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モフモフの魔導師  作者: 鶴源
500/715

500 大衆娯楽

 ウォルトが久しぶりに訪れたフクーベの広場は人で溢れていた。来るのは音楽祭以来。


「いけっ!」

「そこだっ!」


 熱気に包まれた広場で繰り広げられているのは、『拳闘(ボクシング)』と呼ばれる催し。その名の通り、己の両拳のみを使用した闘い。観戦しやすいよう少し高く設置された舞台(リング)の上で闘士と呼ばれる者達が1対1で拳を交える。

 

 武器や魔法を使わず素手のみで闘うボクシングは観戦する者の胸を熱くする。オーレン達が誘ってくれて、興味を惹かれて観戦にきた。テムズさんの姿に変装したのも久々。


「ウォルトさん!楽しんでますか!」

「うん。興奮してるよ」


 生身で殴り合う拳闘は異種戦とは違った興奮がある。洗練された魔法や技能ではなく、鍛え上げた肉体のみの殴り合いで相手を倒そうという獣人好みの見世物。体格の近い者同士が闘っているのも白熱して面白い。


「私は苦手です。見てて痛々しくて」

「ウイカはそうだよな。わざわざ怪我するために殴り合ってんだから」

「遙か昔から行われてるんだ。西の国では、拳に棘が付いた武器を嵌めさせて奴隷同士を闘わせてた歴史がある」


 中々の残虐行為だと思ったので覚えている。


「相当危ないんじゃないですか…?」

「どちらかが息絶えるまで続いたらしい。今でも存在するかは知らないけどね」

「信じられないです…。なんでそんなこと…」

「娯楽なんだ。賭けの対象でもあって、熱狂的な人気があったらしい。たとえ奴隷であっても勝ち続けることで英雄視されて拳1つで成り上がった者もいる」


 過去から現在に至るまで、カネルラには奴隷制度がない。でも世界で見ると少数派だと云われてる。奴隷が存在する国では、似たようなことが現在進行形で行われていてもおかしくない。


「奴隷にとっては生き延びる手段でもあったんですね!」

「真剣勝負だから面白かったんだろうな。武闘会もそうだけど、本気の闘いは見てるだけで興奮する」


 オーレンの言う通りだ。真剣勝負は見る人の心を激しく燃やす。眼前で行われている拳闘という競技は、カネルラではない国から来た見世物。賭けの対象でも命のやり取りでもない。万国でウケるよう改良されたいわゆる競技だ。


 見世物小屋(サーカス)のように、国を渡りながら各地で興行しているとのこと。カネルラにはない娯楽なので客も入っている。

 暴力を忌避する者もいるだろう。でも、ボクのように面白いと感じる者も多いから興行として成り立っている。披露する国が違えばもっと激しく闘っているかもしれない。

 

「拳闘は体格が近い者同士で闘ってるし、そこまで一方的な闘いにならない。審判もいてただのケンカとは違う。そこが人気なのかもしれない」

「確かにいい勝負が多いですよね!」

「一方的に相手を嬲るような闘いは残虐なだけだからね」


 古代の拳闘はその残虐性ゆえに人気を博したとも云われている。賭けの対象としてもそうだし、自己の歪んだ欲望を投影して狂ったように応援したと。


「この闘ってる人達…闘士だっけ?沢山いるけど、お前らはどの人が一番強そうに見える?」


 オーレンが言うように沢山の闘士が並んでる。人間もいれば獣人もいて、中には女性の闘士もいる。


「俺はあのゴッツいゴリラの獣人だと思う。力が半端なさそう」

「私は…体格のいいモヒカンの人かなぁ」

「私は裏をかいてあの瘦せてる男の人だと思う!凄く素早そう!ウォルトさんはどうですか?!」

「ボクは、あの人だと思う」


 最も強そうに見える闘士を指差す。


「……えっ!?本気で言ってます?」

「もちろん。あの人が一番強そうに見える」


 ボクが選んだのは獣人の女性。


「俺には普通の女性に見えますよ」

「強者のオーラがある。この中ではあの人だけだ」

「闘士の並びからして、次が出番みたいだから実力がわかりますね!」

「同じ女性だから頑張ってほしいね」


 ボクが選んだ女性がリングに上がる。人間のような顔をしてるけど、三角の耳や尻尾、毛皮から推測するに豹の獣人だ。相手は人間の男性闘士。体格が一回り以上大きい。種族間のハンデなのかな。


