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最終日 独りの世界
どれだけ時間が過ぎたのだろうか。
全ての光を消し、全ての音が消えたその世界で、彼はただそこにいた。
なにも見えない。
なにも聞こえない。
それでも、彼女の姿が目の前をちらつき、彼女の声が耳の奥で囁く。
なぜ、殺してしまったんだ。
なぜ。
なぜ。
僕はただ、自由になりたかっただけなんだ。
一人の世界に戻りたかっただけなんだ。
なぜ、彼女は現れたのだ。
なぜ、この世界に来てしまったのだ。
なにもわからない。
全ては、夢でしかないのではないか?
闇と沈黙。
もはや彼は何もかもの感覚を失っていた。
時間はどれだけ流れたのだろうか。
誰かが、彼女の死体を見つけたのだろうか。
もはやそれさえも、どうでもよくなっていた。
ここは、たぶん天国だ。
そうでなければ、地獄だ。
もはや自分が死んでいるのか生きているのか、そんなことさえ無意味だ。
彼はただ、全てを忘れて闇の中にいた。




