第15話「四つ葉のクローバーの意味」
「サト?サトーー!!」
俺はクローバー畑へ行く道で、好きな人の名前を叫びまくる。
「サトッッ」
「サトーーーッッ!!」
でも彼は返事をしてくれない。
サトは今どこにいるんだろう?
半日会っていないだけで、こんなにも切ない。半日愛しい人の名前を呼んでいないだけで、こんなにも苦しい。
サトは俺の中のとても大きな人物になっていた。
「サトーーー!!」
どこにいるの?サト……。
走っている足を止めて、いったん休憩した。休憩している場合じゃない。もしかしたら父さんと母さんが追いかけてくるかもしれない。
それでも俺は足を止めた。
………走るのがこんなに辛いとは思わなかった。
いつもここの道を通るときには、サトがいて一緒に手をつないで歩いたり走ったり……。
毎回この道を通るのが楽しいと思っていたけど、この道が辛いと思ったことなんて一度もなくて。
サトと一緒にいた時間がとても、とても至福な時間だったんだと今、気付かされた。
またサトと手をつないで、ここを歩きたい。
サト……。
「はぁ……はぁ…っやっと着いたぁ……」
目的地であるクローバー畑に着いた。周りを見渡してみると、やはりそこにはクローバーしかなくて……。
「見当違い?」
今の自分の言葉にすごいショックを受けた。
折角ここまで来たのに……。
ザワッザワッ
草が揺れた音だろうか?でも少し不自然な音がした。前までのパターンで行けば、サトがいるはずだ。
そんな期待がどこかにある。
音がするところに、恐る恐る近づいてみる。
「サト?」
優しく彼の名前を呼ぶと。
「うん?カズ?」
サトは泥だらけになってクローバーの中にいた。
「どうしたのサト!?泥だらけじゃん!!」
「えぇ?あぁ……本当だ……」
自分が泥だけの姿に気付いたいなかったみたいだ。そんなサトの姿に俺は呆れる。
「何ポカーンと呟いてるの。早く着替えないとっっ」
「う……ん……分かってるんだけど、俺探し物がある」
「探し物って?」
「クローバー」
「クローバー?クローバーならココに沢山あるじゃん」
クローバーなら俺達の周りに沢山あるのに……どうしてそんなこと言うんだろう?
首を傾げると、サトはそうじゃないと溜息をつく。
「クローバーと言っても三つ葉じゃなくて四つ葉のクローバー」
その言葉にも俺は首を傾げる。
「四つ葉のクローバー?だってサト、幸せになりたいわけじゃないって……」
前に言ってた。サトは「本当の自由が欲しい……」と。
今はその意味がよく分かったけど、俺はサトの願いを叶えられそうもない。
サトは片手に持っている本を開く。いつも片時も離さずに持っていたサトの本。
ページを数枚捲っただけで、目的のページを当てたらしい。
「見て」
クローバーの写真があって半分以上は字がズラーっと書いてある。字が書いてあるちょうど真ん中らへんをサトが指さす。
「四つ葉のクローバーの意味?」
「そう。四つ葉のクローバーは幸せになるって言う意味だけじゃない」
俺は、サトの本を貸してもらって読んでみた。
四つ葉のクローバーには一枚一枚の葉に意味があるらしい。
一枚はFame(名声)
一枚はWealth(富)
一枚はHealth(健康)
───そして、最後の一枚はFaithful Lover(満ち足りた愛)
「何か俺、四つ葉のクローバー欲しいかも」
サトの願いを叶えることはできないけど、小さな幸せがサトに訪れますように……。
四つ葉のクローバーを、サトにプレゼントしてあげたくなった。
「じゃあ、一緒に探そう?」
「う……んそうなんだけど…俺、昼飯持ってない……」
そうだった……。俺、あの祠からサトが会いたいために何も持たず、走ってきたんだった……。
困っていると、サトは大丈夫!!と笑った。サトは何やらカバンから出している。
「はいっ」
「あぁ!!」
サトのカバンの中には、10個もおにぎりが入っている。
なんでこんなに大量のおにぎりが入っているのかと訊くと、サトは恥ずかしそうに俺から視線を逸らす。
「なんとなくだけど、カズが来るような気がして……」
「サト……」
「カズ、これが以心伝心?」
───俺は、四つ葉のクローバーがなくても、とても幸せです……。
とうとう来てしまった5日目。
今日終わるかは……ちょっと絶望的ですが、時間がある限り投稿したいと思います。