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最終話 それぞれの道へ

 国を揺るがす夏紀の暴走から一年が経った。

 あれから、ルナネリスは少しずつ新しい在り方を模索している。

 女神信仰はそのままに、本格的に聖女の力に頼らない国を造っていくつもりらしい。

 こちらの世界に一年半以上もいると、さすがに情も湧いてくる。美しいルナネリス王国が滅んでほしいわけではないので、なんとか頑張ってほしいと思っている。


 そして今朝、道春はいつもより早く目を覚ました。

 素早く身支度を整えて庭に出ると、雲ひとつない晴天がひろがっていた。旅の門出にふさわしい朝だ。


 庭の薬草に水をやり室内に戻ると、ダイニングの椅子に座って背中を丸めるユリスが目に入った。清々しい空気を打ち消すように、ひどく落ち込んでいる。

 苦笑して向かいの椅子に腰を下ろす。

「そんなに落ち込むなよ。別に気にすることないって」

 軽い調子で励ます道春をちらりと見たユリスだったが、すぐに目を伏せ、しょんぼりと肩を落とした。

「しかし……、こんな情けない結果になってしまって、俺は聖女に合わせる顔がない」

 ここ数日、ユリスは帰還魔法の研究に没頭していた。ユリスの性格上、気が済むまでやらせたほうがいいだろうと、食事だけは取らせるようにして無理に声を掛けずにいた。けれど、久しぶりに目の下に隈が浮かんでいるのを見て、休ませればよかったかと少し悔やむ。

「姉ちゃんはしばらく旅するって言ってるんだし、そんなに急ぐ必要ないよ」

「だが、『はじまりの聖女』とも約束したのに……。ミチハルの信頼も裏切ってしまった」

「だから俺は裏切られたと思ってないってば!」

 いくら言ってもユリスは自分を責めるのをやめない。律儀というか、頑固というか。道春は頭をかきながら肩を竦めた。

「だいたい、こんなに聖女の役目が早く終わるなんて誰も予想できないじゃん」


 暴走から一年。たった一年の間に、夏紀はルナネリスの結界を完璧に張り終えた。

 なんでも、あの日以来、夏紀の中の聖女としての力が爆発的に増えたらしい。

「私、今ならなんでもできそうな気がする」

 道春の前で突然そう宣言した姉は、周囲を急かし、予定を巻きに巻き、巡礼をこなしながら祈りの時間を増やした。そうすることで、聖女の役目終了を示す「祈りの間」の聖石が、あっという間に満たされてしまったのだ。

 サクラと一時的に同化したことが、力の増量に繋がったのではないかと言われている。

「サクラが私の中を気に入ったみたい。女神に見つかりにくいんだって」

 目を覚まし、サクラが表に出てきたことに驚いていた夏紀だったが、以前よりもうまく付き合えるようになったと喜んでいた。なんでも、どれだけ祈っても全く疲れないのだとか。


 これに焦ったのはユリスだ。

 夏紀の任務は長くてもあと十年かかる予定だった。それでもユリスは夏紀が早く役目を終わらせることを見越し、五年後の完成を目指して帰還魔法を研究していたのだ。

 ――が、夏紀のパワーアップにより、あれよあれよという間に結界は張られてしまった。

 つい一週間前、聖女の任務完了の儀式が大神殿の湖で行われたばかりだ。

 夏紀が自由になったタイミングで帰還魔法を完成させられなかったことを、ユリスはひどく気に病んでいた。

 そんなに責任を感じる必要ないのになと思っていると、来客を告げるベルが鳴った。

 道春がいそいそと扉を開けると、見慣れた二人が立っていた。


「おはよー」

 爽やかな挨拶をする夏紀の背後で、カインが頭を下げる。

 夏紀はゆったりとした白いシャツに黒のズボンという軽装に、薄手のマントを羽織っている。頑丈そうな革のブーツを履いて、小さなリュックを背負った夏紀からは、聖女の面影はない。

