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11話 生徒会に行く予定2

自宅リビング

 今は朝の5時半でキッチンで朝ごはんを母さんと一緒に作っているけど……みんながこっち見ながらニコニコである。まあ僕が料理を珍しいだろうけどみんなが見ることはないと思うんだけどなあ。見るのは別にいいけどさ、夕夏姉さんが撮っている動画を誰か止めて。


「雨歌はいいお嫁さんになるな」

「父さん…………僕は男だからね」


 父さんは何を勘違いしているんだよと呆れながらさっさとご飯を作る。母さんからお弁当もお願いされてしまったので朝ご飯を作りながら献立を考える。家でよく食べるのが碧兄さんと海兎だから多めに作らなきゃいけないからどうしたもんか。流石におかずの種類を多くしてもお弁当箱に入りきらないだろうからどうしようかな。

昨日のおかずの残りはないし、冷凍食品は買ってきてないらしいから自分で一から作らないといけないのにそれを作っているって凄すぎない?


 母さんと一緒に作っていた朝ご飯が出来たのでみんなで食べる。朝はいつもシンプルな為すぐに出来るからその分をお弁当に時間を掛けているのかな。それに母さんはいつも何品か作り置きしているから簡単にしているように見えるだけなんだよな。料理の勉強をまたしておこうっと。

貰った包丁は部屋に飾っておこうかと思っていたけどやっぱり使う方がいいよね。勉強は苦手だけど料理を出来るようにはなりたいからがんばろ。


「夕夏姉さん、さっき撮っていた動画は消してね」

「・・・はい」


 ご飯を食べ終わった後にちゃんと消しているかを確認して、お弁当を作ってから着替えて学校に向かう。家を出る前にちゃんとお菓子とお弁当を持ってるかを確認してから出る。


➖玄関前➖

 玄関を開けて外に出ると伊月が門の前に立っていた。眠たそうにしながらスマホを見てため息をしている。今日は家に入って来ないと思ったら外で待っていたんだ。


「伊月、おはよう」

「おはよう。緋華なら途中で合流するってよ」

「僕に連絡入れてくれたらよかったに」

「寒いし、行くか」


 緋華さんは僕より伊月の方に連絡を入れたってことはアレだよね。対応は伊月の方が出来るからこういう時はよく連絡を入れられるらしい。本人は面倒だからやめてくれと言ってるけど、緋華さんはそれでもやめない人だしなぁ、いい関係ではあるのかな……仲は悪いけども。


「雨歌くん、おはよう」

「緋華さん抱き着いてこないでください」

「わかった。伊月もいたの」

「見えていたろ」


 伊月と話しながら少し歩いた所で緋華さんが挨拶しながら抱き着いてきた。少しテンションが高いよう気がするけど、何かいいことでもあったんだろうけどすぐに離れたってことは体調は優れないんだろうな。無理していないかが心配だけど、体育は二年生もないって伊月が言ってたから大丈夫だね。お腹を冷やさないようにしなきゃいけないだっけ?


(安心しろ、ちゃんと対応はしてやるから)

(僕も手伝いをしたい)

(ならあまり気にしてやるな)


 手伝うことを伊月に止められてしまうので結局僕は何も出来ないまま過ごすしかない。何をすればいいかぐらい教えてくれてもいいじゃんか。姉さん達に聞いてもないも答えてくれないので本当に何も出来ていない状態である。人によって症状に違いが出るらしいので下手なことは出来ないだから悔しい。

僕が頼りないのかもしれないかもだけど、伊月に連絡を入れるのはどうかと思う。


 伊月が緋華さんに頼られているのを見ていると、仲良くしていて嬉しいのとドス黒い嫉妬の感情が出てくるのでしんどくなる時がある。僕の我が儘なんだとは分かってはいるから押し殺してするしかないけど、1番の友達と初恋の人が仲良くイチャイチャしているのはムカつく。なぁにが自分たちは仲は良くも悪くもないじゃあい!! 仲良いじゃん。事情が分かっているとはいえ、本当に無理。


「僕は先に行ってるから二人でごゆっくり」

「はあ!? 俺とコイツはただの親戚だぞ」

「そうだよ。コレとは何もないから」

「・・・緋華さん、体を冷やさないようにこれどうぞ」


 水筒を緋華さんに手渡して二人より早歩きで学校に向かう。伊月と緋華さんが後を追って来て「ヤキモチを妬いているのか」と「雨歌くん、可愛いから写真を撮らせて」と繰り返し言いながら僕に絶対に追いつかない速度で付いてくる。学校が同じなので仕方のないことだけど、嫉妬とか吹っ飛んで行って恐怖が出てくる。二人なら余裕で追いついてくる筈なのに一定の距離を保ちながらくるとか恐怖の対象でしかない。


