681 寄る年波
ウォルトは4姉妹と一緒にトゥミエを訪ねた。
理由は「5人で帰ってこい」と母さんに言われていたからで、約束通り泊まりで行くことに。皆が休みを合わせてくれた。それと…母さんがシャノ達が旅立ったことでショックを受けていないか心配だったのもある。ボクらは親子だからそう思えた。
「思ったより元気そうで安心したよ」
持参した花茶を淹れて母さんと会話する。
「かなりヘコんだっての!でも、いつまでもくよくよしてられないでしょ。毎日アレを見てたら」
「そうか…」
ボクらの視線の先には父さんが座ってる。今日は仕事がたまたま休みだったみたいで家にいた。そして、見るからに落ち込んでいる。一気に瘦せたんじゃないか…?
「教えたらストレイの方が落ち込んじゃってさ、しばらくひとっことも喋んなかったんだよ」
「父さんのこんな姿は初めて見るよ」
サマラを筆頭に4姉妹から慰められる姿は、少し前のボクを見てるようだ。
「ストレイさん!また会えるって!大丈夫!」
「シャノ達はウォルトさんのご飯を食べて逞しくなってました。元気にしてるはずです」
「落ち込まずに帰りを待ちましょう!」
「戻ったら直ぐに連絡します」
「……む……ぅ…」
がっくり肩を落として元気がない。
「ストレイはシャノが好きだったみたい。可愛くて仕方なかったって」
「シャノも父さんに懐いてたからなぁ」
「もちろん子猫も好きだったけど、同じ親として仲良く会話したみたい。添い寝までしてるし、情が移りまくってんだよ。浮気猫で困ったもんだ」
「ははっ。気持ちはわかるだろう?」
「まぁね。アンタ達が来てくれてよかった。騒がしい方が気が紛れるでしょ」
「4姉妹には敵わない。ボクも助けてもらったんだ」
「大切にしなさいよ」
「言われなくてもわかってる」
ボクもまだいつも通りとは言えない。でも、皆と会話したり一緒にいることで平然としていられる。
「ところで、泊まりに来いって行ってたけどベッドある?」
「あるワケないじゃん。皆でウォルトの部屋で寝なよ」
やっぱりな。適当すぎる。
「ストレイ。落ち込むのはいいけど、せっかくだから今だけでも気合い入れて。皆とはそうそう会えないんだから」
「……そう……だな……すまん…」
「ミーナさん、仕方ないよ。だって3人とも猫の獣人じゃん。私が狼と暮らしてて、いなくなったら泣くもん」
「悲しいのに空元気なんて、逆に見てて痛々しいです」
「私達の仲じゃないですか!少しずつ元気になればいいんですよ!」
「私は羨ましかったです。祖先と触れ合えるなんて幸せですよね。一生の内のわずかな時間でも」
「泣ける…。やっぱり4姉妹は私の娘だ!ウォルト、アンタはしっかりしなさい!」
「うん。意味がわからないけど」
とりあえず、昼ご飯がまだだから作らせてもらおうか。父さんの体調も心配だし。肉と野菜の栄養満点料理にしよう。食材は『圧縮』して持ってきた。
「う~ん…。本調子じゃないね。天才料理猫らしくない味だ」
「でも、大分回復してるよ」
「7割ってところでしょうか」
「ゆっくりでいいんです!」
「充分美味しいよ」
ちゃんと忖度なしで教えてくれるから助かる。自分自身の感覚とのズレが確認できていい。
「父さん。少しでも食べてほしい。ボクもサマラ達の料理を食べるまで空腹に気付かなかったんだ」
「む…ぅ…。………うまい…な…」
「ありがとう」
今回の出来事で食は大事だと再認識した。食べないと意欲が落ちる一方で、前向きな気持ちになれない。父さんは綺麗に食べてくれた。少しでも活力が戻るといいけど。
「今日はちょうどガレオさんの命日なんだ。墓参りしてくる」
「私達も行こう!いいよね?!」
「もちろん」
