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10話 生徒会に行く予定1

自宅リビング

 リビングで晩ご飯を食べているけど、碧兄さんが先程から心ここに在らずって感じでずっと無の状態で栄養を摂取しているだけなような生き物と化していた。梨奈姉さんは逆にいつも通り過ぎるのが怖い。

帰る際に伊月から聞いたけど、緋華さんは生徒会の助っ人で入ることになり一緒に帰らないと言われたらしい。


「雨歌、悪いんだけど明日の放課後に伊月くんを連れて生徒会に来てくれない?」

「いいけど、伊月が来るかどうかは分からないよ」

「雨歌が来るなら大丈夫だから」


 僕の正面にいる梨奈姉さんに言われたのでご飯を食べ終わったら伊月に連絡入れて聞いておこうっと。僕が生徒会に行くなら伊月も来るってのは僕だけでは心配ってことだからなんだろうね。


「雨歌が来るのか!? 来るなら頑張らないとな」


 碧兄さんが復活した。父さん達は呆れた顔で碧兄さんを見ているけど、気にせずにご飯をすぐに食べ終えて食器を片付けて部屋に戻っていった。結構残っていたのに綺麗に平らげて行ったことに僕は固まってしまっていた。


「雨歌兄さん、手が止まっていますので食べさせてあげる」


 右隣に座っていた空がそんなことを言ってきたので止まっていた手を動かす。空は小さく舌打ちをしてから自分のご飯を食べる。隣だから舌打ちを小さくしても聞こえるからね。左隣の海兎はバクバクと食べているが口のところにおべんとうが付いているので取ってあげる。

あの空さんや、顔を近づけないでくれないかな。怖いしご飯が食べにくいので離れてほしいんだけどね。海兎以外の父さん達は我関せずって顔をしているから助けてはくれないだろうし、注意をしてくれない。


 空の食器を見ると食べ終えていた。なるほどね、食べ終えていたから何も言わないのか。僕は食べ終わってないので注意はしてほしいんだけども自分でするか。


「まだ僕は食べているからさ、離れてくれるとありがたいんだけど」

「雨歌兄さんに食べさせてもいいなら」


 お断りした。妹に食べさせられる兄の図なんて誰得なのって話だよ。そもそも海兎のことに関して嫉妬深いのを直した方がいいと思うなぁ。双子だから仲良くとかは言わないけど、仲良くはしてほしいとは思っているんだから。空はいつも海兎に突っかかるから嫌いなのかと昔は思っていたな。


「空、勉強を教えてくれ」

「え? 今から」

「おう。飯を食い終わったしな」

「ちょっと!?」


 空が海兎に連れて行かれた。海兎は運動はできるけど、勉強は僕と同じで全くダメだから空に教わっているんだっけ? 空も教えているみたいだから嫌いではないのが分かった。そういえば二人の学校生活を全然聞いてなかったから今度中等部? に行ってみようかな。二人はびっくりさせたいから内緒でいけば大丈夫でしょ。


「ごちそうさまでした」

「美味しかった?」

「うん。いつも美味しいよ」


 そう答えながら食器を片付けてリビングを出る。母さんがたまに聞いてくるから美味しいと答える。いつも美味しいのになんで聞いてくるのかは分からないからいっか。


➖自宅(部屋)➖

 伊月に連絡を入れて携帯をベッドに投げて床に寝転がる。返信が返ってくるまで少し暇なので何かしたいけどすることがないから取り合えず天井をジッと見つめる。何も考えず何も感じず只々天井を見つめるだけで時間が早く過ぎていく。


「雨歌、ちょっといい。って何やってるの」

「梨奈姉さん寝転がっているだけ」

「まあいいわ。明日生徒会室に来るときの注意点を言いにきたの」


 梨奈姉さんが入ってきたので体を起こし話を聞く。注意点を言いに来るってことはちゃんと覚えていなきゃいけないってこと……いや覚えておくのは当然か。伊月から何も返信が来てないだろうから今注意点を聞いても困るんだけど。あとで送ればいっか。

注意点を言いに来ただけなのに梨奈姉さんが落ち着きがないのはおかしい。


「アインって子が生徒会長なんだけどね」


 アイン先輩は碧兄さんに恋をしているみたくアタックしては玉砕しているらしいけどもなんでそれが注意点にあるのかがわからない。碧兄さんに全くと言っていいほど相手にされてなく周りが見ていて哀れだからそのことに関しては誰も触れないと言うものだった。もっと他になかったの? と思ったけど、他は何もないそうだからよかったのかな?


「そういうことだから伊月にも言っておいてね」


 梨奈姉さんがそう言って部屋から出て行った。生徒会ってもしかして結構ゆるい感じでやってるのかなと思うほど、注意点がくだらなかった。ちゃんとした注意点があるはずではないでしょうか? 碧兄さんに相手にされなくて可哀想だとは思うけども違うじゃん。

一人で考えていると携帯が鳴った。


 伊月から返信で「了解した」と「電話できるか?」と送られてきていたので「電話できるよ」と連絡を返した。そしたらすぐに電話がかかってきた。


『なんで生徒会に行くことになった?』

「それが分からないんだよね」

『理由を聞かなかったことに対しては何も言わないけどな。面倒くさい注意点があるんだぞ』


 梨奈姉さん、注意点は知っているみたいですよ。なんで知っているかを聞くと緋華さんが伊月に対して言ったらしく僕と同じ感想を言ったそうだ。まあそうなるよねと思いつつ本当に大丈夫かを聞いた。


