第十九話 国立魔術図書館4
数日後三神さんが家に訪ねてきた。未亜がいない時を見計らってきたのだろう。
「車の中で話そう」
という事になり車に乗り込むと、車が動き出す。
「君に頼みたい事があるんだが、君の捕まえてくれた四人なんだが口を割らなくてね、ぜひ協力して欲しい」
いきなり頭を下げる三神さん。
「どうしたんですかいきなり」
「あの四人には『ギアス』が掛かっていてな、こちらの呪文も効かないんだよ、君かサラ様ならギアスに対抗できる呪文を知っているんじゃないかと思ってね」
ふむ、こう言いうことはサラに聞くのが一番だろう。
「おーい、サラ出てきてくれないか?」
するとぼうっとペンダントが光り、サラが出てきた。
「お久しぶりですサラ様」
「今の話聞いていたろう、ギアスに対抗する呪文はないかい?。クエストではダメなのか?」
《クエストも呪いの一種じゃからの、上書きできぬであろな。いくつか手はあるがそれをの口で教えるのは難しいであろうな》
難しそうな顔をするサラ
「それなら国立魔術書図書館で呪文でも探さなくちゃわからないんじゃない?」
と口を挟む俺に。ふぅ、と一息ついて、三神さんは困ったような顔をして。
「あんまり高校生の行っていい場所じゃないんだがね。しょうがない、じゃあ明日はどうだい?」
「同伴者もオッケーですか」
「今回は遠慮願おう」
やっぱりダメか。
「ほかの先輩たちが今度こそはって言っていたんですが」
「諦めてもらう」
実にシンプルな答えだった。
「じゃあ今度はお忍びでということですね?」
「犯人も捕まったことだし、今回は目立たないように行くことになるだろうな」
心底ほっとした、あんなショーファー付きリムジンなんて悪目立ちすぎだ。
その後市外を一周して家に戻ってきた。
「ではサラ様あすお迎えに参ります。
三神さんってサラに対する時だけ敬語なんだな。
家に上がると早速未亜を探す。
「おーい、未亜、帰つているかー」
食事の準備をしていたらしい。居間から顔を出して。
「何、お兄ちゃん」
「明日は俺学校をサボるぞ、また図書館に行ってくる」
「え、しばらくはいけないって話じゃなかったの?」
「急用が出来たんだ」
「で、今回誰を連れて行くか決めたの?私行きたいなー」
「今回は同伴者なしだってさ、俺一人で行くことになった」
「えーいいなぁ私も行きたいー」
今回も前回も遊びに行ったわけじゃないんだが。
「遊びに行くような言い方はやめなさい、勉強しにに行くんだから」
ぶー、とむくれる未亜。
「でも一度に覚えられる呪文なんかたかが知れているし…私ももう一度行きたい」
「今度機会があったらな。それに先輩たちもお預けくらっているしな」
「それじゃ何時になるかわかんないじゃない」
「まあ、その内としか言い様がないな」
「その内って何時よ、お兄ちゃんだけ三回も行くなんてずるい」
わーわーぎゃーぎゃー言ってくるのを無視して食事をはじめる
次の日、約束通りに三神さんが普通の車で迎えに来た。あらかじめサラとは『テレパス』の呪文を唱えて、繋がったままの状態になっている。
「おはようございます」
どうしても未亜がついていきたがっているのを困り顔で告げると。
「わかったわかったでも今回は前のように特別扱いはできないぞ」
と念を押して未亜の同伴を許してくれた。さっそくスマホで学校に今日は休むと電話をかけようとしたら。三神さんが。
「その必要はない。君たち二人は今日一日行方不明になってもらう、まずはこれをあづけておく」
とのお言葉、すぐに勝手にスマホの電源が落ちる。そして無線機を渡してきた。
「じゃいこうか」
と車に乗りこんだ、あとに続く俺と未亜。
「今日は前のように貸切じゃないから他の人たちもいるから気おつけてくれ。誰とも喋らないようにしてくれるとありがたい」
「なぜですか?ほかの人たちに聞いたほうが早いと思うんですが」
「君たちの若さだよ、高校生で国立妻術書図書館に入るってことはめったにないからね」
《そうじゃぞ、この国は秘密主義でな、国立図書館なぞは滅多に入れるものじゃないのだぞ》
いきなりサラが話しかけるのでビクっとなった。
《そもそも俺に使えるレベルなんだろうな、その呪文》
と心の中で問いかける。
《それはお主しだいじゃな》
うわ、丸投げ者しやがったよコイツ。
そして国立魔術書図書館についた。なるほど前は全然人がいなかったが、今回は人がちらほら見える。こちらに気がついてチラチラ見てはコソコソ話している、
それを気にしたような様子も見せずに三神さんは中に入っていく。例によって入館証を渡し奥に入っていく。
三神さんは今回未亜についていった。俺はサラにどこに行けばいいか聞いてみた。
《サラ、どこに行けばいいんだ》
