709 ドルヴァ
『ウォルト。私はよくないと思う』
『お前は、なにを考えとるんじゃっ!』
命を狙われた傭兵を倒した夜のこと。
住み家で安眠中のウォルトの夢に訪問者が2人。神木の友人ウルシとバラモだ。2人が怒っている理由は…。
『昼の話を仲間から聞いたよ。君がいつか死ぬのは当然だ。私やウルシもそうだ。生ある者はいつか必ず消滅する。それが世の理だ』
『言うに事欠いて、儂らに吸収してほしいじゃと?!何様なんじゃお前はっ!』
『正直に気持ちを伝えただけなんですけど』
なぜか気に入らない様子。
『私とウルシがなぜ怒っているか理解できないんだろう?』
『はい』
『お前は冷たい奴じゃ!他の者から聞かされる身になってみろ!』
もしかして…言われたのが自分じゃないから怒っているのか。
『ウルシの言う通りだ。私は神木で君と初めて友人になったと自負してる』
『次が儂じゃ!』
『私にとって君は特別な存在。初めて出来た人族の友人で、キャミィという新たな友人との縁も繋いでくれた』
『儂は未だにお前だけじゃがな!』
『そして、人族にとって死は特別なことだと知っている。私達と感覚が異なるとしても、我々は長い年月人族を観察して学んできた』
『泣き喚くほどの想いを伝えられながら、焼かれたり埋められる者を見てきたんじゃ!悲しみという感情はわからんが、そういうもんだと理解しておる!』
『だからこそ、君の遺言を初めに聞くのは私達でありたかった』
『つまり、ただの我が儘で怒っておるんじゃ!』
とてもわかりやすい説明だ。
『嬉しく思います。そして、すみませんでした』
ちょっと前までのボクなら首を傾げてた。けれど、今は頭を下げることができる。4姉妹のように特別な人達から、想い想われることを教わったから。
『わかってくれたかい。精霊が大人げないと思うけどね』
『精霊に子供も大人もない!』
『この場を借りて、お2人に改めてお願いします。特にウルシさんに』
『なんじゃ?』
『もし、ボクが森で死期を悟ったとして、動ける元気があればウルシさんの元に行きます。バラモさんには死ぬことを最初に伝えます。可能な限りですが、どうでしょう?』
『私はウークにいるから仕方ないか。それでいいよ』
『………』
ウルシさんは黙っている。気に食わなかったかな?
『ウルシ。どうしたんだ?』
『……儂には荷が重い』
『深く考えないで下さい。吸収できるだけ栄養にしてもらえたら。不味かったらそのまま放置してください』
『美味いとか不味いという感覚などないわ!ウォルト、お前はどこまで本気なんじゃ!?』
『というと?』
『儂は、たとえバラモが消え去ろうと、そういうもんじゃと納得しかしない。逆もそうじゃろう。じゃが人族は違う。墓という生きた証を長年残したり、度々集まって泣いたりする。あらゆる場所で見たんじゃ。お前は人知れず土に還ると言うのか?大切に想ってくれる者が少なからずおるじゃろう』
『ウルシさんに心配されるなんて』
『真面目に答えんか!』
『冗談を言い合える仲こそ親しいらしいので。ボクは真面目に答えていますよ。栄養として土に還った跡に、花が咲いたり木が生えて立派な実がなる。そうなれば本当に最高で嬉しく思います』
価値があると思えるんだ。誰かが「花が綺麗」とか「果実が美味しい」と喜んでくれるなら。人でも動物でも構わない。そんな一部になりたい。
『世界から忘れ去られ、森に散らばる一掴みの土になると言うんじゃな?』
