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モフモフの魔導師  作者: 鶴源
411/713

411 縁の下の力持ち獣人

 1日限定【森の白猫】の5人は、ダンジョンに足を踏み入れる前に大まかな役割を決めた。


 私とオーレンさんが前衛で、アニカさんとウイカさんが後衛。剣士と魔導師で分けたけど、入れ替わりは臨機応変に。基本的には5人で攻略を進めて、私達では手に負えない魔物や緊急事態に備えてウォルトさんが最後方で見守ってくれる。アニカさんの『夜目』と、オーレンさんが私の剣に付与魔法をかけていざ出陣。



「このダンジョンに来るのも…久しぶりだな」

「私は初めて。クローセの近くにあったなんて知らなかったし」

「ココから魔物が逃走してクローセを襲ってたんだ」

「アニカから聞いた。…ってことは、グリーズベアとかもいるんだよね?」

「下層に進むといる」

「私の魔法が通用するかなぁ」

「お姉ちゃん!大丈夫!イケるよ!」


 ウイカさんは冒険者になってもう少しで1年らしい。私と半年しか変わらない。魔法を覚えてからは1年経ったらしいけど、「本当なら信じられない」ってギルドで注目の的。

 普通では有り得ない技量らしい。さすがに嘘だと思ってる人もいるみたい。それ以外に端麗な容姿でも注目されてる。

 

「あの時はオーレンがグリーズベアに殺されかけて、泣きべそかいてたなぁ!」

「それはお前だよ!殺される寸前だったくせに!」

「なんだとぉ!」


 オーレンさんとアニカさんは、冒険者になって二度死にかけているらしい。どちらもウォルトさんに命を救われたって聞いてる。

 アニカさんも、ウイカさんと同じで魔導師として高い評価を受けてる。魔法を操る技量と威力は一緒に冒険した者なら誰もが認めていて、ウイカさんとの違いは特に戦闘魔法において才能が爆発してるらしい。


 オーレンさんはどこの流派にも属さない剣術を操って、柔軟な思考で魔法も使いこなす剣士として名が知られ始めてる。冒険者では最も多い戦士系でありながら、過去にいないタイプの魔法を操る剣士。


 本当に凄い先輩冒険者達。


「そんなこともあったね。懐かしいなぁ」

「ウォルトさん。そんな軽い感じの話じゃないですよ」

「2人が無事でよかったよ」


 話を聞きながら微笑んで、鼻をピスピスさせる白猫の獣人ウォルトさん。とんでもなく凄い獣人らしいけど、「付き合っていけば直ぐにわかる」とオーレンさんから言われてる。

 実際、料理が上手いのと魔法が凄いのは理解できたけどそれだけじゃないような…。他にもなにかあるのかな?


「ミーリャ!来たぞ!」


 前を向くと魔物が現れた。今は余計なことは考えず…いつも通りにやるだけ!





 私達は、無事に3階層まで下りてきた。


「ここまで目立った脅威はなかったな」

「前に来たときと違って一般的な魔物の強さに変化してるね!」

「特段変わったところはないかも。ミーリャはどう思う?」

「ダンジョンに詳しくないんですけど、おかしなところはないと思います」


 今のところ倒せないような強敵は出現してない。私の実力でもどうにか倒せる魔物ばかり。皆がフォローしてくれるから、余裕を持って闘えてる。不思議なのは、見渡しても次の階に下りる通路が見当たらないことくらいかな。


「じゃあ…そろそろやるか」

「よし!私が押そう!」


 私とウイカさんが首を傾げていると、ニヤッ…!と笑ったアニカさんは壁に向かって歩き出す。


「お姉ちゃんとミーリャ…。戦闘準備はいい…?」

「「えっ?」」

「直ぐに始まるからね!ボタンと言えば…私だからっ!」


 壁際のアニカさんは、なにかを押すような仕草を見せた。すると、壁の一部がゴゴゴ…と開いて魔物が雪崩れ込んでくる。数は50匹は下らない。


「このボタンが次の階への通路を出す鍵なんだよ!全部倒さないと先には進めないから!」

「迎え撃つぞ!」

「なるほど!了解!」


 皆は気合いが入ってる。私も負られけない!