先生だったから騒がしいのは嫌いじゃないはず。4姉妹とガレオさんの墓に向かう。前と同じように伸びた草を刈り揃えて花を咲かせて皆で祈りを捧げた。
「私はガレオの言ってること全然わからなかったなぁ」
「難しい表現を好んだね。獣人相手でも関係ない人だった。教わったことは覚えてるけど、未だに意味がわからないことも多い」
「ウォルトのこと気に入ってたよね。学問所に1年とか通った獣人ってウォルトくらいじゃない?」
「だと思う。サマラは1ヶ月も行ってないよね」
「私はだいたいわかったから!」
学問所がどういう所か…って意味だろう。
「私とアニカは、クローセの大人達から教わったね」
「学問の日が週に2、3回あって、村の大人達が代わる代わる教えてくれたよね!しかも、5歳くらいから始めて、期限が決まってないから今でも通っていい!」
「誰も来なかったり、仕事が忙しかったり天気が悪いとやらないし、結構適当だったかも」
「そうそう!チャチャ、ダイホウはどう?」
「基本的に村長が教えてます。「お前はもういい」って認められるまで通うことになるし、教え方も厳しいです。ウチの村長も種族とか関係ないんで」
「チャチャは賢いから怒られなかったでしょ!」
「相当怒られましたよ。おかげでいろいろ覚えました。そろそろカズが行くんで、今の内から簡単に教えてます」
学んできた環境は違って当たり前。カネルラでは誰もが平等に学べる『学校』を作った歴史があるけど、上手く浸透しなかったみたいだ。現代では研究者や学問所の先生なんかを目指す人が通う高度な知識を学ぶ施設に変化したらしい。コレもガレオさんから教わった。
「次は私の家まで付き合ってくれない?マードックの子供が生まれたって教えに行きたいの」
「行きましょう!ランさんの喜んだ顔を見てみたいです!」
「見せないと思うよ。照れ屋だから」
ということで、サマラの実家に移動する。
「頼もぉ~!お~い!いないの~!?」
実家とは思えない声かけ。
「ウォルト。中にいるか魔法で調べて」
「いいのかなぁ?」
「娘がいいって言ってるからオッケー」
『周囲警戒』で建物を調べると、中には誰もいない。
「いないね」
「そっか。じゃあ、中で待とう!」
サマラがノブを無理やり捻ってドアを壊した。乱暴な強盗のやり口。躊躇わない凄さ。
「ウォルト、魔法で直せる?」
「できるけど、ちょっと不恰好になるよ」
「大丈夫!よろしくね!」
4人が先に入り、ボクは砕けたドアの欠片を集めて『同化接着』する。どうにか綺麗に直せた。
サマラが弓を持ってきて庭で的当てを楽しんでいると、ランさんが帰ってきた。買い物カゴをぶら下げてる。
「お前ら…なにしてんだ?」
「お母さん、おかえり!」
「おかえりじゃねぇよ。なんか用か?」
「マードックの子どもが生まれたから教えに来た!」
「そうかよ」
「遂におばあちゃんだね」
「けっ!嬉しかねぇってんだ」
匂いは正直だ。
「お父さんは?仕事?」
「夕方には帰ってくる。ゆっくりしていけや」
「その前には帰るよ。話長くなるし」
「いいから会っていけってんだよ!会わねぇなら二度と帰ってくんな!」
「しょうがないなぁ!会っていくよ!」
「お前らもゆっくりしていけや!」
「ボクはハルケ先生のところに顔を出してきます。また戻ってくるので」
「おぅ!勝手にしろ!それと、祝宴の時の飯、死ぬほど美味かったぞ!ありがとよ!」
「こちらこそありがとうございます」
4姉妹と別れて診療所を目指す。忙しそうだったら直ぐにお暇しよう。診療所に着いたけど、患者はいないみたいだ。
「先生。ミシャさん。いますか?」
2人が揃って顔を出した。
「ご無沙汰してます」
「久しぶりだな」
「ウォルト!元気だった!?」