《このまま奥の右端のエレベータじゃ、ひとけのない時に乗るのじゃぞ》
言うとうり人気の途絶えたのを見計らってエレベーターに乗り込むと。1F~5Fの表示があるがサラは。
《スイッチの下のメンテナンスパネルがあるであろそこに『アンロック』をかけるのじゃ》
言われたとうり『アンロック』を掛けるとメンテナンスパネルが開いてB10のスイッチが出てきた。
「地下10階ってどんだけ深いんだよ」
思わず呟く。
《上の図書館は写本ばかりだからな本物はすべてここに収蔵されているんじゃ》
B10のボタンを押すと静かにエレベーターは地下に降りていく。サラが。
《そろそろじゃなウィルオーウイプスを掛けていた方が良いぞ》
「?どうしてだ中が暗いのか」
《エレベーターのドアが空くと同時にシェイドが飛んでくるからの》
「そういうことは先に行ってくれ」
慌てて『ウィルオーウイプス』を唱える。
とほとんど同時に地下10階についた、扉が開くと同時にシェイドが飛び込んできた、
そしてウィルオーウイプスとぶつかって消え去った。
「あっぶねー。もうちょい先に言ってくれよサラ」
《そなたがサラ様と呼べば考えんでもないがの》
いつの間にか実体化したサラが道案内する。おくの厳重に施錠された本棚に近づいて。
「この本棚じゃ今度はウィルオーウイプスが出てくるでな、シェイドを唱えておくがいい」
「わかった『シェイド』」
扉を開くとウィルオーウイプスが飛び出してシェイドとぶつかって消え去る。
「さてこれじゃこの本じゃこの本を読めばどんな馬鹿者でも本の内容は忘れなくなる。ちなみに入力は半日、効果は永遠じゃ、それからこの本も外せぬな」
と次々と本を山積みにする。
いろいろな本を読んでいたがどれ一つとっても普通の呪文はなかった、レベルいくつの呪文なんだろう?学校で教えてくれる呪文とは、はっきり言って違いすぎる。学校で習うのは攻撃と防御の魔術ばかりだが、ここには、チャーム(魅了)とかウィークポイント(弱点探し)
とか応用編の呪文ばかりだこんなに呪文があったなんて考えもしなかった。
しばらく本に熱中していたが明らかに毛色の違う本が数冊あった、それに気がついたのかサラが。
「お主も気がついたか?それは異界の魔術書じゃ覚えておいて損はないぞ」
にやっと笑うサラ。なるほど異界の呪文書か、どうりで異常な効果の呪文ばかりだな。
こんなことを考え付くなんてさすがは異界というところか。
ほかにも色々な本を読んでいく、いろんなアレンジの中でディスペルオーダーという呪文を見つけた。どうやらギアスを開呪する呪文らしいこれであの四人も自白させられるだろう。
そして本棚半分読み終わった頃時間が来たらしい、無線機に呼び出しがかかった。
「はい、海斗です」
『海斗君時間だがいいのは見つかったかね』
「はいなんとか使えそうな呪文が見つかりました」
『では正面玄関に集合だよろしく頼む』
「わかりましたすぐに向かいます」
「サラもう行かなくちゃならないようだ」
「わかったわかった、行く前に『トリガー』を仕掛けておけエレベーターにもな」
「あれいちいちかけていたのか、なんだか無駄なような気もするな」
「そういう細かい気配りが秘密厳守の秘訣じゃ」
本棚とエレベーターにそれぞれ『トリガー』をかけてエレベーターに乗り込むと1Fのボタンをおして一階に向かった、一階では三神さんと未亜がエレベーターの前で待っていた。
「お兄ちゃんどこに行っていたのそのエレベーター故障中の表示だったのに」
そういえばエレベーターは地下十階に止まったままだった
「秘密だちょっと言えないところに行っていたんだ、それより未亜はどうだった?」
「三神さんに面白い呪文をいっぱい教えてもらったよブラウニーの呪文もコントロールスピリットも」
「よかったじゃないか未亜、ありがとうございます三神さん」
ぺこりとお辞儀をすると、片手を上げてそれに応えた。
「いや高校生がこんなところに来るのは珍しいからねみんな話しかけたくてうずうずしていたんだよ、ちょっと私がいなかったら勉強できなくなったんじゃないかな」
すごく迷惑をかけたらしい、
この仮は捕まえた四人に呪文を掛けて白状させることで返そう。
「では未亜さんはこのまま家に責任をもって送らせてもらおうか、海斗君には別の用事もあることだしね」
「えー、一緒じゃないのー」
ぶう、とほほを膨らます未亜。
「俺には俺の仕事があるんだよ、未亜も今日はお世話になったんだからお礼くらい言いなさい」
「はい!ありがとうございました。また来れると嬉しいです!」
三神さんが曖昧に笑って。
「君が防衛大学に進学したら考えてもいいのだがね」
「防衛大学かー、考えておきますね」




