序章<哀れなトカゲと、死と、始まりの非日常>
一部、オカルト的要素、残酷な描写などがありますので、R15にしました。
ご注意ください。
「なんで、……なんでメールが来ないの!?」
少女は携帯をしまうと、少し小さめに、怒りを声にした。
…くそ。落ち着け。
きっと何か理由があるはず。
「海辺 雫だな?」
「 はい?」
突然名前を呼ばれて振り返る
誰?この人?
それは見知らぬ男であった
知り合いにこんな人いたっけか?
………なんだろう。とても嫌な感じがする。
気にしすぎかなぁ。……気にしすぎだよね。
「あのぉー、なぜ私の名前を?…………………ひっ!?」
………
……
…
「そろそろ行くかな…」
今日は行きつけの店<野田屋>に行く予定があったのだ。そろそろ行こうかな。
…と、まずは自己紹介からかな。僕の名前は『神楽 千尋』、15歳、
高校1年生、特徴としては、耳がいいって、よく言われるよ。趣味はネットしたり、<野田屋>に行ったり…
ん?野田屋って何か? って?まぁ、簡単に言うと個人経営の雑貨屋さんみたいな感じだよ。この野田って人、どこで知ったんだよそれ…みたいなすごい情報をたくさん教えてくれる、ミステリアスな人だ。
野田さんが教えてくれる情報の中には、オカルト的な話も結構ある。
…でも、かなりリアルなんだよなぁ。なんか実際に体験してるんじゃないかって、思えるくらいだ。
……さて、今は夏休み、なら部活しろよ!とか、言われそうだけど、あいにく部活に入ってないから、こうしてこんな昼過ぎの時間から出かけている。
それにしても暑い…もう夏真っ只中、ほんと嫌になる。
「暑ぃ……、ん?」
今なんか聞こえた気が…
「気のせいか?」
そう思い、再び歩き始めようとした時、
「……!!!!」
い、今、なんか悲鳴が!
「な、何だ、今の!?」
断末魔の叫び……ふとそんな単語が僕の頭の中に浮かんだ。結構遠くから聞こえたけど、それでも思わずたちどっ待ってしまうような叫び声。
聞こえてしまった。人より耳がいいから。
もしこの時、聞こえてなかったら……あんな非日常の日々を送ることにはならなかったのだろうか?
どっちにしろああなってたかもしれない。
………僕はこの後、一生忘れることのできない光景を目にすることになる。
「ハァ……ハァ……」
…心臓が早鐘を打つ、
ーやばい。
ー逃げろ。
ー離れろ。
だけど僕の足は悲鳴が聞こえたほうへ進んでいた。
「………」
まるで何かに導かれるようにして
「………く…ぁ」
足が震える。のどが渇く。
たどり着いた。あの悲鳴が聞こえた場所、そこで見えたのは、
ーーー赤。
そこには赤が広がっていた。
血だ。
異常だ。
……でもそれ以上に異常なものが視界に入ったせいで、僕の思考はうまくはたらなかった。
それは元凶。僕が非日常に飛び込むきっかけとなってしまった事件。
「………………」
血だまりの、中央。
そこに倒れていた。
「ぇ?………………」
中央に倒れてたのは、子供の頃よく遊んでいた。
「ぁ………あぁ!………」
ーーー幼馴染の『海辺 雫』だった
「う、うわああああぁぁぁぁぁぁあああ!!!!!」
ーーーーーオカルト相談室ーーーーー
「あのー、すみません、先ほど電話した咲月です。」
「どうぞ……おかけ下さい。」
「…それで、あのー、猫の話なんですけど………」
序章<哀れなトカゲと、死と、始まりの非日常>(了)