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モフモフの魔導師  作者: 鶴源
440/714

440 不可能と云われる

 よく晴れた日の夕方。


 訪問者もなく、更地での魔法の修練を終えて住み家に戻ると、テーブルに置かれた魔伝送器の紫の魔石が光っていた。呼び出しているのはサマラだ。


 なにかあったのかな?と、魔石に触れて魔力を繋げてみると…。


『おせぇよ!』


 いきなりマードックの怒鳴り声。耳がキィーンとなる。サマラから借りたのか。…にしても反応が早過ぎる。まさかずっと見てたのか?


「魔法の修練してた。ところで、どうしたんだ?珍しいな」

『やっとエッゾが捕まったぜ。今日飲むぞ』


 そんな話もあったな。完璧に忘れてた。


「わかった。フクーベに行けばいいのか?」

『おう。場末の飲み屋でいいだろ?』

「別にどこでもいい」


 ボクは酒を飲まないから。始める時間と大体の場所を聞いて通話を切る。

 マードックは律儀だ。そんなところも昔から変わらない。言動は粗暴で面倒臭がりなのにやることはマメで記憶力もいい。どちらかというと、アイツよりボクの方が適当だ。アイツが一番獣人らしくないのかもしれない。

 とりあえず、修練で汗をかいたからゆっくり風呂に入って着替えてから行こう。念のため酔いざましのお茶を持って行くのも忘れずに。




 陽も落ちた頃フクーベに着いて、教えられた店を目指す。夜は飲食店以外静かなもの。人もまばらで歩きやすい。

 教えてもらった場所に辿り着くと、古ぼけた酒場があった。名前も聞いたとおりだ。ドアベルを鳴らしながら中に入ると空席が目立つ。見渡すと2人は店の隅にある円卓に座って酒を飲んでいた。ゆっくり歩み寄る。


「おう!遅ぇぞ!」

「時間より早く来たんだぞ。お前が早過ぎるんだよ」

「久しぶりだな、ウォルト」

「お久しぶりです」

「そんなのはいいからさっさと座れ!」

「せっかちだな」

「お前は酒飲まねぇだろ!食いたいもん頼めや!」

「わかった」


 メニューに目を通して、気になった食べ物を幾つか注文する。とりあえずボクは水で乾杯した。


「遅くなったがよ、この間の祝勝会ってヤツだ」

「まさにな。ずっと待っていた」

「ふざけんな!お前のせいだろうが!ふらふらしやがって、浮浪者がよ!」

「誰が浮浪者だ。ただ修行してるだけだ」

「どこかへ行ってたんですか?」

「プリシオンまでな。たまにはカネルラを出るのもいい」

「偉っそうに。ケンカ売って回ってるだけだろうが」

「まぁ、そうだ。全勝だったな。ククッ!」


 相変わらずエッゾさんは戦闘狂。この人から闘いを取ったらなにが残るんだろう?


