389 波及してるなぁ
ある夜のこと。
ウォルトは久しぶりに夢の中に立っていた。
『やぁ、ウォルト。久しぶりだね』
眼前に現れたのはウークの神木バラモさん。会うのはウルシさんの一件以来だ。
『ご無沙汰してます』
『元気そうだね。少し夢にお邪魔するよ』
『構いません』
『少し気になったことがあって会いに来たんだ』
『気になること…ですか?』
『最近、巷で噂のサバトっていう魔導師の正体はウォルトなのかい?』
まさか、精霊にまで噂が…?情報はどこまで伝わるんだ?恐ろしい…。
『そうなんですが…なぜバラモさんが知ってるんですか?』
『私達はエルフの里に立っていることが多いんだよ』
『それは知ってます』
『サバトの正体はどこかのエルフだと伝わってるだろう?だから、あちこちの里で話題になってる。私達の前でもエルフは会話してるからね』
『なるほど。それなのにボクだと思ったんですか?』
『各地に散らばってる精霊に訊いても、そんなエルフはカネルラには存在しなかった。見たことも聞いたこともないって。…ということは、実際はエルフじゃないと推測したんだ。そのうえで私達の知る最も凄い魔導師が君だったから、満場一致で最有力候補になった』
『そうですか…』
う~ん…。いくら人類と交流しない神木とはいえ、そんなことはないと思う。さすがにお世辞がすぎる。
ボクは魔法使いの底辺だ。エルフの方が遙かに凄い。キャミィの兄弟もそうだし、山ほど優秀な魔導師を見てるはず。
『エルフの情報網は狭いようで広い。多種族には全く興味がないけど同族への関心は高いんだ。皆が首を傾げてるよ。気付いた私達は凄いだろう?』
バラモさんは爽やかな笑顔を見せてくれる。相変わらず中性的で不思議な表情。
『ボクがバラモさんなら絶対当てられません』
『あははっ!君はそうだろうね。でも、君の友人だからわかったんだ。君を知らない者には絶対当てることはできない。他でもないエルフもね』
『いずれエルフには存在しないことがバレるはずですが』
『エルフ達も盛んに情報を交換してるけど、サバトに心当たりはない。それでも、サバトの正体はエルフだと考えてる』
『そうなんですか?』
『魔法に関しては様々な種族の中で頂点だと思っているからだ』
『それならそれで構いません』
ほぼエルフの魔法だけで闘ったけど、なにが原因で反感を買うかわからない。素性を知られないならそれに越したことはない。
『唯一気付いたのはウークのキャミィだ。彼女は勘もいいし賢い。ウォルトのこともよく知ってるからね』
『彼女にはバレても仕方ないです。というか、ボクの友人や知り合いにはほぼバレてます』
『あははは!納得だよ。ところで、もう話せる時間は少ないんだけど1つお願いしたいことがあるんだ』
『なんでしょう?』
★
次の日。
『こら!やめんかっ!小僧~!触れたら許さんぞっ!』
『絶対に触れたりしないので、心配は無用です』
『なんじゃと~!儂を汚いモノかなにかと勘違いしとるん……こら!やめい!こらっ!』
ガサガサと激しく揺れる枝葉にも慣れてきた。特にウルシさんはそういう性格だから。
『毎度騒がしくてすまない。皆で抑え込んでるからよろしく頼むよ』
『助かります』
『こちらこそ』
ウルシさんの幹に刻まれた傷に手を翳し、魔法で治療する。バラモさんに『またウルシが傷付けられたから治療してほしい』と頼まれた。『君に治療する義理がないのは重々承知してるけど、他に頼める当てもなくて辛そうで見てられないんだ』と。『お礼はする』と言われて、「いらない」とハッキリ断ったら苦笑いしていた。
