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モフモフの魔導師  作者: 鶴源
613/690

613 力を受け継ぐ者の使命

 カネルラ王城にて。


「以上が御報告となります」

「あいわかった。ダナン、引き続き騎士団を頼む」

「かしこまりました」


 第2王子アグレオは他国の祭典に招かれて不在。闘気回復薬の育成や騎士団の訓練状況について、ダナンがナイデルへの報告を終えて部屋を出る。


「…おっと」


 廊下を歩きながらふらついて転びそうになる。このところ少し調子がおかしい。身体が上手く動かない時がある。生きていれば、激しい鍛錬後は身体が重いこともあるが、現在は皆無。


 もしや酒酔いか…?昨夜は悪友達と酒を酌み交わした。細かく味を感じられずとも、気の置けない仲間達と杯を交わすと心が高揚する。


「…考えすぎだな。酒に酔うなどあるはずもない」


 再び歩き出して直ぐに眼前が闇に包まれた。



 ★



 カネルラ騎士団長ボバンは、王城の訓練場にて指導中にダナンが廊下で倒れたとの連絡を受けた。


 廊下でメイドが発見したが、話しかけても反応がないという。直ぐに騎士団数名に指示を出し、急いで医務室へと運ばせた。


「ダナン殿。大丈夫ですか?」

「ダナンさん!起きてください!」


 医務室のベッドに横たわるダナン殿は、俺やテラの呼びかけに応えない。王城には腕のいい医師や治癒師が多数在籍しているが、英霊であるダナン殿を診断できるはずもなく、いくら治癒魔法を詠唱しても目を覚ます気配すらない。

 気付薬を甲冑に流し込んだり、少々雷魔法で刺激してみたりと、あの手この手で回復を試みたものの、治癒師も医者も完全にお手上げ状態。


 ダナン殿の甲冑の中は、がらんどうだという。以前、自分がどうやって動いているのか見当がつかないと笑っていた。医師や治癒師が見抜けるとは思えない。


「ダナンさん…」


 横たわるダナン殿を見つめて、同じく英霊のシオーネが呟く。


「シオーネ。原因は推測できるか?」

「わかりません…。私にはなにも思い当たりません…」

「元同僚の皆様にも声をかけている。なにかわかるかもしれん」

「はい…」


 シオーネの表情は読み取れないが、初めての出来事に困惑しているだろう。明日は我が身かもしれないのだ。アイリスは険しい表情で思考を巡らせている。いつもは騒がしいテラもアイリスの隣で黙って見つめている。


「ボバン!ダナンは!?」

「お待ちしておりました。こちらです」


 日々忙しい先人達が駆けつけてくれた。定期的に騎士団を指導する傍ら、時間を割いて王都周辺の巡回警備を行っている。ケイン殿やムバテ殿は、「現代の騎士団に介入するのは程々にしたい」と望まれた。ダナン殿は指導者に向いているが、自分達は不器用であるからと。先輩風を吹かして迷惑になるのも御免だと笑った。


 ただ、騎士団で困ったことがあればいつでもどこへでも駆けつけると仰られた。たとえ地獄であっても槍を片手に馳せ参じると。それだけで心強い。刃を交えて先人達の強さを知っている。優れた技量のみならず魂の強さを。


「おいっ!ダナン!起きろっ!」

「寝るな」


 声をかけてもやはり反応がない。


「まだ昼だ!俺達は寝なくていいだろ!この寝坊助がっ!」

「マヌケジジイ」

「後輩に心配かけるんじゃねぇよ!騎士なら起きろボケ!」

「面汚し」


 いくら貶そうと目を覚ます気配はない。


「ちっ!張り合いがねぇ。ボバン」

「なんでしょうか?」

「迷惑をかけるが…なんとかアイツを呼んでくれ。無理なら俺達が森へ連れて行く」

「わかりました」

「バカな先輩が世話をかける」

「なにを仰います。ダナン殿は騎士団になくてはならぬ存在です」

「そんな大層な奴じゃない…が、コイツがまた先に逝くのは許せねぇ!」

「懲りてない」


 口でなんと言おうとやはり心配されている。強い絆で結ばれた仲間。我々もこうありたいものだ。


「お待たせっ!」


 突然ドアが開き、王女様が部屋に入ってこられた。ケイン殿やムバテ殿もさっと騎士流の礼をする。この辺りはやはりカネルラ騎士。ダナン殿が倒れたことは、既に王族の皆様にも伝わっているはず。王女様が訪ねてくるのは想定内。