「はい」
ミシャさんは赤ちゃんを背負ってる。
「大きくなったでしょ!名前はトッキだよ!」
「可愛いですね」
「抱きたいでしょ!」
「是非」
そっと抱きかかえると泣かないでくれた。ララちゃんにも好評だった花の魔法を見せる。パッパッと眼前で咲かせた。
「うぁ~!」
「楽しい?」
コレまでの経験上、赤ちゃんには単純で驚かせるような魔法が喜ばれる。どんどん見せると楽しそうでなにより。極小の『連続花火』とか、顔だけいないいないばぁもウケる。
「ウォルト。そのくらいにしといてくれ。癖になったら大変そうだ」
ハルケ先生は苦笑い。
「すみません。つい楽しくなってやりすぎました」
「ウォルトがいたら、べそかいても直ぐに泣き止んで助かりそう!」
「あぁ。赤子も驚く魔法だ」
「そういえば、マードックも子供が生まれました」
「おっ。そうなのか」
「マジでっ?!マードックも父親かぁ。番ができたのはリカントから聞いたけど」
「可愛かったです。狼ですけどアイツに似てなくて」
「ははっ。マードックに似たらゴツくなるだろうな」
「次はウォルトだよ!」
「番ができてからの話ですね」
「そういえば、4人は一緒に来てないの?」
「サマラの実家にいて、ランさんと話してます」
「相変わらず仲良しだね~」
「ウォルト。包帯なんかに治癒魔法の付与を頼んでいいか?最近怪我人が多くてな」
「任せて下さい」
在庫全てに付与する。魔石にも治癒魔法を込め直した。
「あっという間に傷が治るもんで重宝してる。滅多に使わないが」
「呼ばれたらいつでも来ます。遠慮なく使って下さい」
「そうはいかない。治癒師が商売あがったりになってしまう。今でも滅多に手に入らない魔法の包帯って言って誤魔化してるんだよ」
気遣いが先生らしいけど、この町の治癒師や薬師は自己中心的だと思う。親身に治療してくれるのはハルケ先生だけ。
トゥミエに限った話じゃないかもしれない。ステファニアさんのような治癒師がいてくれたら…なんて無理だな。あの人は存在が奇跡のような人。
「トッキちゃんにお土産を渡したいんですが」
作ってきた兎のぬいぐるみをポケットから取り出す。
「あぅっ!うぁっ!」
「気に入ったみたい。器用だね」
「噛んだりしても破れないので安心してください。汚れないように魔法で加工してます」
「ありがとう。いつも悪いな」
「まだまだです」
2人には返しきれないくらい恩がある。
「ははっ。ガレオさんみたいだな。亡くなる直前まで口癖だった…。まだまだ死ねないって気丈で」
「ボクにとっての先生は、ガレオさんとハルケ先生だけです。いつまでも元気で長生きしてください」
「俺はなにも教えてないぞ」
「学問じゃなく人の優しさを教わりました」
「ウォルト。私はなに?」
「姉さんです。姉と呼べる人は2人いて、ミシャさんは豪快で包容力がある長女ですね」
「よっしゃ!初恋は私でしょ?」
「初恋はサマラです」
「噓でもそうだって言いなさいよ!」
しばらく他愛のない会話をして診療所をあとにする。心が温まって足取りも軽くなる。そろそろリカントさんの仕事は終わったかな。サマラの家に行こう。
到着するとリカントさんは帰ってきてた。
「お久しぶりです。リカントさん」
「うむ…」
なにか言いたそうだけど、まったく思考は読めない。
「おい、リカント。ちゃんと言っとけ。またしばらく会わねぇぞ」
「あぁ…。……マードックの祝宴では世話になった…。流行病のときも…」
「気にしないで下さい」
「お前は器用なんだな」
「まぁね!」
「なんでサマラが答えるんだ?」
「ウォルトは「普通です」って言うからだよ!」
完全に読まれてる。
「そんなことより、お父さん腰痛いって言ってたよね?」