バラモさんが頼むのが筋だと思うけど、ボクが『師匠モドキ』に認定したやさぐれ神木にできるわけない。ただ、恨みはないので、治癒魔法の修練という名目で了承した。
刻まれているのは結構深い傷だけど、剣で斬られたのかな?複合魔法で順調に回復していく。
『凄く温かいなぁ。ウルシが羨ましいよ』
『よく言われます。他にも治癒してほしい方がいれば、やらせてもらいますが』
『いいのかい!?ちょっと皆に訊いてみるよ』
バラモさんの気配が消える。治癒魔法の修練になるからやらせてもらおう。
『…小僧~!』
ウルシさんが出てきた。もう少し眠っていればいいのに。
『なんですか?』
『許可なく勝手に治療するとは…どういう了見だっ!』
『傷が痛そうだったので、ボクの我が儘で治しました。まだ痛みますか?』
『痛まんわ!治せなかったらどうするつもりだったんじゃ!』
『どうもしません。元々痛かったんだから治せなくてもボクに非はないです』
『なんじゃとぉ~!』
『ウルシさん。普通なら、理由はどうであれ治療されて治ったのに文句を言ったりしないと思いますよ?』
『ぬぅ…!なんたる言い草!神木を舐めとるのか!おぅ?!』
なんでそうなるんだ…?まるで話にならない。けど、こういうところが師匠にそっくりで憎めない。
『そんなことありません。ウルシさんは別ですけど』
『なんじゃとぉ~!』
『ボクは貴方を敬ったりしません。今のところ尊敬できるところが見つからないので』
『生まれたばかりの獣人ごときが…偉そうな口を利くな!』
『確かにそうですけど、貴方もただの老木ですよ。話は聞かないし意味不明なことばかり言って、神木らしさは皆無です』
『な、な、な、なんじゃとぉ~?!』
激しく枝が揺れる。怒ってるんだろうけど慣れてきたんだよなぁ。別の角度から見ると愉快に笑ってるようにも見える。
『普通に話したいんです。でも、直ぐにケンカ腰でくるから言い合いになります』
『全てお前が悪いんじゃ!生意気なガキめが!』
『貴方は『神木』ではなくて、いきなり理由もなく怒る『怒木』です』
『誰が怒木じゃ!礼儀知らずの獣人め!』
『崇めてほしいのなら崇めますよ。お供えでもして』
『おぉ!やってみぃ!』
『お断りします。なんでそんなことしなくちゃいけないんですか』
『お、お前が言ったんじゃろうがっ!ふざけるなっ!』
『貴方は紛れもなく世界樹から別れた精霊でしょう。でも、崇めたとしてなにかしてくれるんですか?名前に『神』って付いてますけど、エルフは恩恵に与っているんですか?』
『くっ…!なにも知らんくせにっ…!』
大事だと思うから言っておこう。
『神木とはエルフが勝手に決めた呼び名。ボクにとっては単なるこの森の一部。ボクも貴方もです』
『…きっさまぁ~!』
『文句があるなら夢に来て下さい。いつでもお待ちしてます。それと、傷を治したのが本当に気に入らないのなら直ぐ元に戻せます。どうしますか?』
『……ちぃっ!』
黙ってしまったのでしばらく待っていると、バラモさんの念話が聞こえた。
『いつもすまない…。頼んだのはこちらなのに…』
『気にしないで下さい。分からず屋の神木と話しただけです。皆がそうだとは思いません』
『相変わらず、ハッキリ言うなぁ』
『事実ですから』
性格を理解してるから怒る気にもならない。ただ、怒っている理由は知りたくもある。空気は読めないけどボクが悪いのか?