「始め!」


 互いに駆け出して激突する。



 勝負は一瞬だった。間合いに入った瞬間に女性が放った右拳は見事に相手の顎を捉えて膝から崩れ落ちた。意識を失って起き上がれない。


「速っ…」

「拳がハッキリ見えなかったぞ…」


 会場は静まり返り、女性闘士はリングから降りようとした。


「八百長すんじゃねぇよ!金返せや!」


 1人の観客が声を上げた。女性闘士が振り返って答える。


「八百長だぁ?」

「ふざけんじゃねぇ!つまらねぇ茶番見せやがって!細い女のパンチが効くわけねぇだろうが!」

「面白ぇ。だったらお前が相手になんのか?」

「なんだと?」

「八百長呼ばわりするなら、お前が相手しろや。強いんだろ?犬っころが」

「んだと、コラァ!」


 審判が笑みを浮かべながら前に出る。


「お客様。我々は誓って八百長などしておりません。お代を頂いているのですから、れっきとした真剣勝負でございます」

「あんなモヤシ女が強ぇわけねぇだろがっ!なめてんのか?!あぁん!?」

「困りました。そこまで仰るならリングへお上がり下さい。こちらの女闘士クーガーと闘って頂けば強さをお分かり頂けるかと」


 観客席から声が上がる。


「面白ぇ!やってやれ!」

「それは見たいぞ!」

「確かにちょっと嘘臭いからな」


 審判は動じることなく、貼り付けたような笑顔のまま言葉を続けた。


「もし怖いと仰るなら、無理にとは申しませんが」

「んだとテメェ……やってやるよ!ただし、その女をぶっ倒したら金返せや!」

「当然で御座います。では、特別試合を開催致します!仮にクーガーの実力が本物であった場合、皆様から彼女へ心付け(チップ)を頂きますよう、何卒お願い申し上げます」


 なるほど。そういう魂胆か。


「いけよ!」「やってやれ!」と煽られながらリングに上がる犬の獣人。中々いい体格をしている。


「人を犬っころ呼ばわりしやがって。ズタボロにして後悔させてやらぁ!」

「本当のこと言ってなにが悪いんだよ。クソ雑魚が」

「この(アマ)ぁ…!」


「それでは、双方準備はよろしいですか?はじめっ!」


 


 数秒後。


 犬人はリング上でうつ伏せに倒れていた。またも勝負は一撃だった。クーガーさんは獣人の拳を潜るように躱し、さっきよりも鋭い拳が下から打ち上げるように顎を捉えた。

 犬人の体は見事に宙を舞って、気を失ったのかピクリとも動かない。無様に這いつくばっている。


「やっぱ雑魚じゃねぇか。クソつまんねぇ口だけ野郎がよ」


 静寂の中、無表情で見下ろしながら呟く。


「さぁ、皆様!クーガーの実力はお分かり頂けましたでしょうか!楽しめたお客様、どうぞチップをお願い致します!」

 

 審判の煽りで会場が沸く。


「面白かったぞ!」

「女の強さを見たか!ざまぁみろ!」


 様々な声と共に、小銭や札がリング上に舞い、クーガーさんはつまらなそうな表情でリングから降りた。


 まさに、文字通り噛ませ犬。観客を煽り、新たな闘いを提供してチップを出すのも痛くないと思わせる手法。恒常的に行っているのか流れが秀逸。

 きっかけは、彼女の強さが始まりなのかもしれない。さっきのように難癖をつけられるのが常で思いついた可能性もある。


「皆様ありがとうございます!我々旅団は本気で至上の娯楽をお届け致します。引き続き、我らが拳闘をお楽しみくださいませ!」


 幕引きの口上も見事。客に拳闘は八百長でないと思わせた。たとえ事実でないとしても効果的な演出によって刷り込まれる。計算された見世物(ショー)だ。

 その後も観戦したけど、やっぱり彼女以上に強いと思える闘士はいなかった。拳闘を充分楽しんで4人で会場を後にした。

 

