嫌な夢の続き。
原作の人の読み方は ひかず まい です。彼女もきっともう少しで、なろう界に殴りこんでくるはずなのでお待ちを...
命にかけてちゃんと終わらせますのでだから...まっ...て...て...
火があった。いや、燃えていると言った方がいいのだろう。誰かの悲鳴。嘲笑う声。そして、次の瞬間にあるのは断末魔。自分が死ぬ原因になった者を憎むような声。そして、血を流しながら自分を抱く誰かの顔。その人は涙を流しながらー
「またこれかよ...」
いつもの悪夢。たまに見る夢だが今でもなんなのか分からない。多分5歳の時より前の事だろうが、記憶がない俺にはさっぱり。
この夢を見てる時はいっつも寝坊するんだけど...今日は初めて普通に起きれたな。良いことがあんのかもしれない。
俺は知らなかった。この夢の内容の事を思い出さないのがどれだけ幸せだったのか。
俺が住んでるのはアルノ村。人口100人程度の村だけど非常に活気があってとても住みやすくたまに誰かが移住してくるぐらい。少し前にも二人の夫婦が引っ越しを希望して、すっかり今は顔見知りでもある。それにここの人達は優しく、あんまり何かを拒否したりする事は少ない。...まぁ、ないわけじゃないんだけど。
「おーい。ジークー!」
「あ、姉さん。」
この人はルメラ。俺の姉さん、といっても血が繋がってる訳じゃない。俺の事を育ててくれた、おじさん、おばさんの娘。綺麗で結婚しようといろんな人からプロポーズを受けてるらしいけど、全部断っているらしい。謎だ。
「どうしたの、いきなり?」
「アルおじさんがね、今すぐじゃなくていいから、ここ2、3日の間にメイヤ山に行って欲しいって。」
「またか...」
姉さんは基本的に善人なので、誰かの頼みは断らない。けどそのせいで一人じゃできない程に仕事を溜め込む。それを見かねた俺が手伝っている。
「姉さん、俺はいいけどさ...あんまり無理はしないでよ。みんな姉さんの事頼りにはしてるけど、同時に心配だってしてるんだから。」
そしたら姉さんはちょっと困った顔をして、
「わ、分かってるわよ...でも、みんなが喜ぶ顔を見るのは嬉しいし...駄目?」
姉さんは俺よりだいぶ背が低いので話す時も見下ろす形になってしまう。なのでこういう困った時はキラキラ目を輝かせて俺を見る。それに俺が耐えられるはずもなく...
「わ、分かったよ。」
了承してしまう。姉さんの魔性の瞳に勝つことはとても難しい。
「いや!助けて!誰か、誰か!」
悲鳴。
それに俺と姉さんは目を見合わせて...
走る。
そして目に入ったのは、女性の髪を掴んで、自分の顔まで持ち上げている...兵士のような格好をした男。いやらしい笑みを浮かべ、女性の顔を見ている。
もちろん姉さんと俺がそんなのを許す訳もない。俺はまだこちらに気づいてもない男に突貫。そして頭突き。頭にクリーンヒットしたのか目を回している。
「あっけないわね。帝国の刺格にしては。」
姉さんの言う通り、最近ここにはこういう奴らがやって来ることがしばしばある。まぁ、こういう奴らは村のみんなが容赦なく撃退するし、強い奴は来ないのが幸いだけど。でも...
「帝国か...」
俺達の住むここ、アルノ村はバルノ王国の領土の端っこ。この村を越えるとすぐ帝国領。なので度々、帝国の奴らが来る。けどそんなのを黙って見ている訳にはいかないので、俺達には武器の訓練があったりする。まぁ、それがなくても畑を耕したり、色んな所へ行ったりするので、体力は嫌でもつく。
言っちゃえば、下手な兵士より断然強い。姉さんも。俺も。村のみんなも。
「どうする?こういう奴らに限って扱いが困るのよね...」
姉さんが気を失ってしまった女性を介抱しながら言う。それに俺も頷く。
殺す訳にもいかないし、王国に送ろうとしても、馬は村にはないので、定期的に来てくれる商人達に引き渡すしかない。
なので、牢屋にいれることにし、商人達が来る予定の4日後につれていってもらう事に決定し、俺は男を引きずって行く。
いっそ一気に来ればいいのにな。弱い奴一人で来ないで。
神は死んだ。