第四話 見本
売るとかそう言うことを考えるなんて勿体無いな。すると考えている事が分かったたような顔をして。
《あ、それとその魔術記はもう海斗専用じゃからな、外すこともできないであろ?それと誰かに話すのもなしじゃぞ?話せばその魔道記は他の物にも見えるようになる。
逆に言えば魔道記のことを知らなければ見ることも触ることもできぬからな》
なにかとてつもないマジックアイティムだなぁ。
「でもレベル1のエネルギーボルトは上手くいかなかったけど、レベル3のレビテーションがうまくいったのは何故。それも前詠唱なしで」
《それは魔道記が前詠唱を肩代わりしているからじゃ、エネルギーボルトの時は前詠唱を唱えたであろ?前詠唱なしで魔術を使えるようにしたのがその魔道記の特徴なのじゃ》
呆然となる…。考え憂る魔法で再現できないものはない?そんな素敵アイティムが俺の手に?やったー!!
それからは未亜を先生に魔術の練習をする。だが、どうも精霊系と神聖系がうまくいかない。一般の魔術師はなんでも出来るっつー話なんだがな。
普通の魔術師とは大抵の魔術なら何でも卒なくこなす。得手不得手があるが、威力が強いか弱いか位の物だ。
「なんで上手くいかないんだろう?」
サラが。
《言ったであろ、、要はイメージの問題じゃと。見本があればそれだけでもイメージが固まりやすいのじゃが》
「レビテーションは私がやっているところを見ていたから出来たんじゃない?」
首をかしげながら未亜が言う。
「じゃあ見本を見せてくれよ」
「そう簡単に人に見せるようなものじゃないんだけどな」
と言いながら前詠唱を始める。
『エネルギーボルト』
パリパリと虚空に伸びる光線。
「こんなもんかな、ほらやってみてよ」
真似してみるか、前詠唱なしで試してみる。
『エネルギーボルト』
バリバリと妹の未亜よりも太い光線が虚空に消える。
「なんで教えている私より上手いのかな」
「うーんなんでだろう?前詠唱がない分楽なんじゃないかな?」
それくらいしか浮かばない、実感としてなぜ魔術が使えるのもわからないくらいだ。
「それでもあれだけの魔力はすごいと思うよ。何か的があったほうがやりやすいんだろうけど。あ、そうだ。ちょっと待っててゴーレム作るから」
手頃な石を抱え持ってきて。
『ストーンゴーレム』
石がボコボコとゴーレムなった。
「さあこれを的に使ってやってみて」
「おう、ありがとうな。やってみるわ『エネルギーボルト』」
バリゴシャと、一撃で砕け散るゴーレム。
(うわ、お兄ちゃん格好良い)
「わあ、一撃だねぇ、私でもこうはいかないのに…、今度はライトニングいってみよう」
『ライトニング』
ピカズシャと今度は塵になるほどに吹き飛ぶ。
「でもいきなりレベル3の魔術を見せるのもなんだかまずいんじゃないだろうか。まずはレベル1の魔術しか使わないようにしよう」
「えー、せっかく使えるなら使わないともったいないよ」
「こう言うのは隠していた方がかっこいいだろ」
来週からの学校が楽しみだ。週明けには魔力検査もあることだしな。