嫁としての件に関しては改めて話し合う事になった。
とりあえず一件落着って所だな!