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モフモフの魔導師  作者: 鶴源
373/706

373 新聞記者の憂鬱

 フクーベの街で、夜更けに働く中年男性が1人。


「ふぅ…」


 新聞記者(アヴィソ)のツァイトは、職場の机に足を載せ、ボロ椅子にもたれながら咥え煙草で煙を薫らせる。

 今日の仕事はとうに終わっているが、個人的に調べている案件で残業。シミが目立つ古い天井をボンヤリ見上げていると声をかけられた。


「ツァイト。お前、まだサバトを追ってんのか?もう諦めろって」


 机の上に同期のブリンクが淹れてくれたカフィが置かれる。最近、販売の独占が崩れて安く飲めるようになったので有り難い。眠気覚ましに最適。


「なんでだ?」

「カネルラ中で探されてるのに、一向に見つからないんだぜ?どっかの隠れ里にいるに決まってるだろ」

「まぁ、その可能性は高いだろうな」


 カフィを一口含むとあまりの苦さに眉をひそめる。見てくれは不精髭の汚らしいおっさんだが、砂糖をたっぷり入れた甘いカフィが好きだ。けど、わざわざ淹れてくれたのだからこのまま頂く。

 

「やけにサバトにこだわってるな」

「気にならないか?カネルラで歴代最高と云われるような魔導師だぞ。しかも、噂すらなく突然現れて、消えた後の所在は依然として不明。興味が湧かないほうがどうかしてる」

「ならないとは言わないぜ。ただ、俺らの取材できる範囲にいるとは思えない。カネルラは大国じゃないがそこそこ広いんだ」


 まぁ、ブリンクの言ってることは最もだ。世界では小国でも、全土を調べ上げるのは不可能な広さ。


「けどな、フクーベの冒険者とパーティーを組んでた。やっぱりこの周辺は怪しい」

「気持ちはわかる。けど、マードック…だったか?話を聞いたけど、アイツにはエルフの知り合いはいないと断言できる。付き合えるような奴じゃない。乱暴すぎる獣人だ」

「それは同感だ」


 俺が取材に行ったときも、「知らねぇっつってんだろ」の一点張りで、それでも食い下がると「しつけぇな。テメェら死にてぇのか?」と上から睨まれた。

 危うく恐怖でションベンをちびりそうになった。もう1人の獣人には会えてないが、噂に聞く限りマードックに輪をかけて人格に難があるらしい。


「スザクさんが言うには、かなり優しい男だったらしいからな」

「そうだな。あの人は噓は言わない」


 Aランク冒険者のスザクさんは、俺達より少し年上の剣士。冒険者に関する取材で何度もお世話になってる。強面だが温厚で人柄も素晴らしい男だ。

 スザクがサバトと話していた、という情報を得て取材を申し込んだら快く答えてくれた。


「スザクさんが教えてくれたのは、『顔は皆が噂している通り』『過去に見たこともない魔導師』『物腰は柔らかい。優しくて温厚』『出身はフクーベじゃない』。ざっくり言うと、このくらいか」

「スザクさんの予想でも、種族はエルフで間違いないらしいが…エルフに知り合いがいる奴に取材しても、まったく心当たりはないって回答だ。エルフは国内各地の森に点在して暮らしてるから、交流が深いわけじゃないだろう。ただ、普段他人に興味を示さないエルフ達も気になってサバトを探してるらしい」

「決勝の対戦相手だったエルフも知らなかったんだろ?」

「引っかかるのはそこだ。対戦相手(フレイ)も、相当凄い魔導師だったと聞いてる。宮廷魔導師より技量は上だと。そんな男でも知らないような同族がいるのか疑問だ」

「ソイツは160歳くらいだ。エルフはどれだけ生きるかハッキリしない奴らだぜ。知らない奴なんて山ほどいるだろ」

「エルフは俺達人間からすると常識外れ過ぎる。正直わからないことばかりだ」


 飲み干したカップをそっと机に置く。


「大会終了後、パタリと足取りは途絶えたんだぜ。王都の四門に配置されてる門番も姿は見ていないと証言した。白猫の面を被った異様な男が通れば俺でも覚えてる。だが、誰も見てない。変装とか馬車にこっそり乗り込んで脱出とかも考えられる。けど、実は王都を出ずにひっそり暮らしてる…って推測はどうだ」