 


 

「お姉ちゃん。気分は大丈夫?」

「大丈夫だよ。街のケンカよりはマシだった」

「冒険の方が傷は酷かったりするしな」


 観戦を終えて森の白猫のアジトにお邪魔している。皆で食事をすることに決めたけど、まだ時間が早いのでまったりお茶を飲んでいた。…と、テーブルに置いているアニカの魔伝送器が震えた。サマラの魔石が光ってる。


 ウイカ達はサマラとチャチャも誘ったらしいけど、チャチャは狩りで忙しく、サマラは「他人の殴り合いを見ても面白くない」と仕事らしい。仕事終わりに食事だけ合流する予定だ。


『アニカ~。行くのちょっと遅くなりそう』

「なにかありました?」

『街中で暴れてる奴がいるみたい。野次馬の集団で道が塞がれてるの!腹立つ~!』

「わかりました!巻き込まれないように気を付けて!」

『ほんじゃまた後で~』


 アニカは通信を切る。


「街中で暴れてる…。気になりますね…」

「立派な野次馬根性だな」

「うるさい!でも、ちょっと行ってきます!サマラさんの家からの経路上でしょうし!」

「ボクも行くよ。調味料が欲しいから買い出しに」

「一緒に行きましょう♪お姉ちゃん達は?」

「殴ったり殴られたりはお腹いっぱいだよ」

「俺も待っとく」

 