「うりゃぁぁっ!」

「ガァッ!」


 冷静に…でも、熱くいく!


 魔物の群れと戦闘開始から数分経過して…。


「はぁ…はぁ…」


 動き続けて疲れてきた…。


 視線を移すとオーレンさん達は優勢に闘いを進めてる。


「グフッ!」


 気付いたら槌を持った小型のオークが腕を振り上げていた。躱すのは間に合わない!


「しまった…!」


『強化盾』


 剣で受け止めようとして、間一髪アニカさんが魔法で防いでくれる。


「お姉ちゃん!ミーリャの回復お願い!」

「任せて!」


 素早くウイカさんが側に来て、体力を回復してくれる。


「怪我はない?」

「ないです…。すみません…」

「なんで謝るの?」

「役に立てなくて…」 


 足を引っ張ってしまった。情けない…。


「反省するなら後にしよう。今はこの局面を乗り切ることが大事。ミーリャの力が必要なの」

「私の…?」

「オーレンとアニカは私達を守りながら闘ってるでしょ?だから押されてる。直ぐ戻らなきゃ。戦闘が無理ならウォルトさんの後ろに下がってて」

「……私もいきます!」


 落ち込んでる場合じゃない!少しでも皆の力にならなきゃ…!


「うおぉぉっ!」


 守られてばかりで…黙ってられない!今日だけはパーティーメンバーなんだから!



「よっしゃぁ~!なんとか倒しきったな!」


 魔物を掃討して、軽く傷を負ったものの全員無事だった。


「やったね。お疲れさま」

「お疲れ~!ミーリャ、大丈夫!?」

「はい。大丈夫です」


 正直めちゃくちゃキツかった。強がってもバレてると思うけど。4人であれだけの数を倒せるなんて正直思ってなくて。オーレンさん達の魔物に怯まない精神力は凄いの一言。


「皆、お疲れさま」


 見守っていたウォルトさんは和やか。

 

「体力と魔力を回復しておこうか」

「「「お願いします!」」」


 涼しい顔で完全回復してくれた。コレって…実は凄いことなんじゃないかな…?


「前回はココの魔物をウォルトさんが倒してくれた。今回は自分達で倒せてよかったな」

「あの頃より少しは強くなれてるかな!お姉ちゃんとミーリャもいるから一概には言えないけど!」

「アニカに言われていきなりだったから、結構ドキドキしちゃった」

「私はほとんど役に立ててませんけど」

「そんなことないぞ。倒してくれて助かった。勘違いしてそうだから言っとくけど、冒険は皆で力を合わせることが大切なんだ。ソロの人もいるけどな」

「珍しくいいこと言うじゃん!オーレンの言う通りで、何匹倒したとか強い弱いは関係ない!皆がやるべきことをやって、無事に目標を達成することが大切なんだな!」

「私も他の冒険者と組むと無力さにヘコむときがあるから気持ちはわかるよ」


 アニカさんやウイカさんでもそう思うんだ…。私なんて…まだFランクの新米冒険者。落ち込んでる暇なんてない!


「ありがとうございます!私なりに精一杯やります!なにかあったら助けてください!」

「もちろん。でもお互い様だぞ」

「私達も助けてもらうからね!持ちつ持たれつ!」

「はい!」

「体力や魔力はウォルトさんが回復してくれる。出し惜しみせずに常に全力で闘っていい。魔物も強さを増してくるはずだ。自分では無理だと判断したら、直ぐにウォルトさんの後ろに下がってくれ。ミーリャだけじゃなくて俺達も同じだ」