 隣に立つカインも似たような軽装ではあるが、腰には剣を下げていた。

「カインさんが付いていくことになったんだ」

 安心した道春に、夏紀は歯切れ悪く答えた。

「まあね。断ったんだけど、どうしてもって言うから」

「旅の途中、なにが起こるか分かりませんから」

 夏紀は少し不満そうにしているが、心底嫌がっているようではない。やはり、ある程度カインのことは信頼しているみたいだ。

 カインは道春のアドバイス通り、泣いて縋ったのだろうか。

(あんまり考えないようにしとこ)

 二人の関係は、二人にしか分からない。

「安心したよ。いくら聖女の力があるからって、知らない世界を一人で旅するって怖すぎると思ってたからさ」

 夏紀が最後まで意地を張らなかったことに、道春はほっと息を吐いた。


 聖女の役目を終えた夏紀が望んだのは「自由」だった。

 王宮にも神殿にも縛られず、この世界を旅したいという夏紀の希望を、国は飲んだ。飲まざるを得なかったのだろう。聖女の役目は終えたといっても、サクラの力は夏紀の中に残ったままだ。いざとなれば全てを蹴散らせる夏紀に、旅の危険を説いたところで効果がない。

「みっちゃんと一緒に暮らすのもありだと思ったんだけど、その前に冒険がしたいと思って」

 ユリスの家に部屋を一つ増やしてもらおうと提案する道春に、晴れやかな顔で夏紀は言った。

 ずっと引きこもっていた反動がきているのだという。いずれ日本に帰るのだから、その前に異世界を堪能したいと言われれば止められない。そもそも止めたところで言うことを聞く夏紀ではない。

 道春も一緒に旅に出るかと誘われたけれど、ユリスを置いていくわけにはいかないからと断った。ユリスが研究をしている間、その環境をサポートするのは道春の役目だ。

 夏紀も一応声をかけただけらしく、期待はしていなかったようだ。


「なんでユリスはそんなにへこんでるの?」

 旅立ち前に興奮を隠しきれてない夏紀が、道春の隣で肩を落とすユリスを見て、不思議そうに首を傾げる。

「帰還魔法が間に合わなかったって気にしてんの! 姉ちゃんがさっさと仕事を終わらせちゃうから」

「…………申し訳ありません」

 蚊の鳴くような声で謝るユリスに、夏紀は笑った。からりとした笑い方だった。

「謝らないでよ。私もこんなに早く自由になれるとは思ってなかったから、心の準備ができてないの。帰還魔法はそのうちユリスが完成させてくれるはずだから、それまではのんびりしてる」

 上機嫌の夏紀は、憑き物が落ちたようにすっきりしている。

「実は私、冒険って夢だったんだよね。それに、せっかくお金貯めてたんだし、全部使い切ってから帰らないとやってらんないでしょ」

「確かに。豪遊しちゃいなよ」

「そうするつもり。二人にもお土産たくさん買うからね」


 二人で盛り上がっていたら、ユリスがおそるおそる「これを……」と言って小さな赤い石のネックレスを差し出した。

「あれ? これみっちゃんが付けてるやつ?」

 夏紀が、道春の胸元に下がる青い石を見ながら訊ねる。

「役割は同じようなものです。守護魔法がかかっているので、何かあったときに身を守れます」

 お礼を言って受け取る夏紀にユリスがぼそぼそと続ける。

「ミチハルの石と繋がっているので、帰還魔法が完成次第、それに連絡を入れます。そのうち、物質を送れるような魔法を付与して、手紙のやりとりができるようにしようかと……」