『骨の一粒まで溶けてなくなるのが理想です。願わくば、塵が風に飛ばされて、ほんの一瞬でも鳥のように地表を空から眺めたら最高ですね』
『…わかった!その時は儂がお前を骨の髄まで吸い尽くしてやるからな!』
『お願いします。ただ……未来はわかりませんが、ボクが誰かと暮らしていて、その人が墓に入れたいと言ったら許して下さい』
『ははっ。当然だよ』
『人族には人族のルールがある。その時は干渉などしない。人らしく死ねばいい』
2人は笑ってくれる。
『ボクの考えは人族でも珍しいのかもしれません』
『君も自覚してるのか』
『死から逃げるように懸命に生きるんじゃなくて、死後にいいことがあると思いたいだけなんですけどね。日々の暮らしで死を意識しているので』
いつ不意を突かれて魔物や人に殺されてもおかしくない。常に隣にいるような感覚。
『望みが土に還って森の栄養になることとは、お前らしいかもしれんな』
『死後の望みはきっと人それぞれで、番がいれば同じ墓に入りたいというのも理解できますし、転生を願うのも理解できます』
アイヤばあちゃんのように、じいちゃんの傍に行きたいという願いも。
『バラモさんやウルシさんには、死後の望みはないんですか?』
『私達には人のように寿命という概念がないから、いつなのか予想すらできない。ただ、いつの日か消滅するだろう』
『考えるだけ無駄じゃ。儂らはお前達のように子孫を残すこともない。この世に未練があれば違うのかもしれんな』
『そうなんですね』
人と精霊に限らず、十人十色でいい。弔いに正解なんてないのだから。
『長居してしまった。そろそろお暇しよう。今日は感情的に話してしまったけれど、自分でも驚いているんだ。ウルシに唆されたんだけどね』
『なにを言っとる!ウォルトの発言をどう思う?と言い出したのはお前じゃろうが!』
しばらく続きそうな小競り合いを見ながらボクは眠りについた。
翌朝。
いつものようにスッキリ目覚めて、日課の草むしりや畑仕事をこなしていると、いきなり話しかけられた。
『ウォルト』
ボクの名を呼ぶ声の主に心当たりはない。わかったのは、人ではないということ。
ゆっくり歩み寄ってボクからも話しかけた。
『ボクの名前がわかるんだね』
『生を受けてからずっと見ていたよぉ。仲間達と意識を共有して少しずつ学んで、やっと話せるようになったんだぁ』
『そっか。これからよろしく』
眼前にはまだ育ちきってない小さな木。ボクが植えた木は、ユグさんが宿ったことにより神木に成長すると予告されていた。ちょっと間延びしたような話し方なのは、まだ上手く話せないとかかな?
『なぜ育ててくれたのぉ?』
『育てたかったからだよ。世話しなくても自然に育っていたと思うけど。君がどう育つのか興味があった』
頼まれてもいないし、ユグさんに言われたパナケア目当てでもない。
『皆の言う通りだなぁ。マムからも言われてるぅ』
『なんて?』
『ウォルトの思考は人族より我々に近くてぇ、わかりやすいって』
『そうかな?』
『細かいことを言わないし、思ったことを口にするからそのまま受け取ればいいと言われたよぉ』
『そうか。訊きたかったんだけど、君をこの場所に植えてたのは世話しやすいからなんだ。好ましい場所に移植もできるよ。どうする?』
『このままで構わないよぉ。もし嫌になったら頼みたいなぁ』
『わかった。ところで、君の名前を教えてもらいたいんだけど』
『マムからウォルトにつけてもらいなさいって言われてるぅ。だから話しかけたんだぁ』
ボクが精霊の名付け親に?