「エッゾさんはお金をどうやって稼いでるんですか?」

「素材をギルドに持ち込んだり、道具屋に売ったりしてる。冒険者は一度登録したら定期的にクエストをこなせば資格は抹消されない」

「そうだったんですね。納得です」


 生きている証拠があればいいということかな。エッゾさんは引退したと勘違いしてた。


「しっかし、お前のおかげでしばらく大変だったぜ」


 マードックはジロリとボクを見る。


「ボクの?なんでだ?」

「お前がどこのどいつか聞かれまくったんだよ。クウジのバカもそうだ」

「悪目立ちして迷惑かけた」

「別に迷惑じゃねぇ。お前が目立つのはわかってたかんな」


 だったら止めてほしかった、とは言えないな。


「クウジといえば、宮廷魔導師の指導者とやらになったらしいな」

「けっ!よく知らねぇが出世らしいぜ!ボケが!」

「へぇ~」


 クウジさんの実力があればなれるんだろう。年を重ねても上を目指してるんだな。


「へぇ~…じゃねぇよ。お前はなりてぇとか思わねぇのか?」

「思わない。そもそもなれない」

「ククッ!おい、ウォルト。お前が倒したエルフは宮廷魔導師より上らしいぞ。お前はソイツに勝った」

「勝ってはいないです。負けなかっただけで」


 単に魔力切れ宣告まで粘っただけだ。本音を言えば、フレイさんの手の内をもっと見たかったけれどやはり見せてもらえない。

 ただ、フレイさんなら宮廷魔導師より技量が上でもおかしくないと思う。それほど凄い魔導師だと思った。


「お前、あのエルフとやりあって魔力に余裕はあったんか?」

「まだ半分以上は残ってた。使ったのは3~4割くらいか」


 もっとフレイさんを焦らせることができたらよかったけど、ボクはとにかくいろんな魔法を見たかった。だから防御を優先する。

 敗北と捉えられても魔力切れだと言い切って魔法戦を終えるのは手の内を見せない立派な戦略だと思う。


「ククッ!シビれる…」

「おい。いきなりだがよ、俺はこの3人でやってみてぇことがある」

「やってみたいことってなんだ?」

西洋三色(キリアン)に行きてぇ」

「ほぅ…。面白い提案だ」

「なにか採りたい素材でもあるのか?」

「そうじゃねぇし、別に今じゃなくていい。もっと先でもな。獣人だけのパーティーで…どこまで行けるかやってみてぇだけだ」

「俺はいつでも構わん。フクーベにいるときに誘え」

「ボクも別にいいぞ」

「マジかよ!?」


 まぁ、ボクは断ると思うだろうな。あのダンジョンは、ボク程度の魔法で攻略するのはかなり厳しいけど行くのは構わない。やれることをやるだけだ。


「一時的でも気の知れた人としか冒険はできない。お前とエッゾさんなら別に構わない」


 この2人は現役冒険者だ。冒険での失敗を他人のせいにしないはず。たとえ死んだとしても文句を言わないだろう。ボクも言わないから気が楽で、性格も知ってるし一緒にダンジョンに行けると思う数少ない知り合い。


