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13話 生徒会室絶叫2

➖生徒会室➖

 只今僕と緋華さんは梨奈姉さんにキスしたことに関して質問責めにあっていた。一番騒いでいた伊月は梨奈姉さんの手で気絶させられ手足を縛られていて他の役員はというと姉さんの睨みだけで大人しくなっている。復活した碧兄さんは何事もなかったかのように仕事を一人でしていた。将来は社畜になるだろうなこの人と思いながら僕は姉さんからくる質問を聞き流している。


「ディープキスじゃないだけマシね」

「ちゃんと清いお付き合いをしているんです」


 ストーカーだった人が清いお付き合いというのはどうかと思いますが? まあそれは別にツッコまないとして姉さんは一体何を質問していたのかが気になるけど聞き流していたのが正解なんだと、周りを見たら思う。五三郎先輩は正気なのかという顔で、夢藍先輩は真っ赤な顔をしていた。狗谷くんと佐藤さんは表情が死んでいたし他の役員も同じ顔をしていた。妖狐さんは気絶した伊月に膝枕して頭を撫でている顔は凄く穏やかで愛おしい人を見ている目だった。もしかしてこの二人は内緒で付き合っているのでは? だから生徒会に行くときに誘っていたのか。


「雨歌キスをするのはいいけどちゃんと節度は守りなさい」

「守っているよ。碧兄さんと梨奈姉さんじゃないんだから」

「・・・な、何のこと」

「何って二人は昔ディ—――」

「それ以上は言わないの」


 言い終わる前に姉さんから口を塞がれてしまった僕だが、みんなが言いたかったことを理解してくれたようで本日二度目の絶叫が響いた。梨奈姉さんと碧兄さんの今すぐにでも消し去りたい過去で中学生になったばかりの二人はアニメの濃厚なキスシーンに憧れて隠れてそれをマネをした結果、二人は一時期ハマって隠れてしていたのを僕に見つかったのだ。その時に正気に戻ったらしくそれ以降はしていないと言っていたけどどうなんだろうか。


「梨奈先輩、どういういことなんですか!?」

「落ち着こうね夢藍ちゃん」

「お二人はご姉弟ですよね?」

 

 夢藍先輩に迫られているので姉さんのことは放置しておくとして全くできていなかった業務に取り掛かろうと緋華さんにやり方を教えてもらう。流石に何もしていないのはまずいので少しでもやっておこう。緋華さんは教え方は凄く丁寧で分からないところはすぐに教えてくれて自分の業務をこなしながら僕のサポートもしてくれるのでありがたい。コツを掴んできたので集中しながら業務を終わらしていると扉が開かれる。


「あら、見慣れない顔が多いですね」

「アインおかえり。助けて」

「何故、夢藍さんに詰め寄られているのですか?」

「会長……Dn・Rsです」

「お話をしましょう」


 緋華さんにこっそりとDn・Rsの意味を聞いたところ、泥棒猫・梨奈先輩の略だそうです。待って夢藍先輩って碧兄さんのこと好きなの!? 碧兄さんってもしかして凄くモテているのではないでしょうか。梨奈姉さんに聞いても何も答えてくれはしないだろうな。夕夏姉さんの方は……やめておいて海兎もアテにはならないから聞くなら空だな。母さんに聞くのは碧兄さんが可哀そうだからやめてあげないと。


「にしても碧兄さんは鈍感だな」

「生徒会の作業ではイヤホンしているよ」


 緋華さんに教えてもらったので碧兄さんの方を見ると確かに何かを耳に付けているように見えるけど、少し前までは聞こえていたよね。そういえば兄さんの好みのタイプって今の梨奈姉さんの真逆って言っていたような覚えがあるんだけど変わったのかな?