「みんな楽にして!」


 王女様がダナン殿の横に立ち、真剣な表情で手を翳すと不思議な力がダナン殿の身体を覆う。久しぶりに拝見する王女様の『精霊の加護』の力。しばらく力を放出し続けるもダナン殿が起きる気配はない。


「ふぅ~~…。やっぱりダメかぁ~!役に立てるかもと思ったけど」


 額に汗を浮かべ苦笑する王女様。慈悲の心に満ちた方だ。


「…おい、ダナン!テメェはなにを暢気に寝てやがる!守るべき王女様に労って頂いて、騎士として恥ずかしくねぇのかっ!」

「ケイン、落ち着いて。冷静に考えたら、やっぱり親友を呼ぶしかないよね!手伝ってほしいの!」


 王女様の指示により、我々だけでダナン殿を王女様の自室へと運び、寝かせたベッドを囲む。


「みんなありがと!ちょっとだけ待ってね!」


 王女様は内側からドアに鍵をかけた。


「わかってると思うけど、現状ではウォルトにお願いするしかないと思うの。蘇らせてくれたウォルトなら原因が掴めるかもしれない」


 仰る通りで、カリーを呼んで森の住み家に連れて行くのが最善だと思える。時間との勝負かもしれない。だが、この御方はウォルトの親友であり違う手段を選ぶのだろうか。信じて静かに待つのみ。


 王女様は懐から取り出した魔伝送器に触れる。ウォルトが作ったという連絡用の魔道具で、初めて目にしたときはシビれた。騎士団に欲しいが、かなり希少な素材が使われていると聞いた。どうにか入手して製作を依頼したい。


『どうかした?昼なのに珍しいね』


 直ぐにウォルトの声が聞こえた。


「たまにはね!って、そんなことより大変なの!」

『なにかあったの?』

「ダナンが急に倒れて意識が戻らないの」


 原因不明で治癒師や医者の手に負えないことを説明する。


「ウォルトに診てもらいたくて」

『わかった』

「私の部屋に運んで寝てるんだけど、直ぐに来てくれる?」

『ちょっと待ってて』


 テラとアイリスは揃って怪訝な顔をした。


「直ぐに…?」

「予想もしないことが起こりそうな気がしますね…」


 俺もそんな気がする。…と。


「うおわぁぁ!」

「わぁっ!」

「おわっ!」


 空間に突然大きな切れ目が入り、全員が同時に驚いた。


「よいしょ」


 中からウォルトが出てくる。行動が予想外すぎるだろう…。


「皆さん。お久しぶりです」


 床に降り立ちニャッ!と笑う白猫の魔導師。毎度驚かせてくれる。


「かなり大きく空間が開いたね!」

「修練してちょっとずつ成長してるよ」


 王女様は嬉しそうに首に抱きついてモフっている。ウォルトも優しい表情を浮かべてそっと頭を撫でた。失礼を承知で言えば、親友というより親子にしか見えない。王女様が国王様に抱きついているところなど何年も目にしていないが。


