010.ハウル
ロードが完了し、ローグライフの世界にある体と同調するとまるで今まで宇宙船の中で寝ていたかのような錯覚に陥る。瞬きをすると、ニョキッと幼女が顔を出した。
「よ、よぅ……」
何とか絞り出した声は、少し震えてしまったか。
「もぅ! 突然気絶したかと思ったらそのまま眠っちゃうなんて、どれだけ心配させるつもり!?」
怒ってる!? いや、でも怒れる程元気がある、か?
「何よ、また無表情で考え込んで。悪かったわよ、いきなりあんな事しちゃって……でも、あぁしなきゃ死んじゃいそうだったんだもの。ねぇ、聞いてる?」
「あ、ああ。いや、俺も突然で驚いただけだ、もう気にしてないよ」
「そう、気にしてないのね。なら良いわ、色々聞きたい事もあるけど、大丈夫? 起きれる?」
どうやら俺の事を気にしてくれているらしい。
水も食料も無い極限の状況にも関わらず、どこから沸いたのかもわからない俺に気をつかうなんて、思いのほか優しい子なのかもしれないな。
「俺は大丈夫だ。それより、お前こそ大丈夫か? お腹、空いてないか?」
「ふんっ、子供が余計な心配しなくて結構よ」
「子供って、お前よりかは十分に年上だと思うぞ?」
「口が悪いわね、あなた。これでも二十歳よ、それに比べ貴方はアノ反応からも十代でしょう? 少し老け顔だけど、その姿見で二十歳超えてるとか言ったら私の人生の中でトップ5に入るビックニュースだわ」
おおぅ、アバターの見た目で年齢を判断されているのか。老け顔って言われたのはいただけないが、事実三十代の顔はこんなもんなんだよ。なぁ?
「それじゃ、まずは自己紹介からしましょう? ふふ、初めて練習してきた成果を見せる時が来たわ」
仁王立ちになると、未だパジャマ姿のまま合法幼女さんが名乗りを上げた。