第七話 レベル0
初老の人物と黒服がの男たちが話している。
「これだけ探しても見つからないってことはもう他の手のものになったということか、かまわんそれらしい者たちを狩りつくせ」
「しかしそれではことが大きくなりすぎではありませんか?」
「かまわんと言っている”あの者”達を使ってもやれ」
「は、わかりました!」
暗がりで不気味な笑い声が響く。
朝のごたごたは昼近くまで続いていた。何となく魔術師たち10人と一緒に学食に向かう。すると先輩の渡辺智恵美が(小っこいかわいい系だ)感心して。
「でもすごかったーあれだけの魔力を持っているなんてねー、でも何で魔術の波動が感じられなかったのかしら?」
すると生徒会長が。
「魔術の波動が感じられないのは関係ないよ、使えるやつがいるんなら使えばいいんだよ、あんな完璧な『カメレオン』なんか見たことないぞ。斉藤主任も所詮レベル2だしな」
「ちょっと先輩それは差別発言。先輩だってレベル2じゃないですか」
と未亜が言うと、ほかの生徒たちもうんうんと頷く。
「でも海斗、どうして突然魔術が使えるようになったんだ?なにかコツでもあるのか?」
崎山邦夫先輩(リーゼントがよく似合う実は優しい先輩)が言うとみんな聞き耳をたてる。が魔術のことは呪文のアレンジ|(前詠唱の内容)などはみんな秘密にしている。普通に唱えていてはあれほどの呪文の威力は出せない、みんなはアレンジのせいだと思っている。
まさかマジックアイティムのせいとも言えず俺と未亜は曖昧な表情になった。そこへ同じクラスの鎧井晴彦が近づいてきて。
「よう、海斗お前もついに魔力持ちか、兄弟揃って魔術師とは羨ましい限りだぜ、給料が出たらおごれよ」
と馴れ馴れしく抱きつく。ちなみにコイツとは同じクラスというだけでそんなに仲がよかった記憶はない。
「残念だがそれはできないな、俺レベル0だってさ、それにほかの人に迷惑だからやめろ」
「おっと、魔術師の皆さんこんにちわ。まさかー、あれだけ派手に魔法ぶっぱなしておいてレベル0はないだろ」
とまるで信じていない様子。まあ普通なら間違いなく魔術に見えていたろう、俺自身どうして魔術が使えるのかと言われたら困るだけの理由があるわけだし。(やっぱり主任にだけはペンダントのことを言った方がいいかな?)
とか考えていると未亜がアイコンタクトでそれはダメだと言ってくる。
「そうよねぇ、あれだけ使えるのにレベル0てっいうのはおかしいわ」
と純夏、すると智恵美先輩が。
「昔、手品で魔術師認定を受けて合格した人がいてね、それで疑っていると思うの、ほら、認定を受けたら給料が支払われるでしょう。それで不正自給の問題があってから認定も厳しくなっているの」
「それでも疑いすぎだよ斎藤主任、これだけ使えるなら対抗試合にでも出して対戦させればすぐに考えが変わると思うが……」
と高橋健二会長が言うが何も考えが浮かばず。
「後は国家公認魔術師便りかぁ、いつ頃来るんだろうな」
国家公認魔術師。国家のトップとその予備群たちだレベル7以上の魔術『ハイセンスマジック』でなら分かるかもしれない、と会長が言った。しかしそれは魔道記のこともばれるかもしれない、それだけはなんとしても避けたいが。
食事も終わりB組に帰るとみんながよってきた。
「おめでとう」
「おまえもとうとう魔力もちか」
「ずっと好きでした、私とつきあってください!!」
なんかどさくさに紛れてとんでもない事を言ったやつがいるな。
「海斗はレベル0だってさ」
と晴彦が言うと、潮が引いたように
「なんだつまらん」
「ケッたかろうと思ってたのに」
「あー告白して損した」
とみんな自分の席に帰って行く、おいおい・・・
「でも朝のあれは何だったのよ、ものすごく派手だったじゃない」
「先生が言うには手品じゃないかってさ」
俺はふてくされたた顔を隠しもせずに言う。と純夏が。
「手品だなんてそんなことあるはずないのに。
プロティクションなんて先生だって巻き込まれて掛かっていたのに」
「それでもレベルは0って言われたんだろ」
晴彦が言うと。純夏が。
「スリープクラウドだってみんな抵抗もできずに寝ていた位なのにね」
「それ変じゃないか、魔術は掛かったたんだろ」
「それも手品じゃないかって疑われているんだ」
と俺、昼休みも終わりに近づき、授業が始まりそうになってクラス委員長の純夏が。
「さあ授業よ、みんなは戦闘訓練でしょう?私も魔術実習室いくからみんなは更衣室にいそいで」
と言って出て行った。みんなも更衣室に向かう。移動中たわいもない噂話に花を咲かせる。