「わかりました!」



 4階層、5階層と進み、魔物も格段に強くなってきた。私が闘ったことのない魔物も出現し始めていい経験をさせてもらってるけど、体力だけじゃなくてこれ以上は厳しい…。ちゃんと言わなきゃ。


「皆さん」

「どうした?」

「私の実力では魔物を倒すのが厳しくなってきました」


 援護なしの1対1では倒せなくなった。今だけとはいえ私達はパーティーメンバー。意地や見栄を張らず正直に伝えることが大切。余計な心配をかけちゃいけない。


「そうなのか?」

「はい」

「じゃあ、次は『身体強化』してみよう!どうかな?」

「やってみたいです」


 アニカさんが『身体強化』を付与してくれた。身体も剣も軽くなる。


「これでも無理ならまた言ってくれ」

「はい!」


 本当は一緒に闘いたいのがバレてるんだ。なんとか皆の気持ちに報いたい!…って気負うのはよくないよね。私にできることをやろう。魔物を倒せなくてもできることはあるはず。その後も、ウォルトさんに回復してもらいながらダンジョンを進む。


『身体強化』のおかげで、格上の魔物とも闘えるようになった。魔法って凄いなぁ。まだ身体に馴染んでないけど。是非ロックにも覚えてもらいたい。


「アニカ。そろそろだな」

「だね」


 次で10階層に到達する。2人の反応からするとまた仕掛けがあるっぽい。


「ココは…広いですね」


 円形の広い階層に出た。見渡すともう1つ入口が見える。次の階層への通路かな?オーレンさんが立ち止まって口を開いた。

 

「ウイカ、ミーリャ」

「なに?」

「なんですか?」

「アニカは知ってるけど、この階層も『魔物部屋』なんだ。しかも、さっきのとは比べものにならない強敵ばかり出現する」

「そうなの?」

「さっきの魔物部屋より強いなら、厳しい闘いになりますね」

「俺は、今の実力でどこまでやれるか試してみたい。だから意見が訊きたい。アニカには訊くまでもないけどな」

「失礼な!まぁ、私はやるけど!」

「私も構わないよ。むしろ見たいし闘いたい」

「ミーリャは?」

「私は……恐いです…」


 強敵の集団に襲われて、迷惑をかける未来しか見えない。でも…。


「そうだよな。よし!今回は作動させるのはやめとこ…」

「待って下さい!恐いけど…闘ってみたいです!」

「ミーリャ。無理しなくていいんだ」

「無理はしてないです!上手く言えないけど…ワクワクとドキドキが重なって、ワクワクが大きいんです!皆さんと…一緒に闘いたいです!」

 

 無理なんかしてない。冒険者は好奇心だけじゃ早死にすると言われてるけど、好奇心がなければ新たな境地には行けない。今は…行くときだと思う!


「わかった。…ウォルトさん、俺達でもやれるでしょうか?」


 ウォルトさんは少し険しい顔。


「『魔物部屋』は無作為に選ばれた魔物が出現する。前回見た集団と同じなら、かなり厳しい闘いになる。ただ…」

「ただ?」

「ボクが援護するから全力で挑んでほしい」

「…よぉし!やるぞっ!」

「「「おぉ~!」」」


 本当に不思議だ。ウォルトさんに言われると心が落ち着く。実力は未知数なのにもの凄い安心感。

 罠を起動させる前に、付与魔法や『身体強化』して可能な限り準備を終えた。アニカさんがブローチを指で突いたり、ウイカさんはフードを触ったりしてたけど、なにをしてたんだろう?