『君はいいのかい?自分の好きな名前を付けた方がいいんじゃないか?』
『思いつかないし、マムも面倒くさかったんじゃないかなぁ。頼むねぇ』
『わかった。……じゃあ、マクナって名前はどうかな?』
カネルラで大樹や樹海を表現する言葉。ライアンさんの編み出した美しい魔法の名にも使われていて、枝が雷のように綺麗に広がっているところから連想した。
『じゃあ、今からマクナってことでぇ』
『もう決めるのかい?気に入らなければ他にも考えるよ』
『なにか意味があるんだろぉ?人族は名前に想いを込めるってマムが言ってたぁ』
名付けの理由を伝える。
『いいじゃないかぁ。気に入ったよぉ』
『だったらよかった』
マクナはのんびりした口調だからか、ゆっくり話せる。ウルシさんとは対照的だ。
『マクナに言っておきたいんだけど、ボクの行動を見るより、他の人族を見た方が学べるよ』
『毎日草花を大切に育ててるし、静かでいいよぉ。仲間にも羨ましがられるんだぁ』
『羨ましいことなんてあるかな』
『ウォルトは人気者なんだぁ』
人気があるとしたら、理由は珍しい獣人の魔法使いだからとみた。
『まず、話せることがあり得ないんだってさぁ』
『精霊は話しかけないからね。誰も木が喋ると思ってないんだ』
『そうなのかぁ』
ウークの真言事件がいい例。怖がられる可能性もあるから気持ちはわかる。不必要に話したくないんだろうし。
『なんか、平和って感じだよねぇ』
『そうだね』
話していてまったりするなぁ。空を見上げると雲1つない。とてもいい天気だ。
『ちょっといい?』
突然知ってる声が響いた。
『あれぇ?マムだぁ』
『ユグさん。御無沙汰してます』
『えぇ…って、そうじゃなくて、会話を聞いてたけどおかしいと思わない?』
『なにがぁ?』
『おかしくないと思います』
『ウォルトにこの子を任せたのはいいけど、性格が似ちゃったわね』
『そうかなぁ?』
『そうですか?』
『細かいことを気にしないもの。私は世界樹なんだけど』
『知ってるぅ』
『知ってますよ』
本体を見たことはないけど信じてる。信じられる存在。
『木の精霊の始祖と呼ばれ、語弊はあるけど間違ってはいないわ』
『マムは凄いねぇ。始祖なんだぁ』
『確かにね』
『マクナ。貴方は世の理を学ばなければいけないわ。この森は素晴らしい場所だけど、外の世界に目を向けなければ』
『わかったぁ』
まるで子供みたいだな。マクナがどんどん可愛く思えてきた。
『ユグさんは、マクナが心配で様子を見に来たとか?』
『いいえ。貴方に頼みたいことがあって来たの』
『なんですか?』
『ちょっと私のいる場所に来てくれないかしら』
『ユグさんってどこにいるんですか?』
世界樹が存在すると書かれた文献はあっても、鎮座する場所は公になっていないはず。
『星が降る、世界の裏側よ』
『世界の…裏側?』
『来てくれるなら連れて行くわ』
『行ってみたいです』
世界の裏側を見てみたい。
『どんな場所か詳しく訊かなくてもいい?未知の領域なのに』
『昨夜、バラモさんとウルシさんが夢に遊びに来てくれました。きっと不思議で、似たような感じでは?』
『ふふふっ!ウォルトにとっては同じかもしれないけれど』
『帰って来れますか?』
『それは貴方次第ね。それでも行く?』
『行きます。気になるので』
『では行きましょう。マクナに触れて頂戴な』
『こうですか?』
そっと掌を添える。実は神木に触れるのは初めて。次の瞬間、マクナが眩いばかりの光を放ち、ボクは目を開けていられず瞼を閉じた。
『ウォルト。着いたわよ』
本当に?数秒しか経ってない。
目を開けると周囲は暗い。夜という表現が合っているのかわからないけれど、空には星が煌めき、涼やかな風が吹いている。暑くも寒くもない。
傍にユグさんの姿はなくて、少し離れた場所に見たこともない巨大な樹木が聳え立ち、荘厳という言葉が似合う。全てを視界に収めるのには離れて眺める必要があるほどの巨木。
『人を招いたのは初めてよ』
意識に語りかけてきた。
『光栄です。ココが世界の裏側なんですね』
『そうよ。貴方と同じ世界に生きている。訊きたいことがあるかしら?』
『ボクに頼みたいことってなんですか?』
『あはっ!ブレないわね。この場所に興味を示しているのに、依頼の内容を優先するなんて』
『気になりますが、まず招いてもらった理由を知りたいので』
『わかったわ。私に近付いてくれる?』
ユグさんに歩み寄ると、精霊の力を纏っているのがわかる。それも凄まじい含有量。バラモさんやウルシさんの比じゃない。
『こっちに回ってくれないかしら』
ユグさんの幹を一筋の光が流れる。光の流れは幹の裏側に向かって流れ、追うように移動すると途轍もなく大きな岩がある。
『この岩を動かしてもらいたいの』
巨岩は直径がボクの身長の軽く数倍ある大きさ。重量も凄まじいのは想像に難くない。どうやって置かれたんだろう?落ちてきたとか?
