第十七話 おみやげ
未亜は待ち構えていた。
「どうだった今日のデート、あ、こんなに遅く帰ってきたって事は…」
「未亜が想像しているようなことは何にもなかったぞ」
「チェつまんないのもう少しかっこいい服で行けばよかったのに」
「かっこいい服ならいっぱい買ってきた」
「えーどんなの買ってきたの、見せて見せて」
「ほれこれは未亜の分な、選んだのは純夏だから文句は言うなよ」
と買ってきた服の入った袋をわたす
「わーいわーい」
今日のことは未亜には秘密にしておこう。和む俺だった。
月曜日、何事もなかったように学校に登校する俺と未亜。登校途中純夏と合流する。
「おはよー海斗、昨日買った服どうだった未亜ちゃん」
「私にはちょっと子供ぽっかったかな?」
「そんなことはないと思うぞ、いつも普段着ている服とあまり変わらなかったろ」
昨日はあんなに喜んでいたのに、何言ってるんだ。幾らかかったと思っているんだ。
「そっかー、ゴメンね。でもあれミュウミュウの洋服だったんだけど気に入らなかった?」
「えー。あれミュウミュウのだったんですか、ありがとうございます」
ペコリと、とたんに豹変する未亜。現金な奴。
「お金を出したのは海斗なんだからお礼はお兄ちゃんに言ってね、私もいろいろ買ってくれてありがとう」
「お兄ちゃんどこからお金を持ってきたのよ家はそんなに裕福じゃないでしょう?」
う、痛いところ突いてきた。
「それは、まああれだ俺の魔術師認定のお祝い金だよ」
「どこから出ているのよそのお金」
「それは国民の税金から…」
春も過ぎたこの季節に、冷や汗をだらだら垂らしながら言い訳を考える。
「あ、お祖父ちゃんの根付コレクション売れたの?いくらだった」
「そう!根付コレクションあれが思いのほか高く売れてさ!…」
「ふーん、それで買い物したのか。よっぽど高値で売れたんだ」
「そ、そうなんだよそれで未亜にお土産でも買おうと思ってさちょっと奮発したんだよ、ハハ」
何の疑いもなく、信じきった瞳で。
「ありがとうお兄ちゃん」
その日の朝のうちに三上さんに連絡をして偽造書類をお願いしたが。
「直ぐにそんなものは必要なくなるよ」
と何か匂わせるようなことを言っていた。