素直じゃないし、なにがしたいのか理解できない。そんなに怒られることをした覚えがない。したのならハッキリ言ってほしい。
『さっきの話だけど、何人か治療をお願いしていいかな?でも、ちょっと場所が遠いんだ』
『エルフの里ですか?』
『いや。エルフの里にいる仲間は崇められているから傷1つないんだ。フォルランにやられた私くらいだね』
『場所を教えてもらっていいですか?』
『どうするか……。コレでどうかな?』
ウルシさんの宿る木が輝くと、頭の中に突然森の地図が広がる。幾つかに点が示されている。
『コレは……魔法ですか?』
『言うなれば『精霊力』ってとこかな』
初めて感じる力だ。直接脳に訴える能力なんて不思議でならない。でも、夢にも自在に出入りするくらいだから可能だろう。
『この点の場所に向かえばいいんですね?』
『お願いできるかい?』
『体力向上を兼ねて駆けて行きます』
まずは最も近い神木を目指す。全力で駆けると30分程度の場所。やはり薄ら魔力のようなオーラを纏っているので直ぐに発見できた。『念話』で話しかける。
『こんにちは。バラモさんの友人のウォルトです』
『待っていたよ。私はタージだ。遠いところすまない』
『気にしないで下さい。直ぐに傷を見ます』
『すまない。頼む』
タージさんの幹にも所々に拳で抉られたような痕がある。大きさからすると、おそらく拳で殴られた痕。治癒魔法でしっかり回復させる。
『おぉ…。初めての感覚…。バラモが言う通り陽だまりのような温かさだ』
『治りました』
『ありがとう。晴れ晴れとした気分だ。感謝する』
鈴を鳴らすように枝が揺れる。喜んでもらえたみたいでよかった。次に行ってみよう。
『凄く気持ちよかったわ。ありがとうね』
『最高の気分だ。助かったよ』
『君は凄い魔法使いだ。出会えてよかった』
『大袈裟です』
森の各地に点在する合計4体の治療を終えた。皆が感謝の言葉をくれて嬉しかったし、ボクも修練になった。それぞれの個体で少しずつ効果のある魔力が違って、探りながら魔法を操るのは魔法操作の修練になる。
それにしても、神木には性別があるのかな?話した印象からそう感じた。そういった概念があるのか知らないけど、皆が紳士淑女だ。
エルフに崇められる存在でありながら、話してみると気さく。やっぱりウルシさんだけが好戦的…というか怒りっぽいんだな。でも、そんな神木がいてもいい。
『ウォルト、お疲れ様。本当にありがとう』
最後の治療を終えると脳内の地図が消えてバラモさんが話しかけてきた。
『いい修練になりました』
『皆、喜んでいるよ。それで、お礼なんだけど』
『いらな……いえ、なんでもないです』
お礼の気持ちを拒否するような言動は相手を困らせる…とリスティアに教えてもらったばかり。聞くだけ聞こう。
『さっき神木を崇めると恩恵に与るのか?ってウルシに聞いたろう?』
『はい』
『私達にできることは多くないけど、確かにあるんだ。なんでもいいから頼みたいことがないかい?』
『なにか……。…もしよければ精霊力を見せてもらえませんか?』
『見せるって…どうすればいいんだい?』
『少しの時間、纏ってもらうだけでいいんですが』
『お安い御用だけど……こうかな』
バラモさんは精霊力を纏う。ハッキリ視認できたから気付いたけど、神木が薄ら纏っているオーラのようなものは精霊力だ。
あまりに微量すぎて陽炎のようにしか見えなかったけど、視認して記憶したから今後は見つけやすい。
『ありがとうございます。もう大丈夫です』
『役に立つかな?』
『凄く勉強になりました』
『そう?他にはない?』
『ないです。充分すぎます』