「雨歌くんそろそろ帰ろうか」

「キリのいいところまでだめですか?」

「それなら伊月を起こしてくるね」


 緋華さんも手伝いとして呼ばれたって言っていたから適当なところできり上げて帰っているんだろうな。あっ! クッキーを持って来ていたのを忘れてたから五三郎先輩に渡してみんなに配って貰うようにお願いだけして業務に戻る。できれば伊月が起きるまで今日貰ったものは全部終わらせたいので本気で集中する。周りの音は全て消えて何も聞こえくなるし視界もいらない情報を消してくれるのでありがたい。


「雨歌くん? 集中しているところ悪いけど帰ろう」

「あっはい」

「準備はしてあるから」

「ありがとうございます」


 緋華さんに肩を叩かれて意識が戻ってきたが少しぼっーとする。集中した後は必ずこうなるので少し厄介ではあるかな。このまま寝たいけど帰らなきゃいけないので頑張って起きておく。周りを見渡してみると帰る準備をしている役員さんたちの姿があったが伊月の姿はどこにもなかったので廊下にでもいるのかな。


「伊月ならおばさんが迎えに来て帰ったよ」

「梨奈姉さんのせいですね」

「伊月も悪かったよ」


 おばさんには梨奈姉さんがちゃんと状況を説明した後に謝罪をしたらしいので大丈夫とは思うけど連絡を帰ってから入れておこう。時間は六時で最終下校時間になっているということは緋華さんは伊月を起こしたのに僕に声を掛けずにそのまま待っていたということだでは? 声をかけてくれてよかったのに……緋華さんは優しいな。さっさと生徒会室を出て校門を抜ける。


「お待たせしました」

「久しぶりの下校だね」

「そういえばそうですね」


 緋華さんと二人っきりになることはあるとしても下校は学校が違うので時間が合わなくて中々一緒に帰れなかった。帰れたとしても伊月と三人だったので本当に二人っきりというのは小学二年生の時に1度だけなので約7年ぶりである。その時はまだ緋華さんに後を付けられていたのと盗撮をされていただけの頃だった。今となってはそれも懐かしく感じる僕は異常なのかもしれない。


 隣で歩いていると本当にここに居ていいのかを考えてしまう。緋華さんは僕や伊月とは比べモノにならないような努力をしてきているので尊敬できるしそれを当然のことのようにしているのには憧れる。そんな人と婚約者であることを誇っているけど、やっぱり僕がこの人の隣に居て支えて、困っている時に助けられるかが心配で、不安で仕方ないけれど隣で居たいという想いで隣を歩いている。


「どうかしたの?」

「春だと言ってもまだ冷えますね」

「そうだね。私は好きかな春は」

「確かにいいかもしれないですね」


 緋華さんにはこんなこと考えて歩いてるなんて言えないかな。もし言ったのであれば怒られてしまう。


「雨歌くん私はね、転生者なんだ」

「そうなんですか。・・・え」

「冗談だよ。転生者だったら私が君のことを外から出す訳ないもん」

「冗談だったんですね」


 転生者だと言われて瞬間はびっくりしたけど、冗談だったのは少し安心したような残念だったような気がする。まあどっちにしても緋華さんは緋華さんだし、好きなのは変わりがないからいいけど……ちょっと待って、監禁するって遠回しに言ってませんでした? 緋華さんに監禁されたら絶対に逃げれないように手錠と首輪を付けられて何もかもお世話されて緋華さん無しでは生きていけないようにされているところが想像できる。それは転生者だったらするということだよね。


「監禁のことは転生者だったらですよね?」

「それは君の行動次第かな」


 裏切ったりしたら即監禁されるなこれは。まあ裏切ったりすることはしないから心配はないかな。緋華さんよりも心配しなきゃいけないのが空なんだよな。緋華さんのことを刺そうとしていたことがつい最近あったばっかりだし。