「そうだが、なんだ?」
「ウォルトにマッサージしてもらうといいよ。器用だから上手いの」
「必要ない。寝れば直ぐ治る程度だ」
「いいから!ウォルト。お願いできない?」
「ボクはいいけど」
「じゃ、ベッドのある部屋に行こう!」
嫌がるリカントさんとサマラと3人で移動する。
「じゃ、お父さん。うつ伏せに寝て!」
「必要ないって言ってるだろ」
「いいから!さっさと寝る!」
サマラが小さな声で耳打ちしてくる。
「ウォルト、ゴメンね…。かなり痛むのにやせ我慢してるみたいなの…。魔法で眠らせていいから治療してもらえない…?」
そういうことか。コクリと頷いてまず診察から始める。うつ伏せに寝てもらい『浸透解析』すると、腰骨が少し変形している部分があって優しく触れてみる。
「リカントさん。この辺りが痛みますか?」
「よくわかるな」
うつ伏せのリカントさんからボクは見えてない。魔法は使い放題だけど、軽くマッサージしながらゆっくり『睡眠』を効かしていく。
「確かに……気持ち……いいな……。ぐぅ……」
眠ったのを確認して、後は魔法で治療するだけ。治療から確認まで数分で終わった。
「もう大丈夫だと思う」
「急にゴメンね」
「大丈夫。サマラが上手く誘導してくれたし、修練になる」
「ありがと」
ハグしてきたのでボクも返す。寝てるとはいえ、父親の傍ではドキドキするな…。
「ふふっ。鼓動が速いね。悪いことしてるみたい?」
「心臓に悪い」
「親はいつまでも若くないんだなって思った。頑張ってるんだよね。父さんも母さんも、ストレイさんやミーナさんも…」
「そうだね」
「さっきまで皆で話してたんだけど、お母さんはウォルトが魔法を使えるって疑ってそうな感じがする。だから…頼むかどうか迷ったけど、今しかないし…」
「知られたら仕方ない。言わないでほしいってお願いするだけだ」
ボクが魔法使いだと信じてくれるのなら凄いことだと思う。ランさんは獣人だし、普通なら信じない。他の種族が勘付くのとはワケが違う。とりあえず、眠ったままのリカントさんを部屋に残して戻ることに。
「お父さん、寝ちゃったよ」
「ほっとけや。飯んときにゃ起こす。ウォルト、手間かけたな。筋肉見るか?」
「大丈夫です。大したことはしてないので」
「ちっ…」
危ない危ない…。油断大敵…。キレキレの筋肉を見せられる前に帰ろう。
我が家に帰って晩ご飯の準備をする。父さんも少し元気を取り戻してるように見えた。
「かなり天才料理猫が戻ってきたね」
「もう一息かな」
「かなりいい味が出てます」
「深みが戻ってきました!」
「文句なしで美味しいよ」
どうやら回復してるみたいだ。自分ではまったくわからないけど。
「ウォルト……。うまい……」
「それはよかった」
父さんも食べてくれてる。サマラの言う通りで、年齢を重ねたら疲れやすくなったり怪我もしやすくなるだろう。少しでも親孝行できてるかな…。
「皆がよければ、今度クローセとダイホウにも行きたい」
「いいね!私、クローセに行ったことないから!」
「皆でウチに泊まりましょう。楽しみです。村の皆は元気にしてるかなぁ」
「たまには里帰りしなきゃね!」
「ウチの家族も喜ぶよ。特にララが。タオにも行こうよ」
「そうだね」
ばあちゃんにも伝えたい。
「ところで、父さんと母さんは怪我とか疲れとかないのか?魔法で癒やせるけど」
「む…。大丈夫だ…」
「アタシも大丈夫!年寄り扱いするな!そんなことより、歩き疲れてるだろうから4姉妹を癒してあげなさい!マッサージとかしてさ!」
「身体に触れなきゃならないだろ。皆が嫌がるって」
「そんなことないっての!ねっ?」
4姉妹は揃って頷く。
