プロローグ
この話はボーイズラブです。苦手な方はご注意ください。
ラブ要素は、ほとんどないのでご了承ください。
「わぁーーーーーすげぇっ。緑だらけだっっ」
俺は車の中から大きな声で叫んだ。
俺が住んでいた都会とは、全く違う風景。ビルも信号も、コンビニもない。それがとても新鮮だった。
そんな俺に母さんは一喝。
「和幸っ。あんまり大きな声出さない。田舎だから声が響くのよ」
「分かったよっ」
すごく気持ちがよかったのに駄目と言われて俺は少しガッカリ。
大型連休ゴールデンウィーク。
俺───北野和幸は、おばあちゃんの住んでいる田舎町に来た。お母さんの故郷の町でもある。
遠いから、家を真夜中に発車した。今はもう八時。もう5時間ぐらい車を走らせている。
───実は俺は此処に来たのが初めてで、少し楽しみにしていた。
小学六年生の俺の、最後の大きな休み。
夏休みがあると思うかもしれないけど、夏休みには中学受験の勉強を始めなければいけないため、遠いおばあちゃん家に行くことができない。
だから、ゴールデンウィークを使っておばあちゃん家に行くことになったのだ。
それだったら、俺が忙しくなる前におばあちゃん家に連れて行ってくれればよかったのに……。
「ほら、見えてきたわよ。あそこがおばあちゃんの家」
母さんが指を指す。
俺は母さんの指差した方を見た。そこには大きな家があった。
「おぉーーーでっけぇーー」
木造建築の家。
昔って感じな家。ここで5日間住むと思うとワクワクしてくる。男の子の冒険意識を高鳴らせた。
「やっほいーーーーーー!!」
両手をあげて叫んだ俺に、母さんはゲンコツをくれた。
「痛いよ母さん……」
───俺はこのゴールデンウィークに、とても大事な想い出をつくることになる……。