「ここまでだね」

「わかれる前にこれどうぞ」

「クッキー。ありがとう」


 クッキーを渡した後わかれた筈なのに後ろから付けてきているのは何故でしょうか。もう落ち着いていると思っていたけど、全然そうなことがなかった。実害がないから問題はないし好きなだけストーキングしてもらっておこうかな。警察に行っても暖かい目で見られて終わりになるだけだし。

緋華さんに後を付けられながら家に着く。


➖自宅➖

「ただいま」

「雨歌私の部屋に来て」


 梨奈姉さんに部屋に連行された。僕は何もやっていないのに何故か怒っている梨奈姉さんに説教されて二度とあの事を言わないように釘を刺された。梨奈姉さんと碧兄さんは知らないだろうけど、海兎以外は全員しているんだよ? 二人の初恋がお互いだったってことを。それに梨奈姉さんが碧兄さんのことを今も好きってことは知っているから。碧兄さんの方は知らないけどね。


「説教はこのくらいにして今日はありがとうね」

「全然できてなかったのに」

「あの短時間で碧と同じくらいに仕事できるの凄いことだから」

(やっぱりこの人、碧兄さんのこと好きじゃん)


 恐る恐る小声で言ったがもう梨奈姉さんの耳には届いてなく一人で碧兄さんのことを褒め始めたのでゆっくりと気づかれないように部屋を出た。自分の部屋に荷物だけ置いて手洗いうがいをしてから着替えずにリビングに入った。


「おかえり」

「ただいま母さん。父さんたちは?」

「今日は帰れないって」

「そうなんだ」


 少しだけ母さんと話した後に部屋に戻り着替えを済ませベッドに寝転がり目を閉じて少し寝ようとした瞬間スマホが鳴った。伊月から何故か着信がきた。


『もしもし、今大丈夫か?』

「大丈夫だけど、どうしたの」

『緋華から聞いたんだが、帰り何を考えていた?』

「何って緋華さんに話したことが全てだよ」


 僕がそう答えると伊月は少し怒りながら『それが嘘だってことは俺も緋華も気付いているからな』と言われたので正直に言うしかない。緋華さんを信用していない訳ではないけど、伊月にしか言っていないことが多いから伊月には正直に話せる。


『またそれか』

「ごめん」

『別にいいんだが、お前も少しではあるが成長はしているんだから自信を持ったらどうだ』

「それが出来たら苦労はしてないよ」


 受験の時は伊月が勉強を教えてくれたおかげで受かれたようなものだから僕の力とは言えないから成長していると言われても実感なんてわかないよ。


『まあ徐々に自信をつけていけばいい』

「ごめん、ありがとう」

『おう。この話はこれで終わりとして、聞いておきたかったことがあってな昔持っていた手帳の捨てた場所覚えているか?』


 伊月が言ったことに僕はびっくりして固まってしまっていた。何故僕が固まっているのかというと、伊月の言っている手帳は僕が二度しか行ったことがない所に埋めていて、伊月には捨てたとだけ言ったのになんで今もあると思ったのかに驚きを隠せないでいた。

緋華さんにもその場所は言っていないので僕以外は誰も知らない筈なのだが何故知っているのかが分からない。


『何も言わないってことは覚えているだろ? お前』

「だってゴミ袋に捨てたのに言えないでしょ」

『・・・』


 黙っていたことで伊月に覚えているとバレてしまったけど、これなら何も言えなくなるだろう。伊月の性格からして僕が「ゴミ袋に捨てた」と言ったらこれ以上は追及してこないので大丈夫だとは思う。


『否定しないってことは覚えているんだな』

「だからゴミ袋に捨てたって言ったのになんでそういうことになるのさ」

『・・・お前なんで俺らに助けを求めなかった』

「ソウダ伊月、頭は痛くないの?」

『ああ大丈夫だ。そろそろ飯だから切るな』


 お互いにまた明日と言った後に電話を切った。その後は何もなくご飯を食べてお風呂に入ってそのまま寝たのに夕夏姉さんに起こされて少しムカついた。

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