「それは考えにくい。同じことを王都のアヴィソも考えてる。あっちは人も多いし情報網が半端じゃない」

「あのなぁ、サバトは俺らの想像を超える魔導師だ。そんなだから消息を掴めないんだぜ?なんでもありだろ。考え出すときりがない」

「確かにな」

「それに、お前はなんでサバトを追ってんだ?まさか記事にするつもりじゃないだろ?」

「そのつもりはない。単なる好奇心ってヤツだな」

「会えたらどうするんだよ?」

「話を聞く。どんな男でどんな人生を送っているのか。できるなら酒でも飲みながらゆっくり聞いてみたい」

「もうカネルラにはいないかもしれないぜ」

「充分あり得る。カネルラは魔法先進国じゃない。世界に遅れてもいないらしいが、サバトほどの魔導師なら世界を渡り歩いている途中かもな」

「そういうこった。あんまり根詰めすぎるとぶっ倒れるぜ。ほどほどにな。俺は先帰るわ」

「あぁ、お疲れ」


 ドアが閉まり、職場に居残って再びサバトの素性について思考を巡らせる。



 本当に不思議な男だ。魔法武闘会で軽々優勝できる実力を持ちながら、参加したのは急遽開催されたチーム戦。そこで、王族、観客、配置された魔導師など全員を魅了する魔法を繰り出した怪物魔導師。

 観客に対する王都の記者の取材によると『とにかく凄かった』『人とは思えない』『フレイも相当凄かったが、サバトはもっと凄い』という話ばかり聞こえてきた。素人でも違いがわかったと。 

 魔法武闘会で優勝したナッシュなど足元にも及ばない魔導師。会場に残っていた他の武闘会参加者に尋ねても共通認識だった。他ならぬナッシュ自身もそう感じて脱帽していたらしい。

 サバトは表彰式をボイコットしてそのまま姿を消した。興味がなかったんだろう。そこはエルフらしい。

 

「興味が尽きないんだよなぁ…」


 長年記者を務めてきたが、こんなに心躍る出来事は初めて。カネルラは基本的に平和な国。犯罪も含めて大きな事件が起こることは稀でほぼないと言っていい。

 国を揺るがすような出来事が起こることを期待してるわけじゃない。けれど、カネルラ中に瞬く間に噂が拡散されるほどの衝撃を与えた魔導師の出現に、少なからず記者としての本能が刺激され興奮した。


 俺だけかもしれないが、サバトの出現はカネルラだけでなく、世界を揺るがす可能性も秘めている。そう感じている。

 そして、ブリンクはあぁ言ったがサバトはカネルラ国内にいるという確信がある。ただし、街には住んでいないだろう。隠れ里か人里離れた場所に住んでいるはず。各地の情報網はそこまで落ち込んでいないと俺は思っている。


 幾つか気になる話がある。まず、ブリンクには言ってないが、スザクさん達【四門】のメンバーは武闘会からしばらく経って【悪魔の鉄槌】で偶然サバトに遭遇したらしい。

 耳にして急いで取材に行くと、全員が快く応じてくれて魔導師のセイリュウさんは「度肝を抜かれた」と嬉しそうに語っていた。

 ダンジョン内に1泊してかなり疲労が溜まっていたから、ゆっくり話したいとかそんな思考すら起きなかったことを皆が悔やんでいた。その時のサバトは、高難度ダンジョンを単独潜行していたらしい。4人もにわかに信じられない気持ちだったそう。