『どかせばいいんですね?』
『えぇ。できるかしら』
『やってみます』
重力魔法で重量をなくして持ち上げてみよう……と、魔法を付与する直前で気付いた。
『結界が…』
巨岩を覆うように結界が張られている。今は『感覚強化』したからハッキリ見えているけど、裸眼では視認することすら難しい。
あらゆる魔法の効力を無効化する結界…だと思う。ただし、正確に解析できている自信がない。かなり複雑で初めて見る術式構成。だからあくまで推測。
『さすがね。私にはわからないけれど』
かなり高度な魔法を操る魔導師に違いない。
『結界を解除できなければ、ボクには動かせません。できるかわかりませんが…是非やらせてもらえませんか?』
『もちろん。そのタメに貴方を呼んだのだから。時間はかかっても構わないわ』
『ありがとうございます』
あらゆる角度から結界を眺め、少しずつ解析を進める。時間をかけてゆっくりと。
数時間かけて解析した結果、理解できない術式が半分以上。推測できるのが3割。解析できたのはたったの2割ほど。『割芯』も使用してフル回転させた頭を休める。
なんて複雑かつ高度な魔法結界だ。自分の知識のなさに打ちひしがれて……解除してみたいという我が儘な欲に駆られている。
『ウォルト。どうかしら?進んでいる?』
『はい。本当に少しずつですが』
『帰れるかは貴方次第と言ったのはこういうことよ。帰りたくないでしょう?』
『はい』
ボクの性格を読んでの発言だったのか。「解析できない」と白旗を上げ、放置するなら直ぐに帰れる。選択をボクに委ねてくれたということ。
『閑話休題で、私はこの場所に人を招いたことはないけれど、過去には訪れた者がいるの。来る方法は幾つか存在する』
『だからユグさんの存在は知られているんですね』
『この岩は訪れた人族が置いた。誰か知りたい?』
『知りたいです。結界を張った魔導師でしょうか?』
『その通り。ドルヴァよ』
『聞いたこともない名前です』
初めて聞くけどきっと忘れない。いつの日か会ってみたいな。遙か昔の魔導師かもしれないけど。
『名前じゃなくて私が付けた愛称なの。ドルヴァは『特別』を表す精霊界の言葉。他の誰とも違う存在。ウォルトはそんな魔導師を知っているんじゃない?』
誰とも違う特別な魔導師…?