「森の住み家にいたの?」

「そうだよ。シャノに事情を説明してから出てきたんだ」


 あの場所から一瞬で現れるなどあり得ない。だが、この目でしかと見た。どんな魔法か知らないが疑う余地はない。王女様はこの魔法を知っていたのだ。


「予想通り驚かせてきましたね~」

「知らない人なら腰を抜かしてるわ」


 テラ達が言うように、どこまでも常識破りの魔導師。詳しい説明は後で聞くことにしよう。


「よく出歩く猫人だって思われてるね!」

「そうかもしれない。でも、猫同士だから理解してくれてると思う」

「そっか!ダナンのことお願い。誰も入ってこないから」

「わかった」


 ウォルトはダナン殿の傍に立ち、手を翳して魔法を使う。見ただけではなにをしているのか理解できない。真剣な表情のウォルトは手を翳すのをやめてこちらに向き直った。


「シオーネさんやケインさんに協力してもらいたいんですが」

「なんでも言ってくれ」

「私に協力できることなら」

「では、皆さん並んで頂けますか?」

  

 立って横一列に並ぶ先人達。ウォルトは1人ずつ身体に手を翳して、真剣な表情で確認している。


「ありがとうございます。原因は断定できませんが、倒れた理由はわかった気がします」


 さすがだ。


「理由はなに?」

「ダナンさんを含めた英霊の皆さんには、体内にゴーレムでいう核のようなモノが存在する。人族の心臓と思ってもらえばいい」

「核に異常があるの?」

「異常というより力が弱まってる。シオーネさんやケインさん達に比べて、かなり縮小してるんだ。前に見たときはもっと大きくて、核と甲冑の間に張り巡らされた糸のようなモノがあったけど、所々切れてしまってる。身体が動かしにくかったんじゃないかな」

「なるほど~。核に力を補充できれば回復するかもしれないんだね?」

「試す価値はある。リスティアの力が必要だ」

「任せてっ!どうすればいいの?」

「久しぶりに2人で力を使おう」

「アレだね!わかった!」

「ちょっと待って」


 ウォルトはローブの内側から魔石を取り出す。


「その魔石はなんだ?」

「自分の魔力補充用の魔石です。空間魔法でかなり消費したので、念のため補充しておこうかと」


 初めて魔力を補充している姿を見る。とんでもない魔法の後だから納得できるが。


「よし。リスティア、両手を貸して」

「はい!」


 ウォルトは王女様の手を取る。


「ダナンさんのタメに頑張ったんだろう?力を補充しておくよ」

「ありがと!」


 手を離したウォルトは王女様の背中に触れる。


「森に花を咲かせた時と同じ要領でいい。ダナンさんの身体全体に力を行き渡らせる感覚で」

「わかった!私の全力を出す!」

「準備はいいかい?」

「いつでも!」


 王女様はダナン殿に両手を翳した。


「いいよ」 

「うん!うぅ~~っ!」


 ダナン殿の身体が淡く光を放つ。やがて、ダナン殿の胸に収束するように光は消えてしまった。


「……む…ぅ……王女様…。ウォルト殿も…」


 ダナン殿が目を覚ました。


「ダナン!起きたか!」

「ぬっ…?なぜお前達が…?」

「うるっせぇ!」


 ケイン殿の拳が上体を起こしたダナン殿の顔面を捉えた。


「貴様ぁっ…!いきなりなにをするのだっ!」

「やかましい!こんの老いぼれクソジジイ!」

「一体なんだというのだっ!?騎士とあろう者が、どういう了見で人を殴っている!」


 いきなり取っ組み合いが始まる。一気に騒がしくなって皆が笑みをこぼした。






「この度は、ご心配をおかけしました」


 事情を聞いて冷静になったダナン殿は、俺達に頭を下げた。


「ダナン。異常はない?」

「ありませぬ。むしろ身体が軽くなった心持ちでございます」

「よかった!」

「王女様とウォルト殿には、なんと御礼を申し上げればよいのか」

「回復したのはリスティアのおかげです」

「まぁたそういうこと言う!」

「本当だからね。ボクはなにもしてない」


 謙虚なつもりではないようだ。


「ボバン殿、アイリス殿。ありがとうございます」

「私とアイリスはなにも助力しておりません」

「ただ見守っていただけで」

「テラも心配かけてすまない」

「元気になったなら問題なしですよ!」

「ケイン。そして、皆にも心配かけた」

「自惚れんな!心配なんかしてねぇよ!すぅぐ死にかけやがる!貧弱だから猫人に女取られるんだ!」

「懲りろ」 

「貴様らはっ…!人の古傷を抉りおってぇ~…!」


 また先人同士によるケンカが始まった。部屋の主である王女様が楽しそうだからよしとしたいところだが、騎士としてさすがに見過ごせない。素早く間に割って入り、双方の攻撃を受け止める。


