第八話 魔術師狩りの噂
「そういえばまた出たんだってな魔術師狩り、先週も隣の学区でレベル2の学生がやられたってさ」
「どうやれば魔術師を狩ることができるんだよ」
「なんでもスナイパーライフルの弾に『エンチャントウエポン』を掛けて遠距離から狙撃だってさ。幸い急所は外れていたんで、『プロテクト』と『キュア』を唱えて無事だったらしい」
「怖いなそれは、どこのテロ屋だ?」
「朝鮮解放戦線ていうところらしいぜ、犯行声明があったってさ」
それから数日はサラとの話し合いで過ごしたような物だ。こちらの考えていることがある程度分かるらしい。考えていることが筒抜けじゃなければいいなぁ…
そんなある日職員室に呼び出され、国家公認魔術師の都合がついたと言うことを告げられた。
「相手がすごく興味を持っていたようでな、明後日の土曜日にどうだ。と言う事で話がまとまった」
と斉藤先生が言う。先生もこんなに早く話がついたが不思議に思っているらしい。それは俺も一緒だが。
「急ですね」
「俺もこんなに急に決まるとは思わなかったよ」
「上で何かあったんですかね」
聞くだけ聞いてみると。
「マジックマスターの一人、後藤鉄二郎氏が亡くなったらしい、大往生だったらしいがな、繰り上げ人事で大変だろうにお前を見に来るそうだ。それでもお前には関係ないだろうがな」
それで最近ニュースとかが騒がしかったのか。政界も変動するな、こりゃ。
「ご苦労様ですね、そんな忙しいときにレベル0の魔力検査だなんて」
斉藤先生は。
「だからこそとか言っていたな、何のことかは分からんが。お前何かやったか?」
不審な表情で言う。心に浮かんだのはサラのことだが、顔に出さずに。
「まさか、一般の高校生に何ができるって言うんですか」
タイミングがよすぎるな、後でサラに聞いてみよう。
家に帰ると早速ペンダントに話しかける。
「おーいサラ、出てきてくれないかおーい」
数分話しかけるとやっとぼうとペンダントが光りサラが出てきた。
「女はしたくに時間が掛かるのじゃぞ?そうほいほい呼び出すな」
「昼間の話は聞いていただろお前何かしらないか?」
「お前呼びはやめろ言うに、まったく、で、鉄二郎のことか」
「鉄二郎ってあの亡くなったマジックマスター後藤鉄二郎のことか、やっぱり何か関係があるんだな?」
サラは偉そうに頷くと。
「うむ、鉄二郎は前のパートナーじゃったが先日くたばったでな、海斗に乗り換えたのじゃ」
「くたばったって、前のパートナーだろうが少しは敬え!」
驚いた、なんかあると思っていたら、マジックマスターのパートナーだったなんて。
「しかしあやつは我を便利な道具としか見ていなんだ」
苦渋の顔を見せるサラ。
「そなたは違うであろうな」
不安そうに言うサラ。
「もちろん大事にするぞ、なんてったって俺を魔術師にしてくれたんだもんな」
にこりと笑う。
「ふと思ったんだが、サラ歳いくつだよどう見たって15~6歳にしか見えないんだが」
「こら、女性に年齢を聞くのはマナー違反であろ、それに術者と同じ年齢に成るようになっておるわ、まあ古代語が日常会話だった頃から生きてはおるが」
(げっということは1万歳以上か若作りしすぎだろこれは)
「誰が若作りじゃ同じ年齢になるようになっていると言ったであろ」
「考えていることが分かるのか?それとも俺口に出していた?」
うろたえていると。
「おぬしと我は魔道記で繋がっておるからな、考えごと等ある程度わかるぞ」
(それじゃ胸が薄くてチビだって考えちゃいけないな)
「……おぬしワザとやっておるな、話はそれだけなら帰るぞ」
「待ってくれ、この魔導記ってどういうものなんだ。いきなり前詠唱なしでレビテーションが使えたりレベル1の魔法がバンバン使えたり、もうわけが分からん」
「前にも言ったであろ。どんな魔術でも使えるようになると」
ふっふっふっと不気味に笑うサラ。
「もしかしてレベル10も魔術でも……なんてことは……」
「その通り、じゃが今は無理であろうな。何しろ修行がたらん」
なんとなくホッとしながら。
「よかったいきなりレベル10なんて荷が重すぎだよ、いろんな責任がつきまとうんだろ?」
(うむ我の目に狂いはなかったようじゃのう)
「それはそうじゃ、毎日会議会議の日々じゃぞ?それに戦争になれば強制的に最前線じゃ楽な生き方ではないぞ」
「それでもレベル3の魔術が使えるのはありがたいけどな、今度国家公認魔術師が来ることになっているんだが公認取れそうか?俺」
「それは大丈夫であろ、これは秘密なのじゃがおぬしと同じ魔術記使いもおるからな」
と言われて少し気が楽になった。