 軽くお酒をご馳走して、別れ際にスザクさんに言われた。


「ご馳走になった。俺は武闘会でサバトに治療してもらったお礼に飯を奢る約束してるんだ。どうしても気になるなら、その時に会ってくれるか訊いてみようか?」

「本当ですか?!是非!」

「期待はしないでくれよ。人見知りっぽかったし、死ぬまでに会えるかもわからない。お前さんは頑張ってるから訊くだけ訊いてみるよ。その結果も教えるからさ」

「それで充分です!ありがとうございます!」


 スザクさんは「会うなら俺らが先だろ!」「セイリュウ以外はちゃんと礼も言ってないんだぞ!ふざけるな、アホ!」とメンバー達から揉みくちゃにされていた。

 人当たりがよくて、性格が柔らかいスザクさんだからサバトと普通に話せている可能性もある。


 それと、王都の知り合い記者からの情報がある。フクーベが生んだ大魔導師ライアンが亡くなる直前に「サバトに会った」と周囲に自慢していたらしい。

 詳細は語らなかったらしいが、稀代の魔導師とゆっくり話せたことを喜んでいたと。実際に魔法を見て「世界は広い!あの魔導師は…愉快過ぎるわ!」と好々爺のように笑っていた。若い弟子達はライアンが楽しそうに笑っている姿を初めて見たと語った。

 邂逅を果たしたと思しき日のライアンは、珍しく弟子のお供も付けず、たった1人で出掛けたとのことだった。行き先を告げることもなく「ちょっと出てくるわい」の一言だけ告げて。サバトと会うための約束だった可能性が高い。大勢で押しかけて来るのなら会うのは断るというサバトの意思表示かもしれない。


 朝早くに出掛けて、帰ってきたのは次の日の夜だった。つまり、そう遠い場所まで移動してはいない。病に冒された身体では馬車で移動していてもさほど遠距離ではないはず。

 だからこそ、サバトはカネルラ国内にいるというのが俺の予想。しかも、誰かしらが仲介した可能性が高い。

 幾つもの候補が挙げられるが、やはりフクーベに来た可能性が高いと俺は睨んでいる。そして、マードックやもう1人の冒険者エッゾの知り合いである可能性が高いと。

 だが、そこから追う術がない。あまり首を突っ込むと藪蛇になる可能性もある。サバトはこちらの動きを察知して完全に姿を消す可能性すらある。それだけは絶対に回避しなければならない。


 取材の席で四門の魔導師セイリュウさんに忠告された。


「ツァイト。サバトのことが気になるようだが、彼の素性や住居を新聞が公表し、そのことが原因で気分を害しカネルラから姿を消すような事態が発覚すれば、魔導師はアヴィソを金輪際許さないだろう」

「なぜです…?あまりに理不尽では…?」


 報道には国からもおおよそ自由が約束されている。逆恨みも甚だしい。とても聞き入れられない。


「セイリュウ。いくらなんでも大袈裟じゃないか?サバトは自分から公の場に出てきたんだ。そうでなければ報道に問題があると思うけど、本人もそこら辺は覚悟の上だろうさ。アイツは賢い奴だった」


 スザクさんの意見に俺も同意だ。そんなバカな話はない。だが、セイリュウさんは反論することなく平然と続けた。


「魔法武闘会以降、カネルラの魔導師にとってのサバトは打倒すべき目標であり、魔法を発展させる可能性を秘めている重要な存在。大多数の魔導師が同じ認識のはず。それを奪うことは危険だというただの注意喚起。どう受け取るかはお前達の勝手。信じなくとも一向に構わない」

「言ってることがよくわからんけど、記者には記者の仕事があるんだ。あれだけの男を調べるのは当たり前で仕方ないだろう」

「その通りです。サバトのことを知りたいという国民は未だ多いんです」


 今では若干下火になったが、職場に「サバトの情報はないのか?」と問い合わせが日に何件も来る。


「俺達だって知りたい。むしろお前達より強く思っていて、魔導師達も自分なりに調べている。だが、知り得た情報を不特定多数に公表することは単なる享楽。一過性の感情で魔法界に損失を与えることを魔導師は看過できない。彼は、何十年、何百年に1人かという稀有な存在。魔導師にとってはなにより優先される」


