表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女魔王と旅館経営~世界樹の中に作った異世界温泉旅館で、濃い仲間たちと共にクセ強お客さんの悩みを解決する話~  作者: お餅ミトコンドリア


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

28/49

27.「二千年間お待ちしていました」

 四天王に自分の不死鳥フェニックスとしての能力を仲間に分け与えることを決断した際に、ククスさんは、伝説のアイドルにも、同じことをしようとした。


 しかし。


「ありがとう~♪ でも、それはお断りさせてもらうわ~♪」


 やんわりと、断られた。


「元々私()()は~♪ 一度死んでるから~♪」


 伝説のアイドルは、穏やかに、笑顔で続ける。


「こうして異世界に転生出来て~♪ 熱い想いを持った、アイドル志望の素敵な子たちに会えて~♪ 指導までさせてもらえて~♪ もう十分幸せだから~♪」


 ちなみに、彼女は何故〝私たち〟と言ったのか。


 その理由は、それから数十年後に分かった。


「こんにちは♪♪♪」


「「「「!!!」」」」


 また新たなアイドルが、異世界転生して来たからだ。


 そうして、ククスさんたち四天王は、次々と異世界転生して来るアイドルたちに教えを請うことで、歌とダンスが少しずつ改善していった。


 ただ、やはりカタツムリのごときゆっくりとしたペースで、ではあったが。


 正真正銘の音痴であり、ダンスのセンスが皆無であった四人は、百年、二百年と、気の遠くなる程長い時間を掛けて、少しずつ上手くなっていった。


 だが。


「次の魔王さまは、いつになったら生まれるです?」


 どれだけ時間が経とうと、新魔王は現れなかった。


※―※―※


 そして、四天王がアイドル活動を始めてから、千年後。


「本当ですか!? 新たな魔王さまが!?」


「スララは、毎日着実に情報収集を行っているのだわ! 間違いないのだわ!」


「わーい! 新しい魔王さまなのだ!」


「うん。ガガオも嬉しいのら~」


 新魔王出現の一報がもたらされた。


 が、どうやら新魔王が誕生してから既に十数年経っているとのことだった。


 彼女はここ数年で急成長し、一気にその魔力量が増えたことで、()()()()()()()()たちが気付いたらしい。スララは彼らから情報を仕入れたのだ。


「では、みんな! 早速お会いしにいくですよ!」


「「「おー」」」


 謁見しにいった四天王たちだったが。


「……え!? 魔王さま!?」


 魔王は、新たに住み始めた場所――前魔王が住んでいたという魔王城に引きこもってしまった。


 しかも。


「くっ! さすがは魔王さまです!」


 認識阻害魔法と不可触さわれない魔法までもが掛けられてしまっていた。

 魔王よりも弱い四天王たちは、お手上げだった。


「どうするのだわ、リーダー?」


「……仕方ないです。アイドル活動をして世界征服の下ごしらえをしながら、魔王さまが出てきて下さるのを待つです」


 そのような経緯を経て、また百年、二百年と、ククスさんたちは、アイドルとしてのトレーニングを積み、小さな村でのライブなど、アイドル活動も行いつつ、魔王を待ち続けた。


 不死鳥フェニックスとしての能力を仲間に分け与えることで、四天王全員の寿命を強引に伸ばして、生き延びながら。


 なお、ライブに関して、彼女たちは、アイドルたちに教わった〝マイク〟と呼ばれるものを魔導具で再現したものと、様々な楽器を弾けるモンスターたちのサポートを受けながら行った。


※―※―※


 その後。

 更に千年が経った、ある日。


「この魔力……! まさか……!」


「間違いないのだわ!」


 魔王が魔王城から出て来たのを、四天王たちは感じ取った。


 すぐにでも会いに行きたかったが。


「くっ! 魔王さま、申し訳ありません……ほんの少し、待っていて欲しいです!」


 この二千年間で行った中で、最大規模のライブ――世界樹から見て南西の国であるマルティクルーズ王国の王都にて、円形闘技場コロシアムを使った最大規模のキャパ――が数日後に予定されていたため、即座の謁見を泣く泣く断念した。


 そのライブが、二千年間の努力が結実したものである、ということもあるが、その成否が、〝アイドル活動による世界征服〟の行く末すらも左右すると分かっていたからだ。


 が、更にもう一つ、魔王に会いに来れなかった理由があったらしい。


「あと、ククスがちょっと死んだりしてたです!」


「いや、ちょっとて」


 まさか幽霊ジョークならぬ不死鳥フェニックスジョークを聞く日が来ようとは。

 魔王が呆れている。

 

 そして、大事なライブが終わったため、ようやく魔王に会いに来れたということだった。


※―※―※


「そうだったのか……長い間待たせてすまなかったな」


「いえ、とんでもないです!」


 謝罪する魔王に、ククスさんがブンブンと首を振ると、オレンジ色のポニーテールも一緒にブンブンと揺れ動く。


「こちらこそ、馳せ参じるのが遅くなりまして申し訳ありませんでしたです。でも、おかげで、マルティクルーズ王国王都での円形闘技場コロシアムライブは大成功でしたです! 


 つきましては、魔王さまと共に、全世界六ヶ国全ての王都・帝都・皇都を回る初ツアーをやりたいです! どうか、お願いしますです!」


「レレムもお願いするのだ!」


「魔王さま、スララたちには()()()()()()()のだわ! お願いするのだわ!」


「うん。ガガオもお願いするのら~」


 頭を下げる四天王たちの発言の中に、何か引っかかるものを感じたらしい魔王は、片方の眉を上げて、問い掛けた。


「もう時間がない、というのはどういうことだ?」


 すると、リーダーのククスさんが、代表して答えた。


「何とか四人で生き長らえようとして仲間たちに分け与えてきたククスの不死の能力ですが、二千年間繰り返し分け与え過ぎたせいで、能力が弱体化してしまったです。


 その結果、能力の限界を迎えてしまい、ククス自身ももうこれ以上復活出来なくなり、他の四天王たちにも能力を分け与えることも出来なくなったです。


 ですので、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()です」


「!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