第六話 魔術検査
学校では定期的に魔術検査がある。戦士たちは毎月第一週月曜日は魔力検査だ。俺はうきうきと検査場へと向かった。といっても校門の横で呪文を唱えるだけだが、毎月全滅というのが恒例だ。が今日は俺がいる。
校門についた俺は元気よく『エネルギーボルト』を唱えた。バリバリと光線が虚空に伸びていく。同級生たちが度肝を抜かれたような顔をして見てた。先生たちが驚いて近寄ってきた。
「君、二年生だね。クラスと名前は?」
確か魔術師主任の斉藤先生だ。
「二年B組の原井海斗です!」
「おめでとうこれで君は我が校11人目の魔術師だ」
と握手する。
「これからすぐ検査をするから魔術実習室にいくように」
といわれたので実習室にいく魔術実習室は魔術師しかは入れない特別な部屋だ。登校してきた魔術師たちが集まっている。もちろん妹の未亜もいる。
しばらく待っていると魔術師主任の斉藤先生と担任の藤井清先生がやってきた。
「さて、どのくらいの実力か見せてもらうかな、取りあえずあのウッドゴーレムにエネルギーボルトでも放ってもらおうかな」
「わかりましたでは」
「(ブツブツ)←前詠唱しているふり『エネルギーボルト』」
バカゴシャと一撃で崩れ落ちる。
「うーん、今度はライトを唱えてもらえるかな」
「はい」(ブツブツ)『ライト』
(フワリと光の玉が浮かび上がる)
主任は不思議な物を見たような顔つきで。
「おかしいな、魔力の波動が感じられない、君、本当に魔術使ってる?」
「もちろんですよこれが魔術じゃなかったら何だっていうんですか」
「…魔力結晶でも使わない限りこんな事はないはずなんだが…これは手品じゃないのかね、最初からセンスマジックで見たんだが。魔術の結果だけが現れている、本当に手品じゃないんだね?」
(魔力結晶とは文字通り魔力を結晶化させた物、ついでにいうととても高い。一個で豪華な家が建つほどだ)
「俺魔力結晶なんて持っていませんよそんな物があったらもう売りとばしてますって」
力説する俺に疑いの表情を向けたまま斉藤主任が再び念を押す。
「本当だろうな。じゃあ今度はカメレオンでも唱えてみろ」
「はい、わかりました。(ブツブツ)『カメレオン』」
完全に周りに同化して見えなくなる。
「見事な魔術制御だがやはり魔術の結果しか感じられないな、これでは魔術師認定はできないな」
「先生。こんなに上手に魔術を使えているのに、魔術師認定ができないなんて変ですよ」
と言ってくれたのは同じクラスの巴純夏、ちょっと茶髪で腰まで髪を伸ばしている美人さんだ。彼女も今年初めに魔術師になったばかりレベルはまだ1だが、古代語の成績トップの苦労人だ。
「そうよね、こんな完璧な『カメレオン』なんか始めてみたわ」
と、矢沢日和、一年生の黒髪ロングの美人系。
「一応はレベル1の魔術を全部やってもらおうか」
と、斉藤主任。
と言うわけで、ファイアーボルト、カウンターマジック、マジックプロテクト-、センスマジック、デストラクション等々レベル1の魔術を全部唱え全部完璧に効果を発揮した。
「しかし魔術の波動が感じられないのは確かだ。ほかの先生方は感じたかね?」
3人いる魔術教師は誰もが首を横に振った。
「と言うわけで君が手品を使った可能性も捨てきれない、よって君を魔術師として認めることはできない」
との無情な言葉。
「そんな、レベル0って事ですか?こんなに上手に魔術が使えるのに?」
未亜がいうと。黙ってられないと純夏も。
「私も納得ができませんこれだけ完璧に魔術を使えているのに!これ程巧みに魔術が使える人は見たことありませんよ!」
嬉しいこといってくれる。が斉藤主任も。
「完璧すぎるんだよ、彼の魔術が。手品を使っているんならそれで説明がつく」
な、何言ってんの、この先生。いくら最近の手品が本物の魔術に似ていようと、ここまで再現できないだろ。
「これ程の威力を見せていてもですか?」
荒垣靜流一年生も言う。
「そうだ」
まぁ、いきなり全部の魔術を完璧にしかも魔術の波動なしで成功させたんだから、それも古代語赤点のやつが。疑う気持ちも分かるが…こうもはっきり否定されるのも腹が立つ。そこに生徒会長の高橋健二が斎藤主任に食ってかかる。
「こんなに使えるやつがレベル0の訳ないでしょう、
もっと詳しく調べてからでも遅くないんじゃないですか?」
「うーん、これ以上は調べようがないな。あとは国家公認魔術師にでも調べさせなければわからないな」
「「「是非そうしてください」」」
ボソっと「夏の高校戦に間に合えばいいが」
「何か言ったか?高橋」
「いえ何も」
とブンブンと首を振る生徒会長。