第二話 魔法使い
「お兄ちゃん何かいい物見つかった?」
「爺ちゃんの根付コレクションが見つかったよ三十個くらい。二~三百万位にはなるな、あれは。それよりももっとすごいものがあったけどな」
テーブルに料理を並べながら未亜が聞く。
「なになに?黄金の仏像でも出てきたの?」
目をキラキラさせながら聞く。
「いやそれよりすごいことかもしれない。俺、魔術師になった」
一瞬ぽかんとした顔をして。
「あははは、またまたーお兄ちゃん魔術の素質レベル0でしょうが、簡単にレベルが上がるわけないよー」
ケタケタ笑う未亜。ふ、うたぐりぶかい奴め。
「これならどうだ『レビテーション』」
フワリと俺と未亜の体が浮かび上がる。
「ど、どうしてお兄ちゃんがレビテーション何か使えるのよ」
「これ私と同じレベル3の魔法じゃない。レベル0からなんでいきなりレベル3?それになんで私まで浮いているのよ、レビテーションって術者本人にしか効かないはずでしょ?」
「わからん、できるような気がして、やったらできただけだ」
未亜がじたばたと空中でもがいている。
「何がどうなっているのか詳しく聞かせてもらうわよ」
しばらくのどたばたの後、きんぴらゴボウを突っつきながら事情説明。
「お兄ちゃん前詠唱なしで呪文を唱えていたよね?それとも前に唱えていたの?」
「前詠唱って…、忘れていたなぁ」
首をかしげる俺に。
「前詠唱も忘れていたのに使えたの?これだから古代語赤点の奴は……あのね、魔術はただキーワードを唱えるだけじゃ発動しないの。その前に前詠唱を唱えておかないと発動しないのよ!」
「うんなんとなく覚えている、でも俺はそんなものなしで唱えられたよ呪文」