第五話 妹
朝、登校しょうとした時に未亜が。
「せっかくだから飛んで学校に行こうよここからなら届くでしょ」
いたずらっ子の笑顔で言うと。
「ヤダあんまり目立ちたくないし、朝から魔術を使って疲れたくない、電車で行こう」
と覇気のないことを言う俺に。
「せっかく『レビテーション』が使えるんだもん、つかわなけりゃ損でしょう?」
この国に1000人くらいしかいないないレベル3高校生としては兄を自慢したいらしい。
「だから目立ちたくないんだって、このペンダントのことも秘密にしておかなけりゃいけないだろ?」
ぶう、とふくれっ面しながらも。
「しょうがないなあじゃ電車で行くか」
ということで、電車での登校になった。
ここで未亜のことを少し話しておこう。黒髪ポニーテール、妹は小学5年生で魔術師になった。以来着実にレベルを上げて高校1年にしてレベル3になる。これがどのくらいすごいことかというと、魔術師でも大学院生になってもやっとレベル3が限度。ということ5~6になれればもうプロフェッショナル扱いだ。
このくらい飛び抜けた才能に恵まれているのは、全国に1000人もいないない、高校生のレベル3の最年少。
まあ、才能を鼻にかけ潰れていく者もいるが我が妹は大丈夫だろう、多分。
学校は魔術師にとっては楽園だが、その他の生徒にとっては地獄だ。何しろ一般の生徒は魔術師の楯の役目を強制される。つまり兵士と何も変わらない、戦闘訓練がある。
戦闘になったらまず魔術師を守る、それが第一目標、そのための戦闘訓練だ。
幾ら銃器が発達していても『プロテクト』の魔術の前では何の意味もなくなる。それほど魔術とは強力なものだ。
それを数で賄う。少数の戦力では魔術師には勝てない必要なのは数だ。いくら魔術師でも一度に掛けられる魔術はたかが知れている。『プロテクト』などレベル1の魔術でも、レベル5の魔術師が掛けられるのは30人がやっとだ。
だから現代の対人戦闘は数で決まると言っていい、魔術師の数、戦士の数。