第一章 森での目覚め7
昼ごはんの最中、アリスがお椀を手に取りながら首をかしげた。
「ねぇルビー、依頼……大丈夫なの?」
その一言で──
「……あっ」
「……やばい」
ルビーとサンが同時に固まった。
次の瞬間、二人は椅子を蹴る勢いで立ち上がり、慌てて荷物をまとめ始める。
「調査依頼の最中だったんだわ!」
「急がないと報告期限に間に合わない……!」
アリスはというと、マイペースにご飯をもぐもぐ食べていた。
「アリス、早く支度しろ!」
サンがアリスのお椀をひょいっと奪う。
「えっ……ひどい……」
アリスは悲しそうにしながらも、しぶしぶ立ち上がった。
二人がバタバタと準備を進める中、ルビーはルミナの前に戻ってきた。
「ルミナ、街はこの方向よ。道なりに行けば着くわ」
そう言って、ルビーはルミナの手を取り、小さな袋を握らせた。
中には金貨が数枚入っている。
「こ、こんなの受け取れません……!」
ルミナが慌てて返そうとすると、ルビーは首を振った。
「じゃあ──落ち着いたら返しに来なさい。それでいいでしょ?」
その言葉に、ルミナの胸が熱くなる。
「……ありがとう……ございます……!」
涙がぽろぽろとこぼれ、地面に落ちた。
ルビーは苦笑しながら肩に手を置いた。
「ほんと、泣き虫ね」
そして、ふっと表情を引き締める。
「本当はね……私も付いていきたいのよ」
その声は、どこか後ろめたさを含んでいた。
「辛いことがあっても負けないで。
何があろうと──私たちはルミナの味方だから」
その言葉は、未来を知っているかのように深く響いた。
「ルビー、行くぞ!」
サンの声が森に響く。
アリスは手を振りながら叫んだ。
「ルミナ、またねー!」
ルビーは最後にもう一度ルミナの手を握りしめた。
「じゃあ、またね」
三人は森の奥へと駆けていく。
その背中が見えなくなるまで、ルミナは涙を拭いながら見送った。
そして──
ルミナは街の方向へ、一歩を踏み出した。
その足取りは震えていたけれど、
確かに“前へ進む力”を宿していた




