表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
寄生尸人  作者: 拉麺プリンセス
2/2

プロローグ2


「久しぶりだな亮介」


避難所を訪れた俺は父の兄である道亮の元を訪ねた


「お久しぶりです道亮おじさん、バタバタしている所を急にお訪ねして申し訳ありません」


「迷惑千万だが兄貴の息子だ、無碍にはできん。そういや、亮介は記者になったんだっけか。今日はこの間の災害について聞きに来たわけだな」


話が早くて助かる


「そうです、しかし皆一様に口を閉ざしてまして市外ですが参里と関わりが深かった道亮おじさんなら何か知ってるかと思いまして」


道亮は腕を組みながら首を振る


「俺にも詳しいことはわからん、だが奇妙な噂は聞いていた」


「奇妙な噂?」


「悪いことをするとご先祖様が墓から起き上がって来て食われるって話だ。お前も母ちゃん、いや婆さんから聞いたことあるだろ」


ああ、あれか

よく悪戯した時婆ちゃんに脅かされてトイレいけなくなったけか


「あの話がどうかしたんですか、まさか本当に起き上がってきたなんて言わないですよね?」


「そのまさかだよ。金婆さんは覚えてるか?ちょうど本家の真向かいに住んでたご近所さん。あの人のせがれが去年の暮れに急死したんだが何日かしたら息子が生き返ったなんの騒ぎたててな、大人しくさせるのに随分手間取った」


金婆ちゃん、昔遊び行くとよくお菓子くれたなぁ

年齢が年齢だし息子の急死でボケちゃったんじゃないだろうか


なんて呆れた顔で考えてるとおじは真面目な顔する


「金婆さんだけじゃねぇ。今年の5月位から流行病が起きてな、結構な数の人が亡くなってて、そんな中で死んだ人が生き返ったなんて噂が出てた」


「あー、なんか軽くニュースになってたね。偶にこの地域で流行ってた土着病が今年は猛威を奮ってるみたいな?」


「ああそうだ、特効薬もあるしそんな脅威でもなかったんだが今回の流行病はお偉いさんが言うには変異して強毒性になったみたいで皆戦々恐々としてた」


「お偉いさん?」


「金婆さんの息子が死ぬ一月位前だっけかに国からのお達しかなんかで上方の大学病院から出向してきた疫学方面で有名な先生がいてな、その人から聞いたんだ」


「へー、東京から専門家が来るレベルにはやばい病気だったのか。それで金婆ちゃんはどうしたんですか?病院にでも入れたとか」


「騒ぎの翌日に御岳沢の森林で死んでた」


「え?自殺ですか」


「わからん。ちょうどその日に流行病が危険水準を超えたかなんだかで町の出入りを国が規制し出した上に緘口令が引かれてな。流行病もあるから即火葬で葬式も家族だけで行われた」


知っている人だけに驚きを隠せない

この災害ではダメだと思っていたがまさか災害前に亡くなっていたとは


俺が驚いていると道亮はこれも噂だがと前置きをして話し続ける


「金婆さんの遺体に噛みちぎられたような跡が何箇所もあって起き上がった息子にやられたんだと」


「死んだ後に山の動物に荒らされただけでしょう...」

冗談もいいとこだ

死んで起き上がった息子に殺されたとでも言うのか


「まぁ普通に考えりゃそうだな、俺も育った故郷が沈んだショックで冷静さを欠いてるのかもな」


道亮は肩を竦める

昔会った時はもっと厳つくて大きい人だったが

歳もあるだろうが哀愁感も相まってとても小さく見える


とりあえずおじの負担も考えてここいらで今日はお暇するか

「.....お話ありがとうございました、また落ちついたら食事でも行きましょう」


「...ああ、そうだな。大した持て成しもできずすまん、また落ちついたら訪ねてくれ」









道亮の仮住まいを出るともう雨が降り出した

さっさとホテルに帰り資料をまとめよう


「しかし...起き上がりか、噂話とはいえ少し調べてみる価値はあるかもな」


とりあえず明日にでも入院してる友人の妹でも訪ねてみるか


とりあえず導入はここまでです


次回より生存者達の話にうつります

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