『欲がないなぁ。私達の力を見てどうするのさ。形にも残らないのに』
『魔法の幅が広がるかもしれません。それだけでもの凄く価値があります』
『魔法の幅が?見せただけなのに?』
ボクの予想だと、視認できるということは精霊力も魔力と類似した力。色彩や形状も脳裏に焼き付けた。模倣して魔法に活かせるかもしれない。それだけで心躍る。
『バラモさん達は、精霊力が増すと悪い影響がありますか?』
『ないよ。いい影響はあるけど』
『では、少し試させてもらっていいでしょうか?おかしな症状が出たら直ぐに教えて下さい』
『どういう意味だ?ウォルト…?ウォルト~?』
神木に手を翳して集中する。繊細に魔力を操作して、精霊力を模倣した魔力を練り上げ神木に送り込む。もし、魔力に近いモノであればいい影響を及ぼすはず。
『なんてことだ…。君は…自分がなにをしているかわかっているのか…?』
『模倣した精霊力を送り込んでます。気分はいかがですか?』
『生命力が湧き上がるようだよ…。こんなことが可能だなんて…。まさか精霊力を模倣するとは…』
『まだ雑な模倣なので磨き上げる必要はあります。そういえば……もしかして門外不出の秘伝とかですか?もしそうなら、死ぬまで誰にも見せたりしないので許してほしいんですが……』
『違うよ…。秘伝ではないし隠す必要もないけど…』
『ありがとうございます。そうなら助かります。せめてものお礼に…』
『うわわわわっ!ウォルト?!こら!やり過ぎだって!』
いい影響があるらしいので、修練を兼ねて模倣した精霊力をとんどん送り込んでおこう。
結果バラモさんに怒られた。あまり精霊力が高まりすぎると、気分が高揚して酔ったようになるらしい。でも大袈裟だ。そんなに送り込んでない。
その日の夜。ボクはまた夢の中に立っていた。会いに来てくれたのはウルシさん。口調と違って姿はスマート。
『小僧…。昼は生意気な態度で手を煩わせおって…』
『ありがとうございます』
『褒めとらんわ!』
『わざわざ文句を言いに来てくれたことへの感謝です』
『あぁ言えばこう言う…。親の顔が見てみたいわ!』
『ボクも貴方の親分である世界樹を見てみたいです。どんな顔をしてるのか』
『なんちゅうことをほざきよるんじゃ!』
夢の中でも安定の騒がしさ。ここは1つ…。
『ウルシさん。今から黙って聞くので、文句でもなんでも言って下さい』
『ぬっ?…なにを企んどる?』
『貴方の不満を知らないと話が進まないでしょう?反論しないのでお願いします』
『いい心掛けじゃ!まずは…』
矢継ぎ早に不満を捲したてる。要約しなくても、どうやらボクのことが嫌いみたいだ。「言動が気に入らない」とか「獣人であること」とかいろいろ理由を言ってるけど意味不明だ。聞いてる内に、だんだんお腹いっぱいになって眠くなってきた。
『こんなところじゃな!』
『わかりました…。今後ウルシさんの前に姿を現さないので…安心して森に立って下さい…』
『うむ。それでいいんじゃ!』
『では…おやすみなさい』
話は終わりだ…。横になって…ゆっくり眠ろう…。
『待てい!』
…なんだ?ペシペシと叩き起こされる。夢なのに感覚がある不思議。
『なんですか…?もう眠いんですよ…』
『大事なことを言い忘れとった!』
『まだなにかあるんですか…?』
『二度も傷を治してくれて…感謝する』
『しなくていいです…。勝手にやったので…』
ワケがわからない…。とりあえずボクは眠いんだ…。
『ウォルト。今一度、起きて下さい』
意識を失いかけたところで優しい声が響く。誰だろう…?ホントに眠いんだけど……。
横になったまま薄ら片目を開けると、神々しい衣装に身を包んだ女性?が立っていた。今度は誰だ?