 まったく理解できない…。この人はなにを言ってるのか意味不明だ。そこまで言うのなら訊かなきゃならない。


「仮にそうなった場合、どんなことが起こると予想しますか?」

「他人のことは断言できない。少なくとも俺はカネルラや新聞に二度と協力する気はない」

「具体的にはどういうことですか?」

「『治癒』による治療行為も、魔石への魔力付与も一切行わない。新聞の取材にも答えることはない。いずれカネルラも出る」

「そんな…バカな…」


 サバトのことを公表して、仮に追い込んだとしてもなぜそんなことになる…?この人も知りたいと言ったろう?


「お前さんは本気で言ってるのかい。なんでそうなるのか俺にはサッパリ理解できんよ。極端すぎるなぁ」

「当然だ。魔導師にしか理解できないだろう」

「そうかぁ。けど、全ての魔導師がそんなことになったらカネルラはめちゃくちゃになる。構わないってのか?」

「知ったことじゃない。そうなったとしても責任は魔導師側にはない。一時の享楽のタメに報道を認めた国と情報を流布した新聞にある。ソイツらがなんとかするだろう」

「そうなったとしても、魔導師には一切非はないと言うんですか…?」

「そうだ」


 めちゃくちゃだ…。無責任過ぎる…。いくらなんでもそんなことはあり得ない…はずだ。セイリュウさんの勘違いのはず。


「そんなもんかねぇ。あまりに意固地すぎないか」

「詳しく話せば長くなる。簡単に伝えておこうと思っただけだ。口論するつもりはない。納得いかないのなら俺の戯れ言だと思えばいい。話は終わらせてもらう」

「信用しないわけじゃないが、仮にそうなるとしたらツァイトにとっては困った話かなぁ」

「はい…」


 俺にはとても信じられない。1人の魔導師のタメに国が混乱する事態に陥るなんてことは。






 後日、俺は冒険者の魔導師や生活魔導師から話を聞いた。


「もし、新聞の公表が原因でサバトがカネルラから姿を消したらどう思うか?」と。

 すると、驚くべきことに同様のことを口にする魔導師が大多数だった。まさしくセイリュウさんの言う通りだった。

 特に、上位冒険者や多くの弟子を持ち魔導師業界に影響力を持つ魔導師は全員がそう答えた。「そんなことになったら絶対に許さんからな!」と威圧してくる魔導師もいて相当怖かった。


 その中でも、ギルドマスターで優秀な魔導師であるクウジさんが詳しく答えてくれた。


「お前達は、魔法の発展や進化について真剣に考えたことがあるか?」

「魔法の発展…ですか?」

「そうだ」


 クウジさんの意見はこうだ。


 魔法が発展すれぱ間違いなく国民生活は豊かになる。戦闘魔法も生活魔法も然り。世界の歴史からも火を見るより明らか。

 他意はなく純粋に魔法を発展させたいという者もいるが、多くの魔導師は魔法を修練することの他に、発展させることに人生の大半を費やす。大袈裟ではなくカネルラの未来繁栄と魔法を進歩させるタメに。

 魔導師にとって最大の目標であり、生き甲斐と言ってもいい。勿論己が成し遂げたことの証を残す意味もある。


 だが、容易に達成できることではなく、閃きや天啓を常に待ち望むほど困難である。千人が挑み1人でも発展させることができたなら驚異的なこと。魔法を発展、進歩させた者は歴史にその名を刻む。当然、発展のきっかけと成り得る事象が確実に存在し、何者かの浅はかな言動によりそれを排除することは魔導師にとって許し難い。

