第16話 神獣
「えっと、神獣って?」
「神獣様は霊獣の中から極々稀に生まれてくるまさしく神の使いのような存在です。もし村で生まれたのなら確実に崇める存在となります。一体どこから……」
そんなにすごい存在なのか。お、目が覚めたぞ。
「お腹が、空いた。なに、か、食べ物、を。」
「たしか食料を持ってきたはずだよな。それを分けてあげようじゃないか。」
「分かりました。すぐに持ってこさせます。」
1分もしないうちに食料を持ってきて神獣様に渡した。
「ほら、食料だ。たくさんあるから全部食べてもいいぞ。」
「ううっ、ありがとう。」
感謝しながらものすごい勢いで食べていく神獣様、……ほんとに足りるのか?
「とりあえずイレギュラー発生ということで一旦城へ戻ろう。」
「分かりました。神獣様、お城へ行きますのでこれにお乗り下さい。それとなぜこんなところにいたのか事情を少し聞いてもよろしいですか?」
「わかった。」
馬車に乗って神獣様が一息ついたあと神獣様はここまでの経緯を話してくれた。
「実は僕はある村で生まれたんだ。でも普通の色と違う僕は村で他の人達にいじめられてたんだ。それにみんな人になれるのに僕だけは人の姿になれないんだ。だから村全体で酷い扱いを受けるようにもなって辛くて逃げ出したんだ。」
そうだったのか。でも神獣って村の奴らは分からなかったのか?
「しかし、あなたは神獣なはずです。いくら人の姿になれないとしても村の中では崇められる存在のはずでは?」
「元々神獣の存在ってごく一部の人しか知らないんだ。だから村の人達は気づかなかったんだと思う。でも、村長達は知ってるはずなのにあえて言わなかったんだ。」
ごく一部の人しか知らない?なんでデーテルさんは知っているのだろう。後で聞いておこう。
「なるほど事情は分かりました。それでこれからどうしますか?魔王様と神獣様の意見を聞かせてはくれませんか?」
「城にもいくらか空いている部屋もあるだろうし庭もある。それに神獣と言うなら狙いに来るやからも多いだろうから保護をしてあげたいと思う。」
「僕は行き場もないし守ってくれるなら喜んで!でも、守られてばかりはいけないと思うんだ。だから僕にも訓練をしてくれない?僕も強くなりたいんだ!」
「ではお城に住むということでよろしいですね。」
こういうわけで神獣様が仲間になった。
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(side霊獣の村)
「ふむ、神獣はどこかへ行ったようだな。まったく、神獣が出てきてはわしの権力が大幅に下がってしまうでは無いか。村のヤツらが神獣の存在を知らなくて良かったわい。どうせやつも魔物共に食われてるだろう。」
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