14話 オカルト研究部の問題1
➖自宅➖
今日は母さんに起こされ眠いままご飯を食べている。何故眠いかというと梨奈姉さんに叩き起これさて明日の予定などを聞かれたのでオカルト研究部に部活の見学しに行くと言ったらものすごく嫌そうな顔した。梨奈姉さんいわく、入部してもすぐにやめてしまう生徒が多いので廃部になるかもしれないので体験入部しても意味はないと思っているらしい。
「碧兄さん、オカルト研究部って廃部になるの?」
海兎は朝練に行っており居なくて、梨奈姉さんと空も早めに家を出ている。二人とも生徒会の仕事があるので学校に行って作業をしている。碧兄さんは担当ではないので家でのんびりとしながら書類に目を通している。
「このまま行けばな。教師のほとんどが廃部にしようとしているからな」
「実績がないから?」
「違う部長に問題があるからだ」
「部長に?」
「森前鏡華はさとりっていう妖怪の子孫だ」
碧兄さんは聞き取りにくい大きさの声で「くだらないことをしやがって」と言った。何に対してかは気になるけど、さとり妖怪を知らないので調べて分かったことは……ほとんどなかった。心を読めるんだ凄いなぁくらいの感想しか出てこない。さとりの妖怪が部長で何か問題が……あるんだよね。心を読まれたくはないと思う生徒は大勢いるだろうからやめてしまうのかな。
「この件はあのアホ理事長が絡んでいるから何もするなよ」
「理事長?」
「はぁ、少しは色々と興味を持て」
理事長を知らないとは言ってないのに何故か呆れられたんだけど? 理事長ぐらい知ってるし(名前と顔は知らない)、偉い人っていうことは。いくらバカな僕でも分かることだ。まあそんなことは別にどうでもいいので一旦おいておこう。
「お邪魔しますっと。ウー坊久しぶりだな」
「神明さんどうしてここに?」
「クソ叔父が来やがった」
母さんは近所の奥様方とお話をしているので家に入ってこれない筈なのになんで叔父さんである神明さんがやってきた。母さんに入る許可を貰ったそうなので入ってきたらしい。ちなみに神明さんは母さんの弟で種族は当然スキュラである。何故だが腹黒と言われて僕以外のみんなに来たらいやな顔をされている。職業を明かしてくれないので何をしているかはわからない。
「碧……叔父にひどいな」
「頼んでいたものは?」
「俺を頼るなら、態度を改めてくれないか」
「何も気にしていない人が良く言えるよ」
神明さんから何かを受け取った碧兄さんはそのままリュックの中にそれを入れた。何を頼んだのかはきになるけど教えてくれないだろうから聞かないことにしている。流石に高校生になっているんだからどんな物かは教えてくれてもいいのではないでしょうか。教えてくれないからそれはおいといて、まあ先輩のことは伊月と相談しますか。
「ウー坊はヒーちゃんとはどこまでいった?」
「雨歌、答えなくもいいぞ」
「キスまでなら」
「いつ結婚するんだ? 二人の子供の顔を見れるのは最短で卒業後か」
おっと暴走し始めたぞ。暴走しているのはいいけど気になることはなんで父さん達よりもテンションが高いわけ? なんで卒業後に結婚している前提で話を進めているんだよ。気が早すぎると思いながら神明さんを無視してご飯を食べ終え食器を片付ける。神明さんは無視されたことがショックなのか何も喋らずに椅子に座った。僕は部屋に戻り制服に着替え家を出る。
家を出たら伊月が待っておりそのまま一緒に学校に向かう。緋華さんは途中からの合流するのでその前に伊月にオカルト研究部の置かれている状況? を説明する。伊月は少し僕に呆れながら色々と考えてくれるので僕はその優しさについつい甘えてしまう。
「結構マズかもな」
「だよね、何も手はないのかな」
「あるぞ。簡単なのは森前先輩を変えることだな」
簡単って言うけどそれって君以外がやると難しいんだからさ。部長に問題があるならそれを解決すればいいってことなのは分かるけど、変えるってのは意味が分からなかった。さとり妖怪は種族であって変えれる訳ではないのに何故?
