第四章:世界の輪郭と、契約者の力
契約の儀が終わった後、リリスは透を連れて、城の高台にある塔へと案内した。そこからは、灰色の空と、遠くに広がる焦土の大地が一望できた。
「まずは、この世界の現状を説明するわ」
リリスは静かに語り始めた。
■ 世界の現状
聖教連盟
神々の教義を信奉する人間たちの連合国家。現在、世界の大半を支配しており、魔族を「異端」として狩り続けている。彼らは“神の炎”と呼ばれる最終兵器を復活させようとしている。
そのためには大量の魔族の魂が必要。
魔族の残党
かつて七つの王国を築いていた魔族たちの生き残り。現在は城周辺の城下町に住み、リリスを中心に再起を図っているが、戦力は圧倒的に劣っている。
神々
数百年前、神々は突如としてこの世界から姿を消した。以来、世界は滅びに向かっている。
「そして、あなた――契約者は、この崩壊の運命に抗う“唯一の希望”なの」
「あなたに与えた契約の力はこんなところ」
■ 神谷 透の能力
魔王の権能
リリスの力を共有し、魔法が使用可能。
魔力物質化
自身の魔力を物質化し、剣・銃・盾・鎧など、望む武具や道具を創造できる。創造物は透の精神状態に応じて性能が変化する。
「あなたの力は、私たち魔族にとって“希望”そのもの。でも、それ以上に――あなた自身の意志が、この世界を変える鍵になる」
リリスはそう言って、透の頬にそっと触れた。
「だけど、どうか……自分の力を恐れないで。私も、あなたのことを全力で支えるから」