「決まりだな。ところで、お前は行ったことあんのか?」

「行ったことはある」

「いつだ?何階層まで潜った?」

「3年くらい前に7階層までだ」

単独(ソロ)でか…?」

「そうだ。お前は知ってるだろ。ボクは孤独だったんだ」

「…ククッ!ウォルト、お前は本当に愉快な奴だ」

「なにがですか?」


 愉快な要素は皆無だと思うけど。嗤ってるエッゾさんとは対照的に、マードックの表情はずっと険しいまま。


「ちっ…!行くのはまだ先だ」

「そうだな。もっと腕を磨いておく」


 そんなことを言いながら2人は酒を煽った。キリアンはかなり過酷なダンジョン。約束したからには負けないよう腕を磨いておこう。きっとマードックはこの約束も忘れない。


 料理が運ばれてきたのでゆっくり頂く。酒場の料理は、肴として食べられるからなのか基本的に味付けが濃い。でも不味くはない。…と、背後から声をかけられた。


「マードック、エッゾ。久しぶりだなぁ」


 この声は…。


「よぉ、負けオッサン。1人かよ」

「スザク。酒を飲む暇があったら鍛えろ。そんなことだから女に負ける」

「お前らはそればっかりだなぁ。たまには……ん?」


 スザクさんと目が合うと驚いた表情。しばらく固まってたけど、小声で話しかけてくる。


「……驚いた。お前さん……もしかしてサバトか…?」

「はい。お久しぶりです」


 お面を被ってないのによく気付いたな。さすがだ。


「よくわかったな。オッサン」

「いい目をしている。ククッ!」

「すまんが……邪魔するぞ……」

「とっとと座れ。目立つだろうが。おい、酒追加だ!」


 スザクさんは円卓の空いた席に腰を下ろした。ボクから目を逸らさない。


「まさか……本当に猫の獣人だったとはなぁ…。こりゃ驚いた…」

「口が閉まってねぇぞ。オッサン、なんで気付いた?」

「雰囲気や佇まいが、どこからどう見てもサバトだ…。それに、白猫の風体でお前らと一緒にいれば直ぐに連想する…。声も同じだ…」

「お前なら気付くだろうな。ククッ!」

「つうか、オッサンしか気付かねぇだろ。噂しか知らねぇ奴は顔で判断すっからな」

「…ということは、あの顔も魔法だったということかい…?今が変装してるのか…?」

「今は変装してません。あの時はやり過ぎてしまいました」


 顔を見せたのは悪ふざけの延長だったことは否めない。


「そうかぁ…。謝ることはないよ。驚いたけど、またお前さんに会えて嬉しい」

「ボクもです。あの時は串焼きごちそうさまでした」

「ははっ!やっぱり律儀だなぁ。この間、ツァイトに会ったんだろう?」

「はい。知り合いですか?」

「アイツがサバトに会ったって教えてくれてさ。他には誰にも言ってないって」

「そうですか。気持ちが熱くて心意気を感じるアヴィソでした」

「そう言われるとアイツも喜ぶ。ダンジョンでセイリュウに魔力を譲ってくれたのも助かった。ありがとう」

「ダンジョンに泊まるのは疲れるので、力になれたならよかったです」


 話してる間に酒が運ばれてきた。


「今日は約束してた通り俺に驕らせてくれないか?」

「御馳走になります」


 いつまでも約束を引き延ばしてはスザクさんに悪い。今日驕ってもらおう。もう満腹でそんなに食べられないからちょうどいい。


「太っ腹じゃねぇか」

「たらふく飲むぞ」

「お前らには驕らない。サバトだけだ」

「ケチくせぇな」

「Aランクのくせにな」

「こんなときだけ後輩ぶるな」


 ちゃんと伝えておこう。


「スザクさん。ボクはウォルトといいます。サバトは偽名なんです」

「そうなのかぁ。じゃあ、ウォルト。俺達の再会に乾杯」

「酒は飲めないのでお茶ですみません」

「構わないさ」


 強面でニカッと笑う姿はやっぱり爽やかな冒険者。この人は常に涼やかな匂いをさせている。


 ボクの素性が気になるのか、ずっと質問されるので正直に答える。そんなに興味があるかな?それでも当たり障りのない答えやすい質問に留めてくれてる。根掘り葉掘り訊かないスザクさんの優しさと気遣いを感じた。