「ほらぁ~!やってあげなさい!っていうかやれっ!」
「う~ん…。でも、さすがに…」
「あ~あ。冷たい息子に育って心が痛いよ。辺鄙な田舎町まで来てくれた友達を労れないなんて、ひどい獣人だ」
5人揃ってガッカリしてる…。本当に5姉妹みたいだな。
「そこまで言うなら……いや、でもベタベタ触るのはなぁ…」
「普通ならマッサージで変なとこ触らないでしょうが。なんでいやらしいことするみたいに言うのよ」
「そう言われると…」
「やってあげなさいっての」
「4人は本当にいいの?素人のマッサージだけど」
激しく同意される。だったらやってみよう。疲れを癒してあげたい。
「私達の寝室使っていいよ」
「ボクの部屋でいい」
「狭くない?」
「1人ずつなら大丈夫。順番はどうしようか…」
厳正な抽選の結果、ウイカ、チャチャ、アニカ、サマラの順に決まった。
「じゃあ、ウイカ。行こうか」
「はい!」
「終わったら呼びに来るよ」
★
ストレイはしっかり食べたら眠くなったみたいで寝室に向かった。ミーナはサマラとアニカ、チャチャとお茶しながら会話する。
「あぁ~~!んん~!」
ウォルトの部屋からウイカの悩ましい声が漏れてくる。結構大きめ。
「あの子……いやらしいことしてないよね…?」
「ウォルトに限ってない」
「別にいいんじゃないですか!お姉ちゃんは嫌がりません!」
「可能性は相当低いですけど」
出し抜かれてるとか思わないのが凄い。ウォルトの番になるのは、4姉妹の誰かであってほしいし可能性大だね。
部屋のドアが開いてウォルトが顔だけ出した。
「チャチャ。次いいよ」
「うん」
チャチャが部屋に入る。そして、また悶えるような悩ましい声が聞こえてきた。
「ウイカはどうしたんだろ?」
「見学してるんじゃない?治癒師を目指してるから」
「ウォルトさんは器用だから、すぐコツとか掴みます!人体に詳しいし、マッサージも上手そうです!」
しばらくして、またウォルトだけ出てきた。
「アニカ。いいよ」
「直ぐ行きます!」
アニカもまったく同じ状況で声が漏れてる。気になって仕方ない…。
「サマラ。いいよ」
「了解!」
最後はさーちゃん。さすがにさーちゃんは平然に……とはいかず、やっぱり悶えてる。
アタシは息子にとんでもないことをやらせたんじゃなかろうか…。いくら奥手といってもやっぱり獣人の若い男で、信じられない魔法も使う…。ここぞとばかりに悪さしてもおかしくない…。
やりきった顔のウォルトが部屋から出てきた。
「終わったの…?」
「終わったよ。喉が渇いたからお茶を淹れてくる」
台所に向かったのを確認して、こっそりウォルトの部屋を覗いたら、2つ並べたベッドで4人が寝てる。なんでベッドが増えてるのかわからないけど、気持ちよさそうな寝顔。どうやらなにもなかったみたいね…。
「母さん」
急に声がしてビクッ!とした。振り向くとウォルトが立ってる。
「どうしたんだ?」
「いや……よく寝てると思って…」
「ちょうどよかった。コツを掴んだから、母さんもマッサージするよ」
「あ、アタシはいいよっ!」
なんか怖いっ!
「たまには親孝行させてくれ」
ガシッ!と肩を掴まれて部屋に押し込まれる。ベッドに寝せられて直ぐにマッサージが始まった。
「ふぁぁ~…」
なにコレ…。気持ちよすぎる…。
「『聖女の慈悲』って力を使ってマッサージすると癒されるみたいだ。ベッドも『圧縮』『無重力』で持ってきておいてよかったよ。また1つ学んだ……って、もう寝たのか。疲れてたんだな。おやすみ」
翌朝。
ウォルトは起きて朝ご飯を作ってた。居間のソファで寝たらしい。4姉妹と一緒に寝せてあげたかったのに…。
みんなゴメンね…!次こそは仲を進展させてあげるから!




