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台風の日

作者: 羽飛ゆりん
掲載日:2015/08/27

 台風の日はなぜか、気持ちが高ぶってしまう。特に子供や動物のみんなは、みんなそわそわしてるんじゃないかな。でも、それは君たちだけじゃない。草も木も、街灯も、信号機も、家も、バス停も、みんな一緒なんだ。

 あるところに、二人のバス停がいました。二人のバス停は近くにいるのに、ずっと話したことがありません。片方のバス停は、二本の足でしっかりと立っています。もう片方は小さくて、石のステージの上に一本足で立っています。

 この日は、朝から風が強く吹いていました。夏の暑い時期によく来る「台風」というものみたいです。台風が近づいてくる日は、バスも全然来なくなってしまう事があります。毎日毎日、バスの見送りをしているバス停としては、非日常的というか、不思議な感じがするのです。


 小さいほうのバス停がつぶやきました

「このままだと誰も見送ることができないわ」

 大きいほうのバス停の方をちらっと見ましたが、無言で立っています。

 実は、小さいバス停はさみしがり屋なのです。なので、毎日毎日、まったく言葉を発さない彼に対して、話し相手になってほしいと思いつつも、絶望していました。だからこそ、毎日のバスの送り迎えを大切に感じていたのです。


 風が強くなってきました。いつもならばバスがやってくる時間ですが、今日は来ていません。

「あの、今日は運休ですかね」

 小さなバス停は上目遣いで話しかけます。

「……」

やはり反応はありません。ため息をつきたくなってきます。


雨も降ってきました。風の強さにも磨きがかかってきます。風さん、これ以上頑張らなくってもいいよ。。

雨が板に打ち付けて、だんだんと痛いくらいになってきます。


「だれもこない。さみしい。さみしい」

小さいバス停は、悲しくなってきます。自分だけが取り残されたように感じるのです。たまにバス停の前を歩いていく人はいるのですが、立ち止まる人は一人もいないのです。


「ひとり、ふたり。さんにん。

 いつもなら、みんなでわいわい

 今日は、だれもいないの。

いっそ、歩行者のいるところに倒れて

あわよくば、怪我でもさせちゃえば、

動けなくなる。バス停といっしょだ。その人は動けなくなる。

そしたら、救急車、警察、野次馬ども。。。にぎやかになるグヘヘ」


 そのとき、ひと際強い風が、小さなバス停の背中を押しました。


地面が、だんだんと、近づいて、きま、す。。。


「だいじょうぶか」

小さいバス停は、大きなバス停に寄りかかるかたちで、地面に頭を打ち付けるのを回避しました。

「シャァベッタァァァァァァァ!!!」


それからしばらく、夜に人間の手で元に戻されるまで、二人は抱き合ったままでいたのでした。

小さいバス停は、バスの見送りがないときも、さみしさを感じることが減ったみたいです。彼は、ほとんどしゃべったりしないのだけどね。



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