「お前さんは珍しい獣人の魔法使いだから苦労してるんだなぁ」

「オッサン。黙っとけよ」

「お前らと違って空気は読めるぞ。言われなくてもわかってるさ」

「あん?空気なんざ読めねぇだろ。どこになにが書いてんだ?ワケわかんねぇこと言いやがって」

「世の中には比喩ってモノがあるんだ」

「人間らしいな。小難しいことを言って煙に巻こうとするな」

「お前が言ってるのも比喩だぞ」


 スザクさんはマードックやエッゾさんともいい関係が築ける穏やかな人柄。ただ優しいだけでは獣人と付き合えない。オーレンが尊敬するのも理解できる。


「そういえば、ツァイトがウォルトと話したがってた。よければゆっくり会ってみないか?アイツは記者だけど口は固いよ」

「気持ちは嬉しいんですが、フクーベに住んでないですし滅多に来ないので約束はできません」

「そうかぁ。無理は言えないな」

「機会があれば、その時はお会いしたいです」

「デルロッチも会いたいと言ってるんだよなぁ」

「やめとけや」

「アイツに会っても腹が立つだけだ」


 相変わらず嫌ってるんだな。


「なぜ会いたがってるんでしょう?」

「お前さんに興味があるんだと思うよ」


 ハッキリ言っておこう。


「興味本位で会いたい人に会う気はありません。信頼できる人から頼まれたら別ですが」

「そうだよな。こっちの都合ばかり言ってすまない」


 スザクさんはいい人だ。きっと言葉に他意はなくて、言われたことを伝えてくれてるだけ。


「謝る必要はないです。自業自得なので。サバトが噂になったことで辟易して反省しかしてません。目立ちたくないだけなんです」

「もう言わない。俺にも会ってくれなくなると寂しいからさ」

「オッサン…。気持ち悪ぃな…」

「ククッ。人肌恋しいなら花街に行け」

「余計なお世話だ」

「スザクさんはモテそうですが」

「ガハハハ!んなワケねぇだろ!バカか!」

「こんな顔面の男が女にモテるワケがない」

「お前らには言われたくないなぁ。似たり寄ったりのくせに」

「でも、逞しくて強いのに話し上手で凄く穏やかです。内面を見抜く人にはモテるんじゃないでしょうか」

「お前さんは…いい奴だなぁ。こんな脳筋バカ共と付き合えるのも納得だよ」

「なんだと、この野郎」

「脳筋はお前だ、傷面が。ギルドの受付嬢に、こっぴどくフラれた顔面凶器め」

「お前らなぁ…。人の心の傷を抉りやがって…。いくら俺が相手でも言っていいことと悪いことがある」


 段々ヒートアップしてきた。このままだとケンカが勃発するかもしれない。無駄に注目されてしまう。


「面白ぇ。やるってのか?」

「ククッ。相手になってやるぞ」

「まとめてかかってこい」


 揃って立ち上がろうとした瞬間に無詠唱で魔法を操る。


「「「……っ」」」


 3人の動きが止まった。


「落ち着きましょう。今日は武闘会の慰労会です。ケンカするならもう帰りませんか?」

「ちっ…」

「仕方あるまい…」

「こりゃ参ったなぁ」


 どうにか思い留まってくれたみたいでよかった。目立ちたくないから助かる。落ち着いたようなので、魔法を解除してから一旦トイレに向かう。お茶を飲みすぎたな。



 ★



 残されたスザクは驚いていた。


 本当に凄い奴だ。マードックとエッゾも同じ気持ちだろう。


「今のは『鈍化』だな。なんつう重さだ」

「まるで巨人に押さえつけられたようだった」

「無詠唱で3人同時かぁ。軽くこなすなぁ」


 全力で動こうとしていたのにピクリとも動けなくなった。だが、『麻痺』とは感覚が明らかに違う。バカでかい鉛を一瞬で全身に巻き付けられたような初めての感覚。

 力自慢のマードックの動きまで止めるなんて並大抵じゃない。それなのに当の本人は優しく微笑むだけ。正直ゾクゾクした。


 この身に浴びて実感する。エルフにすら勝った稀有な獣人魔導師の実力の片鱗を。息をするように魔法を操り、いつ詠唱したのかすらわからずそれでいて効果は絶大。どんな相手でも気付かれず動きを止められるという脅威。

 セイリュウやデルロッチに会わせたら死ぬほど喜ぶだろうに。いや、張り合うかもな。だが、無理やり会わせるのはなしだ。あり得るとしたら、俺がウォルトに信頼される男になって会ってほしいと頼むしかない…か。


「おい、オッサン。お前らのパーティーはキリアンで何階層まで行った?」


 マードックが小声で訊いてくる。


「キリアンは6階層だ。ホライズンもそうだろ」

「あぁ」

「あそこは6階層から劇的に難度が高くなる。即死レベルの魔物の強さとトラップの連続だ」


 5階層毎に装いを変化させるダンジョンの中でも、キリアンの変化は群を抜いてる。その他のダンジョンとは段違い。ただでさえ高難度なのに加えて、6階層以降の難度があまりに凶悪過ぎる。