「超能力を持っているってことは幼い頃に扱い方を学ぶんだよ」
「心を読まないようにするってことね」
「アホか」
頭を叩かれてしまった。伊月が言うには「抑え込むのは簡単だが、それを維持するのがストレスがかかって暴走したり、倒れたりする」とのことです。別の方法でしなきゃいけないってことか。適度にガス抜きをさせないといけないからどこでさせるかだよね。
「緋華がしてるみたいにさせればいいんだよ」
「???」
「恋させればそれだけに超能力や種族の特性を使うんだ」
「へぇーそうなんだ」
「・・・お前他人ごとではないぞ」
なんのことかと思い首を傾げていると伊月は「何故、重婚が認められているかを考えてみろ」と言ってきた。そういえば考えたことがなかったな。重婚が認められる理由は……大勢を失恋させないため? いや違うか。今は恋愛に種族は関係ないし、性別も問題視されてはいないから……なに?
全くわからないんだけど、明日の敵は今日の友みたいな? と言ったら頭を叩かれて「昨日の敵だろ」とツッコみを入れられた。地味に痛かったので少し涙目になりながら頭を押さえていると柔らかい感触が手の甲にあるので止まった。外で僕に抱き着いてくるのは一人しかいないので名前を呼び挨拶をする。
「緋華さん、おはようございます」
「雨歌くんおはよ。よく寝れた?」
「まだ眠いです」
「今日はお昼寝する?」
今日は暖かくなるみたいだからご飯を食べたらそれもいいかもしれないけど、伊月からの圧が凄い。ちゃんと考えろよと言わんばかりの視線が痛すぎて顔を逸らす。緋華さんはまだ僕に抱き着いたままで離れようとはしない。通学路なので離れてほしいけど、そうそう離れてくれない。
「雨歌くん、私って重いでしょ?」
「いえ軽いですよ」
「緋華は体重の話なんてしてないぞ。それにこの間生徒会室でまた太っ———」
「伊月!?」
緋華さんは見事なまでの蹴りを伊月のお腹にくらわせてそのまま黙らせていた。流石に女性には年齢と体重の話は絶対に禁句だということを再認した。それより重いって体重ではないのであれば愛が重いかどうかということしかない。僕はそれが重いかは分からないけど緋華さんのは少し抑えて欲しいとは思うな。
「俺らみたいな人外は人間よりも愛した者に執着しやすいってことだ」
「雨歌くん、今のご両親の執着みたことあるでしょ」
あ~確かにそれっぽいのがあったけど、それって普通なことではないってことだよね。愛した者ってことは家族もそうだし、恋人でも執着するってことはあれなの。惚れたらその場で終わりってこと? もう逃げ道はなく結婚まで確定するってことなのかな。
伊月が言うにはハーフは抑えがきくので自由に恋愛ができ、執着はほとんどしない人の方が多いがやっぱり愛は重いらしい。二十歳を超えると落ち着いてはくるそうだけど、それは結婚をしているからだそうです。ちなみに緋華さんの場合はもっと特殊みたいなので僕は何も聞かないでおいた。
「殺し合いがあったりしたから重婚ができるようになったんだよ」
「暴走した奴らがな」
「お義父様やお義姉様が働いている職場はそういったものも取り締まっているのは知らない?」
全く知らなかったので帰ったら父さん達に話を聞いてみよう。警察と似たような職業としか聞いていないことを少しだけ後悔した。とりあえず途中合流した緋華さんに僕らが話していた内容を一から説明をしてみた結果。
「それって確か会長とお義姉様が解決しようとしている話だよ」
「そうなの?」
「なんでお前が知らないんだよ」
緋華さんに知っている情報を聞いて分かったことはオカルト研究部には先輩以外にも問題がありそれを解決できないために廃部させようとしているみたいだった。三人で話し合いに夢中になり遅刻しそうになったけど、おかげで作戦は決まった。
―――森前先輩を伊月に惚れさせる!!!―――
ってことに決まったんけどいいのかなこれ? これって先輩のことを弄ぶことにならないかが心配だったけど、二人はどうせバレるから勝負として持ちかけるとのことなので気にしていない。伊月って妖狐さんと付き合っているのに大丈夫なのかな?