『どちら様ですか…?』
『ふふっ。貴方が見てみたいと言ったんですよ?』
……ん?もしかして…。
『世界樹…さんですか…?』
『初めまして。この子がお世話になったみたいね』
『ボクはなにもしてませんよ……ふぁぁ~っ』
『この…獣人!しゃきっとせんか!』
『獣人は関係ないでしょう…?眠いんですよ…』
世界樹さんの声色が変わる。
『ウルシ。いい加減にしなさい』
『は、はい!』
ウルシさんが焦ってる…。この人達の関係はなんだろう?親子…?主従…?師弟…?まぁ、なんでもいいか…。
『傷を回復してくれた者に対してなんたる無礼な態度。私は恥ずかしい限りよ』
『で、ですが…』
『貴方も感謝していると言ったでしょう?嘘なの?』
『いえ…』
しゅんとしてしまった…。ちょっとだけ口出しさせてもらおう…。
『世界樹さん…。ボクは気にしてないので、そのくらいにしてもらえませんか…?』
『あら。ウォルトは優しいのね』
『そうじゃなくて…いつも口の悪い人が黙っていると気持ち悪いだけです…。ウルシさんはそれが普通なので…。そんな神木がいてもいい…」
人も木も…同じだ…。付き合うか付き合わないかで違ってくるけれど…。
『ふふふっ。皆が貴方を気に入る理由がわかる』
『ボクとウルシさんは…こんな風に話すのが普通なんです…。お気になさらず……』
『わかったわ。余計な口出しはやめましょう』
『ありがとうございます…。ではお休みなさい…』
話が通じる人でよかった…。もう…眠気も限界だ…。
『待てぃ!』
心地いい眠気の沼に浸かっていたのに、邪魔をするウルシさんの大きな声…。
……いい加減にしてくれ。
『用があるのなら、さっさと言ってください…』
『な、なんじゃ!その態度はっ!』
『気に入らないのなら…絡んでくるな…。ボクは…二度と会わないと言ったろう…。なんの不満がある…?』
『いっ……うっ…』
『コレが本当に最後です…。文句があるのなら聞くだけ聞きます…。手短にお願いします…』
ウルシさんは黙り込んでしまった。
『ウルシ。ちゃんと言わないと伝わらないわよ?』
『うぅ…』
…もういい。面倒くさい…。ボクは…寝る…。
『ウォ……ウォルト…』
初めて名を呼ばれた。微かに目を開けてウルシさんを見る。
『……なんですか?』
『と……友達になってほしいんじゃ…』
…なんだって…?
『治療のことも心から感謝しておる…。お前と…友達になりたいんじゃ…。でも、こんな性格だから…嫌…じゃろう…?』
今までの流れからなぜそうなる…?でも……嘘を言ってるようには見えない…。辛うじて意識を保ちながら、俯くウルシさんに返事をした。
『こちらこそ…よろしくお願いします…。また…遊びに来て下さい…。今日はもう寝ます…』
『あ、あぁ…。おやすみ…』
ウルシさんのことは…嫌いなワケじゃない…。師匠みたいでなぜか憎めないんだ…。ただ…ボクのことが嫌いなら付き合えない…。そう思っただけで…。
すっ…と意識を手放した。
世界樹は微笑む。
『ちゃんと言えてよかったわね』
『はい…』
『彼は、私達の存在に理解を示しながら対等であろうとする存在。意地を張らずに付き合いなさい』
『わかっています』
『正直羨ましいわ。私も頼んでみようかしら。『世界樹さん』なんて初めて呼ばれたもの』
『貴女なら二つ返事です』
『ふふっ。先の楽しみにとっておきましょう。またお邪魔することはありそうね。今日のところはお暇しましょう』
『はい』
★
明くる日。
記憶に自信はあったけど、念のためウルシさんを訪ねた。
『ウルシさん。友人として会いに来ました』
『う、うん…。ありがとう…。嬉しいよ…』
話しかけると別人のようによそよそしい。この態度は違う気がする。ウルシさんらしくない。
『固くならずに、いつものボクらでいきませんか?友達だからこそ砕けて話したいです』
『そ、そうか…。なら……よく来たのう、ウォルト!』
『はい。ウルシさんのせいで、眠くて最悪の寝起きでした。さすがの嫌がらせですね』
『やかましいわ!生意気な口を!』
『でも、友達だから許します』
『減らず口を!友達じゃから許すがな!』
こんな風に言い合えることが嬉しい。しばらく会話して帰った。ゆっくり話してわかったけど、ウルシさんは素直に気持ちを伝えられない天邪鬼らしい。
ボクのことを気に入ったけど、伝える方法がなくてとにかく絡むという手段に出た。その中で隙を見て伝えようとしたらしかった。
要するに、とんでもなく前フリが長い神木。そんな神木がいてもいい。