13 巻き込まれ
「ーーで、生徒会に入ったと?」
「そう。」
「お前って.....本当になにがしたいの?」
神代の家の前にある公園。昼間は子供達の笑い声が響いているが、夜になるとまた一味違う一面が現れる。そこで、神代とドーズはブランコに腰を掛けながら話し合っていた。
「けど.....圧倒的にめんどくさくなると思う...。あの会長はとにかく手強いよ。」
神代は豹洲崎の誘いを受け、生徒会に加入した。誘ってきた豹洲崎が1番驚いていたのが謎だったが、加入条件が強ければいいという謎の理由だったので加入することができた。
「へぇー.....まぁ、僕はそいつをみてないから知らないけど....。なんで豹.....洲崎?...にこだわるの?もしかしたら嘘で移動系統の能力の可能性もあるでしょ。」
「うーん.....俺自身も感覚というか....直感で言ってるから確証は無いけど...なんかあの人には裏がある気がするんだ。」
学校での豹洲崎の笑顔が脳裏によぎる。あの乾いたような笑顔.....何かがあると神代の本能が告げているのだ。気になる芽は気になった時に摘み取らないと後々大変なことになる。
だからーー
「内部調査をしようと思うんだ。」
「.....。」
神代が生徒会に入った理由は内部調査ーー豹洲崎を内側から監視するためだった。
「けどよぉー.....どうすんのさ?それがスカだった場合よ。お前、大損なんじゃ無いか?」
「いや、それでもいいよ。生徒会には元々入りたかったし。」
「.....ふーん?」
夜風が流れて髪を揺らして、肌をくすぐる。するとドーズがブランコを漕ぎ始め、継ぎ目から錆びた鉄の音が鳴りはじめる。ギィ!と不気味な音が余計不気味な雰囲気を煽っていく。そんな中、ドーズは神代に語りかける。
「なぁ、お前って錠剤を全部集めるんだったよな?」
「あぁ、そうだけど......」
「じゃあ、これやるよ。」
ドーズはそう言うと、ブランコのポール横にある黒のアタッシュケースを持ってくると、目の前でゆっくりと開いた。
「はっ.....?」
「なんだ?....そんなに驚くことか?」
月明かりが静かに中身を照らし続ける。黒く光沢を放つそれは映画やアニメでしか見たことがなく、ましてや一生縁もないものだと思っていた。
その中身はーー。
「ご待望の銃だぜ。.....まぁ、薬剤殺争で相手とかをぶち殺すのに使えば?」
「なっ.....何言ってんだよっ!?」
神代の叫び声が公園を中心に住宅街へと響き渡る。
月明かりがアタッシュケース内に入っている物を照らし、その黒いボディに光が反射してピカピカと輝いている。
中に入っているのは銃だった。
それはよくモデルガンにも使われるハンドガンタイプで、神代が恐る恐る手に取ると謎に手に馴染む。それが気持ちが悪くて、数秒もしたら我慢できずにケース内に戻していた。
「な.....なんでこんなもの...どうやって使うかも分からないのに...。」
「いや、それはネットで調べろ。」
「そ、それは分かった。......けど、ここまでしなくちゃダメなのか?」
神代はドーズのフードを覗き込むように見つめる。神城自身、今日は大暴れして感覚が狂っているはずだが、それでもこの代物はまずいと理解できた。銃は剣やナイフと違って簡単に人を殺すことができる。引き金を引くだけで軽く命を奪うことができるというのは、神代自身でも抵抗があった。
「.....お前はまだ薬剤殺争を分かってない。.....お前は対戦相手がいなかっただろ?」
その言葉に神代は口籠もってしまう。確かにドーズの話は理解できるし、なんなら筋もしっかりと通っている。なぜなら、神代が東京駅の薬剤殺争に挑戦した時は、錠剤を奪い合う対戦相手.......参加者がいなかったから。だから神代は薬剤殺争の真髄を知らないのだ。
「薬剤殺争では、参加者がその空間にただ一つだけ存在する錠剤を奪い合うゲーム。騙す、殴る、裏切る....全てが許可されている空間だ。....もちろん殺すのも...。」
「......。」
「そんな空間に丸腰で挑むのか...?逆にそんな馬鹿いるか?....いるはずないだろ。」
そこまで言うと、ドーズは神代の胸にアタッシュケースを押し当てる。それは委ねるような優しさを神代に与えていた。
「っ.....!...わ、分かった。一様持っておくよ...。」
「うん、それがいい。」
神代がしぶしぶ了解するが、心の中ではやはり前向きではない何かがある。それを感じつつもドーズは神代にアタッシュケースを託す。
夜風が凪いで、葉の音も虫の音も鳴らなくなった公園。それらが醸し出しているのは不気味さや緊張。これから何もするはずがないのに、神代は体の節々が固くなっているのを感じ取る。
「あっ、そういえば...。」
何かに気づいたようにドーズが声を上げる。
「お前さぁ......ちょーめんどくさい事に巻き込まれちまったな。」
「?」
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「いやぁ、全員集合は久しぶりだねぇ。」
「はい.....確か、ちょうど2年前でしたよね?」
暗く細長い通路に男と女の声が響く。周りの壁は白いコンクリートに覆われていて、冷たく不気味な感じを含んでいる。
「あぁ、そうそう!あの時はみんなに僕からお土産をあげたんだよね。....みんな食べてくれてるかな?」
生徒会長ーーもとい豹洲崎は副会長である丹波と共にある場所へと向かっていた。ゆっくりかつ、着実に一歩ずつ歩み続けるその姿は会長と呼ばれるに値している様子。丹波はそれに寄り添うように斜め後ろにぴったりとついている。
「あっ、ようやく扉見えたね。」
「そうですね。本当にここに辿り着くまでにどれぐらいかかっているのだか....。」
「まぁまぁ、雲雀にとってはいい運動じゃない?」
「なんか......会長ってずっと私のこと下に見てません?」
「当たり前でしょ?」
「.......えっ、当たり前!?」
丹波の行動や言動に豹洲崎が苦笑し終えると、扉に両手をかける。蝶番が錆びているのか、不気味な音を立てながらゆっくり開く扉。リラックスしている豹洲崎と、それに反して緊張な面持ちの丹羽を向かいいれたのはーー。
「おせぇぞ、ナンバーワン。女遊びでもしてたか?」
「ごめんね、でも女の子で遊んだ覚えはないんだ。」
そこには巨大な会議室のような空間に、大きな楕円形の卓に居座る8人の姿があった。彼らはそれぞれが個性的な格好をしており、中世のガンマンや、魔法少女、マジシャンなど常人が見たら困惑しそうな状況だった。
ところが、豹洲崎は辺りを見回すとなにもないかのように『1位』と書かれた札の前の席に着席をする。そして、丹波と顔を合わせると静かに威厳のある声で呟いた。
「ただいまより、日本能力会合を執り行う...。」
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