 アニカと並んでサマラの家の方角へ向かうと、少しずつ人混みが見えてきた。


「結構いますね!人の壁になってます!」

「こんなに野次馬が集まるほど暴れてるのか」


 信じられない目立ちたがり屋だ。


「どんな奴か見たいです!ちょっと失礼!」


 アニカは人を押しのけて前に進む。ボクも興味があるので後ろに続いた。最前列に割り込んで目に飛び込んできたのは意外な光景。


 人の壁の中心で闘っているのは、拳闘士のクーガーさんと…ティーガだ。既に数人の男が這いつくばっていてティーガもボロボロ。


「クソがぁ…。ちょこまかと…」

「黙れ、雑魚が。見かけ倒しなら獣人やめろや」

「テメェ!グラァッ!」


 ティーガも俊敏な虎の獣人。それでも華麗な動きで攻撃を躱す。


「ん?」


 ボクらと反対側の人混みから、ニョキッ!とサマラが顔だけ出した。


「あっ!サマラさん!」

「え…?アニカ!ウォルトもいる!」


 左右の人を軽々押しのけてサマラは前に出た。ボクらに向かって一直線に駆け出す。


「んだぁ?」

「アンタら邪魔っ!」

「ぐっ…!」

「ガアァァッ!」


 サマラは眼前で闘っている2人を蹴り飛ばした。まともに顔面に食らったティーガは、吹き飛んで目を回している。クーガーさんは辛うじて両腕でガードした。


「往来でなに考えてんの?!通行の邪魔なんだよ!」

「テメェ……なにモンだ…?」

「見ての通りただの獣人。じゃあね」


 不機嫌そうに告げて歩き出そうとしたサマラにクーガーさんが殴りかかった。


「オッラァ!……ぐはっ!」


 華麗に躱して振り向きざま放ったサマラの拳が、クーガーさんの鳩尾に突き刺さる。


「手加減してやれば調子に乗って…。黙って寝てろっ!」

「…くっ!オラァァッ!」

「あっぶなっ!もう許さんっ!」


 獣人女性同士の殴り合いが始まる。といっても、2人ともパンチが当たらない。高速の攻防。


「ふはははっ!この街で初めて歯ごたえがある奴に会った!楽しいぜ!」

「ふざけんなっ!こっちは最悪だよ!」


 乱入からの乱打戦で野次馬も大盛り上がり。どっちも強いから見応え充分。


「サマラさ~ん!頑張って下さ~い!」


 アニカに負けず、控え目にサマラを応援しよう。


「サマラぁ~。夕食は脂がのったステーキだよぉ~。今から食材を買いに行くんだぁ~」

「それ…応援になってますか?」


 サマラの応援はこれでいい。


「マジでっ!?こうしちゃいられない!くらえっ!」

「なっ…!消えた?!……があっ!」


 久しぶりに見るサマラの必殺技『兄殺し』が顎に炸裂したけどクーガーさんは倒れない。上手く顎の下に手を入れてガードしたな。素晴らしい反射神経だ。でも完全に足にきてる。


「いつもよりフニャリが足りないとはいえ、初めて耐えられたよ。でも、もういいでしょ?」

「……いいワケあるかっ!ぶっ殺してやる!」

「心意気は買うけど、そんな状態で私に勝てるか!うらぁぁっ!」

「…がぁぁっ!」


 踏み込んだサマラの拳が顔面を捉えた。クーガーさんは大の字に倒れて野次馬から歓声が上がる。


「ねぇ、起きてる?」

「…あぁ」

「アンタは強いけど私の食欲には勝てない!相手が悪かったね!」

「……ははっ。なんだそりゃ…」


 空を見上げるクーガーさんのお腹が、『ぐぅ~』と大きな音を立てた。


「お腹空いてんの?じゃあ、今から美味しいご飯を食べに行くか!」

「はぁ…?」


 サマラはボクを見て笑った。



 



「うんまっ!めっちゃくちゃ美味いな!」

「クーガー!ちょっとは遠慮しろ!他人の家でしょ!」

「知るかっ!おい!もう一杯よこせ!」

「ちょっと待ってて下さい」

「クーガーさんは凄く食べますね!」


 凄く美味しそうに食べてくれるから嬉しい。


 サマラ、殴り倒したクーガーさんを夕食に誘った。ボクなら付いていかないけど、空腹の限界だったらしい。

 どうやら、街で美味い料理店の場所を訊いただけなのに、獣人に絡まれて派手に暴れていたらいつの間にか野次馬に囲まれていたと言う。あの犬の獣人、ティーガ達の知り合いだったのか。


「がははっ!お代わりだ!」

「こんのっ…負けるか!ウォルト、私も!」


 サマラとクーガーさんは張り合うように料理を平らげていく。2人は負けず嫌いだ。でも、ボクは知っている。


「も、もう食えねぇ…」

「私も…。苦しい…」

「あれ?もういいんですか?」

「ウォルトさん!お代わりお願いします♪」

「うん」


 ウイカとアニカの姉妹…特にアニカに勝てるレベルじゃない。ウイカも成長著しい。異次元の胃袋を持つ凄い姉妹。

 