 準備万端って表情のアニカさんが壁際に立つ。


「ボタンと言えば?」

「アニカさんです」

「ミーリャ正解!いっくよ~!」


 アニカさんは、ボタンを押すと同時に猛ダッシュで駆けてくる。少し経って魔物の大群は上から落下してきた。予想外の登場パターンだ。

 確かに強そうな魔物ばかり。しかも、数がさっきの倍はいる。1人だったら泣き出して絶望するレベルの恐怖。


 あっという間に囲まれてしまった私達は、ウォルトさんを中心に各々外側を向いて魔物に対峙する。ジリジリと距離が詰まる。


「まずは…コレでどうだぁ!『火炎』」

「グギャァァッ!」


 先手必勝とばかりにアニカさんの魔法が炸裂する。とんでもない威力の炎が前方の魔物を焼き尽くした。


「累加が上手くいった!どんどんいくよ!」

「私も負けてられない!『雷撃』」

「ガルァァッ…!」


 ウイカさんも『雷撃』で魔物にダメージを与える。2人の魔法は本当に凄い。


「ミーリャ!俺達も行くぞ!」

「はい!」


 私は…私がやれることをやる!



「グルァッ!」

「ガァァッ!」

「くっ…!ぐはぁっ!」

「オーレンさん!」

「来るな…!かすり傷だ!前に気を付けろ!」


 攻撃を受けたオーレンさんに駆け寄ろうとして、手で制された。素早く立ち上がって交戦を続けてるけど…このままじゃマズい。


 最初こそ強力な魔法の効果で勢い付いたけど、時間が経つに連れて劣勢になってるのが私でも理解できる。やっぱり多勢に無勢。魔物の数が多すぎるし、倒せなくはないけど強い。まだ4分の1程度しか減らせていない。


「こんのぉ~!『氷結』!」

「アニカ!氷系はコイツには効かなかったよ!『火炎』!」


 アニカさん達も相当戸惑ってる。皆、疲れで動きも鈍くなってきた。このままじゃ…。そう思ったときウォルトさんの声がした。


「ちょっと待ってくれないか。『強化盾』」


 一瞬で私達をドームのような魔力が包む。魔物達が殴ろうとビクともしない。


「回復しながら話を聞いてくれるかい?」

「はい」


 直ぐに全回復してくれて本当に助かる。大勢の魔物に囲まれているのに、ゆったり流れる不思議な空気。


「皆はよく闘ってると思う。でも、慎重になりすぎてるよ」

「俺はいつも通りにやれてると思うんですけど」

「いつも通りなのが問題なんだ。魔物が単体だったり、数が少ないときと同じ闘い方をしてる。簡単に言うと全部が遅い」

「どういうことですか?詠唱とかですか?」

「そうじゃない。例えば、ウイカはアニカの対峙してた魔物に『氷結』が効かないことに気付いてたよね?」

「はい。一度詠唱して効かなかったので」

「それなら、アニカの詠唱より先にウイカが『火炎』を詠唱するべきだ。アニカは直ぐ違う行動に移れる」

「なるほど」

「確かに!」

「オーレンも、ミーリャが駆け寄ろうとしたときに止めたけど、止めなければミーリャは魔物を斬り倒してた」

「えっ!?そうなのか?」

「多分イケたと思います」


 かなり隙があったし、倒せていた自信はある。


「声をかけて断られたからミーリャは動かなかった。オーレンは断るべきじゃなかったし、ミーリャは声をかける前に斬るべきだった」

「なるほど…。確かにな…」

「そう言われるとそうです…」

「意思疎通を図るのは間違いじゃない。でも、この数でしかも強い魔物を相手にすると、一瞬の遅れが後々響いて押し込まれてしまう。優先順位を守って機を失しない闘いを心掛けると、余裕を持って闘えるはず。常に頭を回転させて最善を選ぶんだ」

「「「「わかりました!」」」」

「まだ魔物は半分以上残ってるけど、君達なら必ず倒せる。準備はいいかい?」


 私達が頷くと、ウォルトさんは両手を外に向けて詠唱した。


『風流』


「グルゥァァ…!」

「ガァァッ…!」


 密集していた魔物達は暴風で壁際まで吹き飛ばされ、そこで『強化盾』が解除される。


「気を取り直して…いくぞ!」

「格好つけんな!愚弟!」

「ふふっ」

「いきましょう!」


 私達は再び魔物の群れと激突する。



 