 ユリスの説明を聞いていた夏紀やカインの表情が、徐々に驚きに染まっていく。

 道春はそれを満足げに観察していた。

「……天才?」

「ユリスは天才なんだよ!」

 ぽろりとこぼれた姉の言葉を拾い上げ、ここぞとばかりに胸を張る道春に、夏紀が呆れた顔をした。

「なんでみっちゃんが自慢するの。ユリスを褒めたんだけど」

「だってユリスはすぐ謙遜するからさ。俺が代わりにアピールしないと」

 恥ずかしげに俯くユリスの肩を叩く。

「こういうのって売れそうじゃない? 今は商品を店に卸してるだけだけど、ユリスが帰還魔法完成させたら、二人で魔道具屋やろうかな」

「勝手に話を進めないの。ちゃんと話し合いなさいよ。ユリス、嫌なときは嫌って言うのよ」

 夏紀が言うと、ユリスは困ったように目を逸らした。


「そろそろ行くわ。じゃあね!」

 そう言って手を振る夏紀と、従うカインの背中を見送る。

 ふいに、昔の記憶が蘇った。

 十歳の夏。道春の前で、夏紀は突然消えた。あのときの道春は、ぽかりと空いた空間を、ただ見つめることしかできなかった。

 母代わりをするのに疲れて家出したのでは、という周囲の心無い言葉を、一瞬でも信じた。

 いま、笑顔で手を振る姉の後ろ姿が、小さくなっていく。


 なんとなく、その場から動けないでいると、ユリスがぽつりと呟いた。

「……本当に一緒に行かなくて良かったのか」

 声音にかすかな緊張を感じ取り、思わず振り返る。

 夏紀からの旅の誘いを断ったことは、すぐにユリスに報告した。そのときには「そうか」としか言わなかったのに。姉が旅に出た直後に聞くことだろうか。

「うん。俺はここに残るよ」

「いいのか」

 なにを言ってるんだと怪訝に思ったが、ユリスの目が不安に揺れているのを見て、改めて向き直る。

 最近は根を詰めていたものの、道春の尽力あって目の下の薄い隈を除けば、端正な面立ちは保たれている。この顔は、道春がいなくなれば、すぐにやつれてしまう。

「もちろん。ユリスと離れるのは嫌だし」

 ユリスには帰還魔法の研究のほか、聖女がいなくなったあとに必要な国防に関する仕事の依頼も来ている。旅をするような時間はない。

 ユリスが一緒に行けないのなら道春も行かない。それだけのことだ。


「なんだよ、そんなこと心配してたの?」

「してた」

 からかうように言うと、ユリスは即答し、大真面目に頷いた。

 あまりにもはっきりと言われて驚く道春に、ユリスが気まずそうに答えた。

「ずっと心配していたが、『じゃあやっぱり旅に行く』と言われるのが怖くて、今まで言えなかった」

 罪悪感が滲む声音に、心が小さな音を立てる。

「……だから、姉ちゃんが出発したあとで、そんなこと聞くわけ?」

「そうだ」

 随分と弱気だ。道春がずっと夏紀を見ていたから、不安が増したのかもしれない。

「待って姉ちゃん!って、俺が追いかけたらどうしたんだよ」

 全くそんな気はないけれど、いたずら心が湧いてつい聞いてしまう。

 ユリスは少し考える仕草をしたあと、眉を下げ、言いにくそうに口を開いた。

「……悲しい」

 飾り気のない素直な言葉に、道春は降参した。

 これ以上、意地悪なことは言えない。

 

「行かないよ」

 無意識に優しい声が出た。

 道春の人生で、ユリスほど放っておけないと思わせる相手はいなかった。ユリスは、道春と離れたくないと言うけれど、本当に離れられないのはきっと自分の方だ。

 そう思ってしまうところまで、道春が望んで踏み込んだ。

「姉ちゃんとは、永遠の別れじゃないし」

 生きていてまた会える、という確約があるのは心強い。

 もちろん、道春も夏紀も人間なので、この先、なにがあるかは分からない。それでも、なにも分からなかったころよりも、未来は明るい。

「それに、帰還魔法の完成を伸ばしちゃった責任は俺にもあるからなー」

 湿っぽくなった空気を変えるように、声の調子を戻した。

「ルナネリスと日本を行き来できるようにするって、やっぱ難易度高かったんだろ?」

 腕を上げて背筋を伸ばしながら、道春はユリスとの約束を思い出す。


 一年前、ユリスにしたお願いは二つあった。

 