「コイツらの胃袋はどうなってんだ…?へなちょこ娘にしか見えねぇのに…」

「2人は見た目詐欺だからね…」

「またまたぁ~!失礼ですよ~!」

「私達は普通だよね」


 食事を終えて皆にお茶を差し出す。


「おい。ウォルトっつったな」

「なんですか?」

「お前、なんで変装してんだよ?魔道具かなんかだろ?」


 初めて見抜かれた。


「よく気付きましたね。匂いですか?」

「お前から獣人の匂いがする。ずっと気になってた」

「嗅覚が鋭いですね」


『変身』を解除する。バレてるなら変装の意味はない。


「白猫か。…つうか、魔道具を使ったようには見えなかったぜ」

「そんなことより、ボクも訊きたいことがあります」

「なんだよ?」

「もしかして、クーガーさんはリオンさんの娘ですか?」

「…お前、ウチの親父を知ってんのか?」

「しばらく会ってませんが」


 クーガーさんから知ってる匂いがする。記憶を辿った結果、リオンさんの匂いだと気付いて、種族は獅子ではないけど強さや性格から可能性が高いと思った。


「この街にいんのか?」

「外国だと思います。旅に出ると言ってたので」

「けっ!勝手な野郎だ!クソ親父がっ!」

「随分会ってないんですか?」

「会ったことなんかねぇよ」

「え?」

「知ってんのは名前だけだ。ウチのお袋を孕まして逃げやがったクソ野郎だ」

「それはマジでクソ野郎だ!」

「勝手すぎますよ!」

「ひどいです」

「お前らもそう思うか!…けどな、アタシが強く育ったのは親父のおかげなんだと!自分じゃそう思ってねぇ!クソほど鍛えたから強いんだ!それでも…お袋はクソ親父を恨んでねぇんだよ」


 ひどい話に聞こえるけど、性に奔放な獣人は勢いで子供を作る者も多い。リオンさんは強くてモテるはずだから充分ありえる。ただ、皆が嫌悪感を抱いている気持ちもわかる。この場にいるのは受け入れられない女性ばかりだということ。


「会って文句言わねぇと気が済まねぇ!だからカネルラに来たのもあんだよ!見つけたらおもいっきりぶん殴ってやる!」

「止めはしませんけど、リオンさんは強いですよ。なにか事情があったのかもしれませんし」

「知るかっ!ただのジジイだろうが!お前、えらいクソ親父の肩持つな」

「そう思っただけです。憧れてはいますけど」


 リオンさんの行動ではなく、獣人としての誇りと生き方に憧れている。


「なんだとぉ!やっぱ同類じゃねぇか!コイツらを騙してんじゃねぇのか!?」

「そんなことしてません」

「信じられねぇな。お袋みたいな被害者が出る前に、テメェを教育してやる!」

「教育って、どうやるんですか?」

「決まってんだろ。拳で教えてやるんだよ。表に出ろっ!」


 やっぱり親子だな。獣人らしくて豪快なところが似てる。


「リオンさんはボクにとって恩人なんです。クーガーさんを殴りたくない」

「ざけんな!親子だろうが関係ねぇだろ!大体、瘦せたお前にアタシが倒せるってのか!?雑魚のくせに笑わせやがって!殴れるもんなら殴ってみろや!」

「やってみないとわかりませんが」

「やろうじゃねぇか!いいな!」


 はぁ…。やりたくないけど、走り出したら獣人は止まらない…か。


 表に出るとすっかり人通りはない。


「覚悟はいいか!?」

「はい。いつでも」

「オラァァァ!」


 一瞬で間合いに入ってくる。サマラには劣るけどかなり速い。でも、もう知っている。


「シッ!」


 迫る拳を躱し、返す刀で脇腹に拳を打ち込む。


『崩拳』


「ぐはぁっ…!」


 効いたのか脇腹を押さえて片膝をついた。


「昼に拳闘を、夕方にはケンカを見せてもらいました。貴女の動きは予測できます」

「…クソッ!お前みたいな奴に負けてたまるかっ!」


 ボクをどんな男だと思ってるのか知らないけど、蔑んでいるのならやってやる。


「まだやりますか…?これ以上は獣人流になります」

「うっ…!」


 いくら恩人の娘でも虚仮にされたら気分が悪い。これ以上はボクの許容範囲外。全力でいかせてもらおう。


「クーガー!私にやられたダメージが残ってるんだから今度にしなよ!」

「そうです。ウォルトさんは手合わせなら何度でも受けてくれます」

「本調子で勝負した方が楽しいですよ!」

「……ちっ!今日はこのくらいにしといてやるよ!」


 今日はというよりもう会うこともない。興行団体は明日には次の街へ移動すると聞いた。国内を周遊しても1ヶ月と経たずにカネルラから出国するはず。


 いつかリオンさんに会えたら伝えよう。「貴方の娘はとても獣人らしくて強かったです」と。

いつも「モフモフの魔導師」を読んで頂き、ありがとうございます。ブックマークして頂いたり、いいねも頂いて嬉しい限りです。


驚くことも何もない平々凡々な物語ですが、これからも暇なときに読んで頂けると幸いです。


( ^-^)_旦~

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