「ぶはぁ~!めちゃくちゃ疲れたぞ…!」

「きっつい…!もう無理っ!」

「ふぅ…。ほっとしたね。私は大満足」

「凄くいい経験ができました」


 私達は座り込んで苦笑い。結局、その後もウォルトさんに2回全回復してもらって、魔物に関する助言も受けながらなんとか倒しきった。

 闘い初めてから軽く1時間以上は経過してると思う。体力は回復してもらっていても頭を使いすぎて疲れたぁ。


「お疲れ様。慣れてきたら考えるより先に身体が動くようになるよ」


 ふんわり笑うウォルトさん。この人がいなかったら間違いなく全滅してるだろうなぁ。


「今回もありがとうございました。大口を叩いたのに、不甲斐ない闘いしか見せられなくてすみません」

「そんなことない。ボクは回復以外なにもしてない。ちゃんと回復できさえすれば、君達の力で倒しきれたんだ。誇っていい」

「エッゾさんはやっぱり化け物なんですね」

「それは間違いないね」

「エッゾさん?」


 どこかで聞いたことがある名前…。


「フクーベの冒険者の獣人で、剣士なのにこの『魔物部屋』を単独で突破するんだ。回復なしで」

「凄いです!」


 上位冒険者は凄い。私もそうなりたい。


「ウォルトさんも単独突破できるからね!しかも5分とかからない!」

「えぇっ!凄いです!」

「私は初めて来たので、ウォルトさんの討伐を見たいです」


 ウイカさんに同意!私も見てみたい!


「面白くないけどいい?」

「はい」

「じゃあ、いい機会だし皆に見てもらおうかな。獣人の魔法を考えてみたんだ」

「ホントですか!?楽しみです!」


 ウォルトさんを中央に残して、私達は壁際に移動する。


「アニカさん。獣人の魔法ってなんですか?」

「前に私がお願いしたの!獣人が編み出した獣人特有の魔法を見たいって!今から見せてくれるんだよ!」

「…そんなこと可能なんですか?」

「なんてったってウォルトさんだからね♪そろそろいきますよぉ~!」

「いつでもいいよぉ~」


 ゆるっ!


 アニカさんが「えいっ!」とボタンを押して魔物が降ってくる。端から見ると爽快だ。出現した魔物の集団は、自然体で待ち受けるウォルトさんに迫ろうと一斉に動き出した。 


 すると、巨大な魔法陣が地面に現れて魔物達は弾かれたように上空に飛ばされる。


針鼠(ヘッジホッグ)


 詠唱したウォルトさんの周囲に、大きな棘のような魔力の槍が無数に発現したかと思うと、空中に浮かぶ魔物目掛けて一斉に発射されて一瞬で串刺しにした。


「どわぁぁ~っ!」

「マジかっ!凄い魔法だっ!」


 地に落ちた魔物達はピクリとも動かない。ウォルトさんの魔法で天に召されていく。全ての魔物が消滅した後、ウォルトさんは余裕の笑みを浮かべて歩み寄ってきた。


「こんな感じの魔法だけど、もう誰か使ってるかもね」

「使ってないと思います!凄い威力で格好よかったです!」

「ありがとう。もっと考えたいと思ってるんだ」

「私達には全部見せてください」

「むしろ教えて下さい!」

「もちろんだよ」


 なにも言えないでいると、オーレンさんがそっと耳打ちしてきた。


「なっ?凄いだろう?」

「はい…。想像してたよりずっと…」


 あれだけの数の魔物をほんの数秒で…。威力が半端じゃない。自分が倒すのに苦労したからこそ、この人の凄さがわかる。ウォルトさんは…大魔導師だ。


 オーレンさんが微笑むけど、なんとういうか意味ありげ。


「その反応は……まだまだってことですね?」

「まぁ、そうかな」


 どうやら、私はこの冒険でウォルトさんのことをほんの少しだけ知れたみたいだ。

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