「おはようございますってどうしたんですか? 不澤くん」

「水原先生ぇ~」

「ど、どうしたの」


 なんとか学校に着いたのはいいけど僕は恐怖に耐えきらずに少し泣きながら校門前にいた水原先生に助けを求めた。二人は注意を受けて反省はしたみたいだった。僕も今回のことで二人の前では二度とあんなことをしないと反省した。我慢できない時は腕を殴れば痛みで我慢できるから次からそうしよう。



➖教室(1-1)➖

 あのあと、僕も二人に謝ってその場はそれで終わったので、下駄箱で緋華さんに生徒会に行くことを話したら「聞いてない」って言われたから梨奈姉さんの独断だと伊月は言っている。僕が行っても何も出来ないわけだし、僕を使って伊月を生徒会に入れたいってことだろうね。


「俺は雨歌が入らないなら入る意味はないからな」

「僕が居なくても入ればいいのに」


 運動神経が良すぎて部活に誘われていることが多いのにも関わらず全部同じ理由で断るから僕に説得をしてくれって頼んでくる人が多くて困っていた時があった。取り敢えず言われた通りに説得をしてみたら、伊月が運動部に勝負を仕掛けに行って全勝して黙らせた。


「面白くなければ意味がないからな」

「それは同感できるな」

「狗谷くん、おはようございます」


 二人で話していると狗谷くんが僕の席まで来て話に入ってきた。話に入られても別に気にはしないから別に大丈夫なんだけど、伊月は少しだけ嫌そうな顔をする。それが僕と緋華さんにしかわからないであろう表情の変化だったので気を遣っただと思う。


「紹介したい人がいてな」


 これは絶対に佐藤さんのことだと思い伊月とアイコンタクトで「対応どうする」と言った。昨日のことは狗谷くんには秘密にしておこうとは思うけど、伊月に指示を仰いだ方がいいからな。伊月は「昨日のことは伏せておけ」と言われた。僕が言ったことを目線だけでよく的確にわかるよ。僕も昨日のことは言わない方がいいとは思っていたから丁度良かった。


「それで紹介したい人ってのは?」

「この子なんだが」


 狗谷くんの後ろからひょっこと出てきたのはフードを被っている三つ目の女の子で身長は123㎝くらいで髪の色は白と随分と珍しい色をしていた。伊月は予想していた人と全く違うかった為か何も言わずにただジッと出てきた子を見ている。この子ってクラスに居たっけ? 別のクラスなのかと思い狗谷くんから喋ってくれるのを待つ。


「この子は森前鏡華(もりさききょうか)で2年でなんだ」

「それでその先輩を連れて来て何がしたいんだ?」

「二人にオカルト研究部に入部して欲しんだ」

「雨歌、どうする? ちなみに俺は入りたくない」


 どうするって聞かれてもどうしようもないよ。部活には入る気は全くないし、オカルト研究部なんて聞いたことがないんだけど。一体何をする部活なんだろ? 体験入部くらいなら行ってもいいかもしれないけど、伊月は入りたくないって言ってるしなあ。狗谷くんが入部して欲しいって言ってくるのには何かしらの理由があるんだろうからどうした方がいいんだろ。


「オカルト研究部は…………神秘などを研究する部活」


 神秘? などってことは他にもあるのはあるんだろうけど興味はないかな。そういえば神秘って言ったら“カミサマ”っていうのには興味があるけど、詳しいなら話は別なんだけど、転生者しか知らない情報だとは思うから入ってもあまり意味がないような気がするんだよね。あまり考えないようにしていたから忘れていたけど知っている方がおかしいだろうからね。


(・・“カミサマ”どこかで……見た気が)

「明日でいいなら体験入部ぐらいなら行きます」

「雨歌が行くなら俺も行く」

「今日はダメなのか」


 狗谷くんと先輩に今日生徒会に行くことになっていることを話したら二人とも驚いていた。伊月が驚いている二人に夕夏姉さんの弟だということを僕の代わりに説明してくれた。説明するときに姉さんのことをゴリラって言いかけたのはわかっているからね。海兎の次くらいには脳筋思考ではあるのは否定できないので怒ろうにも怒れない。


「先輩さんは早く教室に戻った方がいいですよ」


 時間を見るとあと五分でチャイムが鳴る。先輩相手だと冷たい伊月もちゃんとした対応するのは驚きだな。森前先輩が一礼したから小走りで教室を出て行った。“カミサマ”のことを見たことがあるってつぶやいていたのは気になるけどまあいっか。