 現在の最高踏破記録は10階層。それも、運び屋を含めたSランクとAランクの複数パーティーでの攻略。…にも関わらず、半分近くの冒険者が命を落とした。獣の楽園(ドゥーキー)と同じく踏破不可能と云われる迷宮。難度だけなら世界でも上位に入るという噂もある。


「ククッ!」

「なにがおかしい?」

「お前はよ、単独で7階層まで到達した…っつう話を信じるか?」

「そりゃあホラに決まってる。さすがにあり得な……まさか……攻略したのはウォルトか?」

「3年前だとよ。アイツはイカレてやがる。まぁ、誰も信じねぇだろうがな」

「ククッ!常識知らずにもほどがある…が、下らん噓をつく男じゃない」

「思い出した…。壁に閉じ込められたお前を救出したのはウォルトだったんだな…」


 悪魔の鉄槌(セロニアス)でサバトに遭遇したあと、見事に分厚い壁がくり抜かれてるのを見てメンバー全員固まったんだった。ウォルトは単独でダンジョンに潜り、あの魔法で閉じ込められたマードックを助けたのか。


「誰にも言うなよ。アイツに釘刺されてっかんな」

「安心しろ」

「なにが言いてぇかっつうと、アイツは自分が大したことねぇと勘違いしてっから話を合わせろってこった」

「余計なことは言うな。徐々に慣らしてる途中だ」

「…なるほどなぁ。だから、あんなに謙虚なのか。けど向上心があっていい」


 現時点で既に化け物なのに、さらに高みを目指してるなら若者の成長を邪魔しちゃ悪い。まだ20歳そこそこだと言った。とんでもなく若い。伸び代はまだ残されてるはず。常識なんて通用しない男だ。


 そうこうしてるとウォルトが戻ってきた。魔法とは裏腹にふわりとした雰囲気を纏う獣人。


「なぁ、ウォルト」

「なんでしょうか?」

「お前さんは俺にまた会ってくれるかい?」

「スザクさんならいつでも」


 即答か。嬉しいねぇ。


「信用してくれるのか。俺は結構適当なんだけど」

「貴方は涼やかな人です。この感覚が間違いだとは思いません」

「そんなこと初めて言われた。今後もよろしく頼むよ」

「よろしくお願いします」

「お前はどこ見て言ってんだ?コイツのどこが涼しいんだよ」

「どう見ても暑苦しい風体をしてるだろう」

「暑苦しさはお前らの方が上だよ。毛皮纏ってるんだから」


 面白いよなぁ。いかにも獣人って奴もいれば、ウォルトのように魔法でエルフを凌ぐ獣人もいる。常識ってのは思った以上に簡単に覆るもんだ。コイツらが言うように俺もまだ強くなれるのかもなぁ。

 そう考えると今日はいい日だ。味わったことのない衝撃を味わうと、身体が疼いてやる気ってヤツが自然に湧いてくる。年を取るにつれ無理やり捻り出す必要があるけど、不思議なモンで年甲斐もなくはしゃぎたくなる。


「ウォルト。今日はもう少し飲もうよ」

「はい。時間は大丈夫です」

「つうことは、お前の都合で飲むから俺らも驕りでいいっつうことだな?」

「お前はAランクだぞ」

「…ったく、今日だけだぞ。装備を新調して金欠なんだ」

 

 仕方ないか。コイツらが帰るとウォルトも帰る可能性が高い。その後は遅くまで語り明かした。ウォルトという稀有な獣人を少しだけ知れた気がした夜。


 結果アホみたいに酒を飲まれて、あり金を全て吐き出した挙げ句、ツケにしてもらった。「ボクの分は出します」とウォルトは気を使ってくれたが、見たところ酒は1滴も飲んでないしつまみを1品頼んだだけ。

 治癒のお礼でこっちから誘ったのに、出させるワケにはいかない。さすがに本末転倒。マードックとエッゾにはその内逆に驕らせてやろう。


 まぁ、それこそキリアン攻略みたいなモノか。

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