 一つ目は、ルナネリス王国と日本を好きに行き来できるようにすること。

 帰還魔法が完成しても、ユリスを置いて日本に帰ることはできない。

 ユリスがサクラに「道春と離れてもいいのか」と聞かれたとき、ユリスは「かまいません」と答えていたが、道春は心の底から、それは無理だと思った。「かまわない」と言ったユリスに、内心で腹を立ててもいた。


 とりあえず、夏紀だけでも先に日本へ帰ってもらおうと提案したのだが、夏紀は首を横に振って「私も行き来できるようにしてほしい」と言った。

「時間の流れが違うのが気がかりなのよね。もう三十歳近くになっているはずの私が、若い姿のままでちゃんと生きていけるのかも気になるし。なにかあったときのために、逃げ場は必要だと思う」

 その現実的な指摘に道春は返す言葉もなかった。

 ユリスの実験で、一度夏紀の魂を飛ばすことに成功している。懐かしい土地を見られたことは姉の心を大きく慰めたようだが、同時に冷静さも生まれたらしい。夏紀が離れていた数年の間に、日本も大きく変わっている。


「魂の行き来はできている。あとは肉体だけだ」

 時期が間に合わずしょぼくれていたユリスだったが、帰還魔法の完成に関しては自信があるらしく、力強く言い切る。

「でも、ユリスが日本に行けるようになるのは、もっと難しいっぽいし」

「それはそうだが……」

 道春の指摘に、ユリスが少し口ごもる。


 二つ目は、ユリスも日本に行けるようにすること。

 たとえ本当にルナネリス王国と日本の行き来が可能になったとしても、それぞれ別の次元に存在する国だ。途中でなにが起こるか分からない。

 道春が日本に帰省中に時空がゆがんだりしてユリスと会えなくなってしまったら目も当てられない。日本に帰るなら、ユリスと一緒でなければならなかった。

 無理難題だとは分かっている。けれどあの日、ユリスは道春の願いを二つ返事で受け入れた。


「俺にニホンとの適性がどれだけあるか分からないからな……。だが、なんとかする」

 頼もしいユリスの発言に、胸がすっと軽くなる。ユリスなら、本当になんとかしてくれるだろう。

 二人でダイニングに向かいながら、これからの展望を語った。


「俺さ、別に地元にめちゃくちゃ未練があるわけじゃないんだけど、よく行ってた公園とか道とか、通ってた学校とか、そういうのをユリスに見せたいなと思うんだよね」

 想像すると心が躍る。

 初めてルナネリスの市街地に足を踏み入れたとき、道春は海外に来たみたいだと感動した。ユリスの目に、道春の住んでた街はどう映るだろうか。

 綺麗な風景を見たいし、おいしいものを食べたい。電車に乗って旅行をしたり、キャンプとか登山とか、今まで興味のなかったアウトドアなことにも挑戦したい。ユリスと一緒に。

「ユリスだったら、髪も黒いし、服装さえ誤魔化せば全然馴染むと思う。顔は引くほど綺麗だけど、いつもみたいに髪で隠せばなんとかなるはず。たぶん、商店街も歩けるよ。楽しみだな!」

 振り返ると、ユリスははっとするほど優しい顔で、道春を見ていた。

(……ずるいな)

 少しの間、見惚れてしまう。

 

「あ、母さんにも紹介するか」

 ふと思いつく。

 どうせ日本にユリスも連れて行くのだったら、それもいい気がする。

「……紹介?」

「そう。行方不明になった息子が突然現れたらビックリするとは思うけど、異世界に行ってましたって言えば大丈夫でしょ。信じてもらえなかったら、ユリスが目の前で魔法を見せてよ」