…………まさか。
『ボクの師匠……ですか?』
『御名答。ドルヴァは、私の知るこの世界最高の魔導師。そして貴方の魔法の師匠だと確信しているの』
であれば、ボクも納得しかない。
『師匠の組んだ術式なら気付けると思っていました。構成に少なからず個性があるので。ですが…全く気付けなかった』
別人が組んだ術式としか思えない。住み家の防御魔法や結界とは形態から全てが異なる。師匠らしさが皆無だ。わざと偽装している可能性もあるな。
性格と違って、魔法の知識と技量は本当に底が見えない。相変わらず想像の遙か上にいるな。死ぬほど修練しなければ追いつけないと再認識できた。
『別にこのまま放置してもいいのよ』
『やらせてもらえないでしょうか。長居することになるかもしれませんが、お願いします。ボクに解除させて下さい』
『ふふっ。構わないわ。ドルヴァは、私のタメにこの岩を置いてくれたの』
『理由はなんですか?』
『元々その岩は地中に埋まっていた。根の成長を邪魔して、成長と共に少し私は傾いていた。けれど、自力で土を掘ったり異物を排除する力はない』
『その先はなんとなくわかります。「なぜお前は傾いている?」から始まり、ユグさんの事情を聞いて悪態をついたんじゃないですか?』
『ええ。「クソ面倒くさい」からの「埋めた奴は殺す」からの、いろいろあって「根が張って、地面が固まるまでこの岩で押さえておけ」までずっとね』
言動が予想通りすぎる。自然を愛するからユグさんを放っておけなかったんだろう。
『頼んでもいないのに、倒れないように私を固定して、勝手に地面を掘り起こし、岩を取り出して埋め戻した。全て魔法でね。初めて魔法に見蕩れてドルヴァと呼ぶことにしたの。名前を教えなかったから』
『師匠の存在は昔から知っていたのでは?』
『知らなかったわ。最初はどうやってココに来たのかと不思議に思ったのだから。よほど目立たぬよう生きているんでしょうね。「友人にならない?」と言ったら「ふざけるな。燃やすぞ」って脅されたのよ』
『最低で最悪の返しですね』
『ふふっ。そうね。ウォルトに会ったとき、似てると思ったわ。私が世界樹だと知っても、ずっと普通に接してきたのは貴方達くらい』
『ボクはいきなりの出会いでしたから』
ココに来た師匠は違うんだろうけど。なにかしら目的があったはずだ。
『とりあえず解析に戻ります。訊きたいことばかりですが、まず師匠の魔法を解除してみたいので』
『どうぞどうぞ』
ユグさんのおかげでヒントになった。師匠の結界だと知れたことが大きい。
魔法の知識では師匠に太刀打ちできない。ボクの知る理論での解析は無理に決まってる。熱くなるだけ無駄な時間だ。
ボクは師匠の魔法を模倣しながら習得してきた。だから、この反魔法結界も模倣しながら解析してみる。あまりに複雑な術式だから、一部分ずつ細かく模倣して効果を解析していく。実際の効果に連動や相乗の付与も重ねているはず。
気の遠くなるような作業になる。でも、師匠の結界だと思えばやる気しかない。
クソ面倒くさい。でも絶対にやりきってみせる。
★
何十時間経ったろう。
食事はおろか水を飲むことすらせずに解析を続けた。そして、遂に結界の解析を終えた。解除するにはたった一点を書き換えるだけ。シンプルな解除法に行き着いた。
ただ、無効化したり無理に術式を破壊すると、術者にとんでもない不幸が降りかかる結界だった。相当な苦しみを味わっていただろう。
『ユグさん。岩をどけますね』
結界を解除した後、『無重力』で軽くした岩を持ち上げて避ける。
『ありがとう。重しが取れて軽くなったわ』
『何日も待たせてしまってすみません。住み家の…畑が……気になるので……』
………はっ。気を抜いて寝てしまいそうだった…。危ない危ない…。ボクの感覚では、丸2日以上かかってる。さすがに眠いな…。
『少し眠ったら?眠らないと人族は死ぬんでしょう?』
『いえ…。花や野菜に…水をあげていません…。少しでも早く帰って…』
『大丈夫よ。マクナに水を分けるように言っておいたから。住み家一帯は心配ないわ』
そんなことができるのか。
『またゆっくり話しましょう。今日はありがとう』
『はい…。こちらこそ…ありがとうございました…』
『じゃあ、私に触れてくれる?』
ユグさんに触れると、いつの間にか住み家の庭に戻っていた。畑に目をやると、花も野菜も瑞々しさを保っている。
『マクナ、ありがとう。助かったよ』
水魔法に『成長促進』を混合してマクナに吸収してもらう。
『ウォルト。おかえりぃ。会いに来た女の子が怒ってたよぉ。どこに行ったかわからないってぇ』
『教えてくれてありがとう』
直ぐに連絡すると、世界の裏側までは魔伝送器が通じなかったようで4姉妹に怒られた。心配してくれて有り難かったけど、あまりの眠さに会話しながらボクの意識はほぼ飛んでいて、夜にまた怒られた。