『大丈夫だぞ。明日から部活の体験入部があるぐらいだし何もすることもないからな』

「うげっ……体験入部」

『そういえば中学の頃いやな思いしたもんな』


 中学生の時に伊月と一緒に運動部の体験入部に行ったことがあるんだけど、全部の部活でずっこけたり怪我をしたり備品を壊してしまった。部員の方々は優しくしてくれたからよかったけど、とある部長さんが凄く怖かった。


『あの部長が変人だっただけだから気にするな』


 サッカーの体験入部であった部長さんが僕に一目惚れしたらしく距離を詰めようと色々としてきたので本当にしんどかった。息が荒いし距離も近いしベタベタ触ってくるのを我慢してたけど、流石にお尻を触られたのは我慢ができなかった。


『お前の回し蹴りで気絶するのは予想外だったがな』

「笑わないでくれないかな?」

『悪い悪い』


 その部長さんは退学処分と部活を強制的に辞めさせられた。僕は何も処分されてはいないので助かりはしたからよかったけど、回し蹴りで気絶したから何かあっても誰にも文句は……言われてもいい筈なんだけど。


『知ってるか? あの変人が事故にあったのらしいぞ』

「そうなんだ」

『不注意だったらしい』


 伊月から聞いた話によると事故にはあったが今では元気が有り余っているぐらいでいるそうなので少し良かったと思った。体験入部のことがなければ普通にいい先輩ではあるから元気にやっているのは良かった。まあいい先輩だったとしても関わりたくはない。

そういえば伊月って中学受験をするって話だったような。


「なんで中学受験やめたの」

『あ~それな』


 伊月はなんでも僕のことが心配過ぎて受験をするをやめたらしい。僕が原因でやめさせてしまったのは罪悪感が凄いと思っていたけど理由はそれだけではなかったそうで、緋華さんが受験をするって親に言ったらしく親と伊月がそれを止める為にもやめたってことなのだとか。


『まあ俺の本心としては雨歌と一緒に居たかっただけどから』

「伊月……アホなの」

『おい』


 恥ずかしいセリフをたまに素で言ってくるから困るんだけどこの親友。ベッドの上で仰向けで寝転がり恥ずかしいのを我慢する。僕が女の子だったら伊月に惚れていたのは確実なんだよ。男の僕でも惚れそうになる時があるから女の子だったら確実に耐えれないよ。


 正直言って緋華さんに出会ってなかったら僕は伊月に恋心を抱いていただろうと思える。伊月からしたら迷惑でしかないので頑張って押し殺すしながら友人としての関係に留まったままになるんだろうね。容易想像できてしまう。


『そうだ。ずっと聞きたかったことがあるんだが』

「伊月が僕に?」

『緋華の第一印象』


 緋華さんの第一印象ね。あれ??? どんな印象だったか覚えていないんだけど、どうしよう。流石にそれを言うと伊月に何を言われるか分からないから何かを言わなきゃ。綺麗だったとかは僕っぽくはないな。伊月の第一印象なら覚えているんだけどなぁ。

伊月は初めて会った時は「ちかよるな、カス」って言われたからいまだに覚えている。なんだコイツって思ったのを。


 緋華さんは全く思い出せない。緋華さんとは迷子になってたし、顔が怖いお兄さんに絡まれてたのを助けたからの付き合いだからね。その後にストーカー行為を時々するようになったからストーカーの方が印象が強いからなあ。それでも綺麗だと思うな。


「えっと……綺麗だと」

『曖昧な感じだな』

「中身はアレなところはあるけど、この世界の人ではないような感じはしたかな」

『お前ってたまにひどいよな』


 伊月はそう言って電話を切った。伊月の方がひどいことを言っているが多いし緋華さんは見た目は凄く美人だけど、結構残念な行動をしたりとかアホみたいな行動をしていることの方が多いんだから。

あ! 明日生徒会に行くなら何かお菓子でも持って行った方がいいよね。時間はまだ21時前だし何か作っておこうっと。


➖津堂家(伊月の部屋)➖

–伊月視点–

 雨歌との楽しい電話をやめたのには理由がある。雨歌の心の声がだだ漏れで俺が恥ずかしさで死にそうになってしまったからで、嫌いだからという理由では決してない。緋華に会ってなかったら俺のことを恋愛感情で好きになって結婚までしたいくらいに愛おしいだと。

・・・まあそこまでは言ってはないが死ぬかと思った。


 話題を変える為に緋華の第一印象を聞いてみたが、最後のは俺と同じ印象だったのは意外だな。この世界の人ではないように見えたというか、違和感が凄かったと言うべきだ。雨歌の場合は綺麗すぎてという感じだろうけどな。


 明日生徒会にいかなきゃいけないのは面倒だな。緋華の奴も呼ばれているだろうし、正直面倒なんだよな。サボりたいが明日は絶対に雨歌の手作りお菓子が食べれる筈だから行くしかない。明日のお菓子を美味しく食べれるように妖狐に色々情報を貰っておいて色々と頑張るか。ゲーム内でのイベントなどもあるかもしれないからな。

そういえば女主人公はどうなった? いつ出てくるかも聞いておかなきゃな。


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