 道春のわがままに、ユリスは足を止め、腕を組んで考え込んだ。そして心底申し訳なさそうに言う。

「……魔法は、その土地に魔力が含まれていないと無理だ。すまない」

「そうなの?」

 そうすると、突然、正体不明の男を紹介することになってしまうのだろうか。それはまずいかも。「魔法がどうこう」なんて言い出したら、倒れる可能性もある。

 軽く悩んだ道春だったが、すぐに気を取り直した。


「ま、なんとかなるだろ」

 楽観的な道春に、ユリスはぽかんと口を開く。

「ローブ姿で挨拶すれば信じるじゃないかな? あ、でもコスプレって思われるか。魔石とか、魔道具とか、こっちから異世界にいたって証明できるものを持っていくとか? てか、日本用の服も準備しておきたいよな。ユリスは身長高いしなんでも似合うよ。そのときは俺が選んであげよう。日本に行くころには、もっと顔色を良くしておけよ」

 ぺらぺらと話を続ける道春を、ユリスは立ち尽くしたまま見ていたが、突然、耐え切れないと言うように噴き出した。

「ふ、はは」

 そしてお腹を抱えて、本格的に笑い出す。

 相変わらず、道春にはユリスの笑いのツボが分からない。「え、なに。こわ」と引いてしまう。

「す、すまない、はは、ははは」

 笑いながら手が伸ばされた。指先が震えている。思わず手を掴むと、強く握り返された。笑ったせいか、ユリスの頬が赤い。


「……俺も、ミチハルが育った場所に行ってみたい」

 細められた目は、甘い何かを含んでいた。胸の奥をくすぐるような響きだ。

「ミチハルが好きだから、がんばる」

 低く落とされた囁きに、息を呑んだ。ユリスは言葉を飾ることを知らない。だからこそ、言葉の裏を考える必要がない。手を伸ばし、ユリスの前髪をかきあげた。

「俺も好きだよ」

 ユリスの目を見ながら、笑って言った。

 驚いたように瞳を揺らすユリスの手を引く。


「俺、本拠地はルナネリスでいいと思うんだよ。やっぱユリスの才能を活かせるのはこっちだしさ。てか、本気で魔道具屋を二人で開かない? 俺が接客するから、ユリスは魔道具開発を担当。どう?」

「い、いいと思う」

「だよな! どうしようか、もう店の名前とか考えておく?」


 ダイニングに戻ると、シンク前の大きな窓から朝の光が差し込み、鉢植えの影がテーブルに柔らかく映っていた。

「なんかお腹空いてきたな。遅くなったけど、朝ごはんにしよ」

「……俺は湯を沸かそう」

「おっけー」

 言いながら、棚の上からパンを取り、フライパンに火をつける。

「店の名前なんにしようか。『天才魔導士の魔道具店』とか?」

「それは本当にやめてほしい」

 なんでも頷いてくれるユリスが、珍しく顔をしかめた。分かりやすい反応に笑いが漏れる。笑っていたらパンが焦げた。焦げた匂いに、笑いを止められないでいると、見かねたユリスが、慌てて皿にパンをのせた。


「ユリス」

 名前を呼ぶと、目が合った。

 明るい部屋で、ユリスと朝食の準備をしている。平和で、なにものにも代えがたいこの時間を、道春は守りたいと思っている。


「俺たちさ、ずっと一緒にいようよ。ルナネリスでも日本でも、どこでもいいから。そのほうが、絶対に楽しいと思う」


 未来を思い描くとき、そこにユリスがいないことは、もう道春には考えられなかった。ユリスにも二度と不安に思ってほしくはない。

 道春のちょっとした決意表明に、何度か瞬きをしたユリスの瞳が一気に輝きを帯びた。顔が鮮やかな朱色に染まっていく。


 嬉しそうな様子に満足した道春は、しばらくユリスの姿を見つめていた。

 子供のように頷く顔を、心に焼き付けるように。



END

ここまで読んでくださり、ありがとうございました!

あと1話、番外編を予定しています。

どうぞよろしくお願いします。

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