「それでお前と先輩はどんな関係なんだよ」

「それはな」

「部活の先輩だよね」


 佐藤さんが急に伊月の後ろから現れたのでびっくりした。今さっき教室に入って来て話に参加してきたのだった。前髪がちょんまげ結びではあるけどちゃんと結んで来ているので狗谷くんとの関係をやり直したいのは本気だということが伝わってくる。伊月もこれで満足しているだろうと思い見ると眉間をつまんで(なんでちょんまげなんだよ)と小声を漏らしていた。


「シナ! イメチェンしたんだな。似合ってる」

「トモくん、ありがとう」


 もしかしなくてもこの二人、バカップルなのでは? 手を握り合ってお互いを見つめ合ってるし。凄く嫌な予感がしてきたから逃げてもいいかな。何故か視界に入ってしまった古村くんはあり得ないという顔をしているように見えた。


➖中庭➖

–伊月視点–

 午前の授業が終わり今は中庭で何故か妖狐と一緒に飯を食っている。緋華がどうしても雨歌と二人っきりで食べたいと言うから一人で食っている所に妖狐が現れやがった。周りに何人か生徒はいるがそこまではいないので情報交換にはもってこいだ。


「オカルト研究部の件なんだが話が違うぞ」

「それはウチもわからんから」


 雨歌が生きていない世界線のゲームの話だから仕方ないとしても生徒会のことに関しては本当に予想外だった。生徒会に行くことになるのは本当ならば古村の奴だったのに俺らが行くことになっているなんてな。ストーリー通りに進んでいないのが原因だとは思うんだがそのストーリー自体を断片的にしか聞いていないから分からないんだよな。小説のほうでも雨歌は苗字と環境が違う訳だし参考にはならん。


「その件は後で話すとして生徒会のことが先だ」

「なんで行く話になってんのさ」

「それは知らん」

「それは知っとけや」


 ゲームの入学時から生徒会長が主人公に目を付けており体験入部の初日の朝に教室に訪れて生徒会に勧誘するのが正しいらしいが雨歌の姉である副会長に呼ばれているせいで教室まで会長が来ない。雨歌の兄に惚れているのではなく、良きライバルと思っていたそうなので恋愛に発展する可能性は低かった。


「それってウチも行ってもいいのかな」

「ダメだ」

「いやなんでよ」

「雨歌の手作りクッキーが少なくなる」

「くたばれ!!」


 冗談はここでやめておかなきゃ呪われそうで怖いな。コイツも頑張って色々と思い出そうとしている訳だしお礼を何かしないとな雨歌に嫌われる。


「そうだ。小説のタイトル思い出したからいうね」

「助かる」

前世(いま)の私では永遠に君を助けれない」

「これに書いてくれないか?」


 なるほどな〈前世〉と書いて〈いま〉と読むのか。当たり前だが検索をしても出てこないということは前世の記憶が嘘ではなくて本当だったと証明されたな。本当にゲームの世界で雨歌はいないのか。心のどこかでは否定をしていたから完璧に受け入れるか。


「すまなかった」

「なにが」

「少しでもお前を疑っていたことに対してだ」

「別にいいから」


 妖狐は「そんなことよりもこれからもことを考えなきゃいけないでしょ」と言ってきてくれたので少し嬉しかった。いやなんで嬉しくなるんだ? 自己満足で謝罪をしたのを受け入れられたことに対して嬉しくなってしまったのか。考えても分からないからやめておくか。


 【前世(いま)の私では永遠に君を助けれない】というタイトルは雨歌に対して愛が重い奴が作った作品だな。小説の主人公は緋華で雨歌と出会った幼少期から話が始まるって言っていたからそこから何をして行ったかが気になるな。ヤバイストーカーと言っていたが監禁しているからそれ以上にダメな奴なっているからな。


「監禁したのって高校の時からだよな?」

「えっとね、確か火事のあとだったかな」

「施設とかじゃなかったんだな」

「最後の最後に分かるんだけど、緋華さんは転生者だったよ」

「・・・・・・・・それを先に言え」


 通りで【前世(いま)の私では永遠に君を助けれない】になる訳だ。〈いま〉は転生後の緋華で前世は今小説を書いている自分を表わしているのか。ん? それなら助けれないという文はいらないんじゃないのか? 助けれたのなら別にいらない訳だし。


「おかしなところを見つ」

「私は緋華でアナタだけを愛する」

「ななななな何を言ってる」

「いやどっかで出てきたセリフを言っただけ」


 驚きよりも恐怖の方が勝ったぞ。そんなセリフをいきなり言われたら誰だってビビるしびっくりするだろうが何も言ってくんな。


 

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