「「むっ…!」」

「こちらは王女様の部屋です。ウォルトの話も詳しく聞きたいので、場所を移動しませんか?」

「熱くなってしまいました…。お恥ずかしい限りです」

「そうするか…。俺達の家に行くのはどうだ?」

「ではそのように。ウォルトは大丈夫か?」

「構いません」

「私も行くね!」

「よろしいのですか?」

「今回は大丈夫!お父様と話してくる!」


 王女様が無事に許可をもらったということで、見つからないよう姿を消したウォルトと共に先人達の住居へ移動を開始する。

 ダナン殿はまだ回復していないという体でケイン殿が背負い、廊下で数名とすれ違うも誰もウォルトに気付く様子はない。


 甲冑集団が目立つからかもしれないが、本当に見事な隠蔽術。隣を歩いていてと微かな足音すらしない。匂いや気配は消せないらしいが、いると言われなければ気付かない。暗部ならば気付くだろうか。 

 門を抜けるのも当然のごとく素通り。立哨が気付く様子はない。騎士団長としては複雑。久しぶりの外出に王女様は御満悦な御様子。平民の服装で街中を堂々と闊歩する。


「久しぶりに着たけど、どうかな!」

「似合ってるよ」

「ふふっ。ちょっとサイズが小さくなったんだよね~」

「成長してる証拠だね」

「やっぱり!」


 姿の見えないウォルトと普通に会話しているが、誰一人動揺しない。非常識に慣れるとこうなってしまうというお手本。家に辿り着きウォルトがお茶を淹れて皆で頂く。


「美味いな」

「味音痴」

「うるせぇな、ムバテ!お前も似たようなもんだろうが!」

「通」


 ウォルトは甲冑騎士全員に味覚が敏感になる魔法を付与した。ハッキリではなくとも雰囲気は充分感じるらしい。


「ねぇ、ウォルト。ダナンが倒れて回復した理由を教えてもらっていい?」

「ボクの推測でいいかい?」

「もちろん」

「おそらくだけど、ダナンさんの体内にある核は『精霊の加護』で作られてる。他の皆さんも」 

「そうなの?!」 

「なんと…」

「正確には、リスティアの加護の力とは違う。加護の力も魔力と同じく個人で差異があるんだ」

「ということは、クライン国王の加護の力なのかな」


 先人達は静かに耳を傾けている。


「クライン国王の加護の力である可能性は高いと思う。さっき改めて皆さんの核を確認したら同質だった。なぜ核として定着してるのかは不明だけど、力を与えられたんだ」

「埋葬するときか、その後かもしれないね。気持ちはわかる」

「そして、1人じゃない」

「どういうこと?」

「ボクの見立てだと4人の力が混ざってる」


 ウォルトは掌の上に核を再現して説明する。1つ、2つと力を重ねて、現在の核の状態を表した。色分けして我々でも理解しやすいよう工夫している。


「クライン国王の他に3人いるってことだね」

「1人はリスティアだよ。一緒に力を与えたよね。だから、ダナンさんとシオーネさんの核は1人分少ない」

「そっか!核に蓄えられた加護の力が動く原動力だと仮定したら、最も先に蘇ったダナンが早く消費するのは当然だね!」

「さっき核を確認したら、1人分の力を差し引いてもシオーネさんの核が最も小さかった。可能性は高い」

「納得できた。動物の森に王族が行くことも大変なのに、私の他に3人も訪れて力を与えたのが末裔として誇らしい。きっと集合墓地や他の場所でも同じことをしてる」


 変わらず静かに会話を聞いている先人達の心境は計り知れない。

 