 サバトは魔法の進化、発展のきっかけと成り得る人物。武闘会における彼の魔法が充分に証明している。疑う余地もない。


 たとえ自分が巡り会えなくとも、誰かがサバトと接触することで現代の魔法を向上させる可能性がある。なにかを掴んで閃きを授かるかもしれない。ただの仮定であっても魔導師にとってなによりも勝る。

 記者はどうか知らないが、直に面会を果たした大魔導師ライアンが発信したことにより、カネルラの魔導師達はサバトが『人に会うことを好まない魔導師』であることを知っている。

『素性については他言無用』を要望されたとライアンは述べた。ただし、断固他人と交流しないというような偏屈な魔導師ではなく、誠意を持って対話すれば間違いなく交流は可能であるとも伝えられた。


 彼の魔導師の存在が国民の興味を引くことは理解できるが、情報を公開するのなら本人が「公表しても構わない」と公言したときのみとするべき。

 サバトが目立ちたがりで、弟子を取るような魔導師であればなんら問題ない。むしろ矢継ぎ早にアピールした方が世のためになる。

 だが、表舞台に立って技法を伝授するような男でないことを理解しているがゆえに、魔導師にとっては『カネルラにいて遭遇する可能性がある』ということが最も重要。

 不用意に騒ぎ立て、サバトを刺激して他国に追い出すなど言語道断。魔法の可能性を足蹴にし、遙か昔から研鑚を積んできた魔導師そのものを嘲笑うかのような行為であり、とても容認などできない。


 魔導師が喉から手が出るほどに欲する事象を一時の快楽的感情のタメに奪うというのなら、カネルラ及び自国における魔法双方の発展を妨げようとしているとしか思えない。

 まさに愚行としか言い様はなく、真摯に魔法と向き合ってきた魔導師に対する侮辱と受け取られて止むなし。実行者が何者であれ魔導師は決して許さないだろう。相応の報いを受けてもらうことになる。


 仮に国が認めるのであれば、魔法の発展どころか、この国には魔法など必要ないと魔導師は判断して好きなように行動する。迷いなど微塵もない。長々と話したが誰でもわかる簡単なことだ。…と教えられた。

 そして「フクーベの新聞がそんな所業を行ったなら、俺が責任を取って燃やし尽くす。他の魔導師達に示しがつかない」と笑って言われた。だが、表情から察するにおそらく冗句じゃない。



 クウジさんに丁寧に礼を告げて、胸に去来する想い。


 バカですみません。事の重要性を全く理解していませんでした。説明された今でも理解し難いです。あまりにも魔法に対する感覚が違いすぎた。


 けれど、俺も言いたいことはある。「サバトはなぜ武闘会に出たんだ!」と声を大にして言いたい。「わざわざ目立つようなことをして、注目されたいんだろう?!望み通りにしてやる!」と言い放ちたい。


 ただ、本人にそんな素振りはない。ひっそりと身を潜めている。要するに、俺も含めた野次馬が勝手に想像して騒いでいるだけ。

 実際、セイリュウさんの忠告を受けた数日後、無理にかつ公にサバトのことを調査しないよう正式に上層部から通達された。これは厳命だと。

 おそらく、王族以下、宮廷魔導師やカネルラに籍を置くその他の魔導師も同様の考えを抱いていることは想像に難くない。その規模がいかほどか俺は知る由もない。


 生活魔法は国民の生活に密着している。冒険者の魔導師も、脅威を排除し平和な生活を影から支えている。仮に国中の魔導師がカネルラを見限って反逆すれば、国内は未曾有の混乱に陥るだろう。


 溜息しか出ない。サバトは…まるで触れてはいけない爆弾のような魔導師だ。


 悪ふざけや名誉のタメにサバトの正体を暴きたいんじゃない。俺がサバトを追うのはあくまで個人的な理由。会って話だけでもしてみたいという欲求。


 絶対に公表したりしない。誰にも言わないと約束する。だから、どうにか俺と会ってくれないだろうか。

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