「ダナンさんの核に力を補充したのは、リスティアだ。ボクも模倣できるけど、偽物では悪い影響がないと言い切れない」

「私の力なら上手くいくことがわかってたから確実な手段を選んだんだね。ウォルトの模倣した魔力は、私の体内で加護の力に切り替わる」

「そうだよ。さっきも核に繋げるように誘導しただけ。ボクが来る前にも回復させようとしたんだろう?力が分散されて上手く核に伝わらなかっただけなんだ」


 2人は互いをよく知っている。だからこそ親友と呼べるのだ。ウォルトはシオーネに協力を仰いで、王女様に力の指向を伝授する。真剣な表情で取り組む2人。


「ふぅ~…!やり方は理解したよ!修練するね!」

「リスティアならできる」

「皆の調子が悪くなったら私に教えて!治すから!」

「心遣い痛み入ります」

「おい、ダナン!王女様に負担をかけるくらいなら俺らは逝っちまった方がいいだろ!」

「そのような気遣いを王女様は望まれない。誤った忠心であり騎士道に反する。受けた慈悲に唾を吐く行為に他ならない」

「そうだよ~。皆の命を繋ぐのは、王族の想いを繋ぐことでもあるからやらせてもらいたいの!昇天するならウォルトに頼んでね!逝くなら心残りがないように自分の意志で決めて!その時は止めない!」

「ボクも協力します」


 もうケイン殿はなにも言わない。…と、ウォルトが魔伝送器を取り出した。


『ウォルトさん!住み家に来たんですけど、どこにいるんですか?』

「王都だよ」


 聞いたことがない声だが、ウォルトの友人だろうか。


『わかりました!シャノがちょっと調子悪そうなので、私達で様子を見ておきます!』

「気になるからすぐ帰る。このまま少しだけ待ってて」

『わかりました!』

「リスティア。申し訳ないけど今日は帰るよ。また顔を出すから」

「うん!シャノによろしくね!」


 別れのモフりを交わす。


「皆さんもお元気で」

「こちらからも伺いますぞ」

「助かったぜ」

「また闘う」

「ウォルトさん!また覗いて下さいね!アニカにもよろしく伝えてください!」

「もう覗きませんからねっ!」


 赤い顔をしたウォルトが手を翳すと、空間の切れ目が出現してあっという間に姿を消した。覗くとはなんだ?


「ダナン。今回はサバト絡みだから、私からお父様に説明しておくね」

「恐れ入ります」


 先人達とゆっくり会話するいい機会だ。しばしお茶を楽しんで王城へと戻った。



 ★



「…ということだったの」

「なるほどな。理解した」


 リスティアはダナンの回復について、ウォルトと話した内容をナイデルに伝える。


 今回はサバトの交渉担当として全権を与えられて初の仕事だった。外出を許可されたのも交渉を任されているから。王都内のみの移動で護衛の騎士が沢山いたのもあるだろうけど。


「私の力が役に立って嬉しい。クライン国王達の心を継いだ気がする」

「俺には逆立ちしてもできぬ。ときに、解決が迅速だったがサバトは王都にいたのか?」

「わざわざ遠くから来てもらったの」

「そうか」

「今回のことで、私は先祖の偉大さに気付いた。力を付与したのがクライン国王だけじゃなかったことが末裔として凄く誇らしい」

「俺も初めて知る事実だ」

「私は、今代の力を受け継ぐ者として力を与えたい。明日は集合墓地に行こうと思うの」

「いいだろう。好きにするといい」

「ありがとう」


 私の加護の力が時を経てカネルラの力になるかもしれない。けれど、打算じゃなく精一杯の心を込めて祈らせてもらいたい。


 教えてくれた親友に感謝しかないの。

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