24.「世界征服を目論む四天王」
来て早々、〝世界征服〟という、物騒な単語を放った四天王たち。
「千年経ってようやくお会いできたです! ククスは、魔王さまと会えて感動してるです! 魔王さま! ご復活、本当におめでとうございますです!」
「いや、死んではいなかったがな」
一人目は、背筋がピンと伸びて、ハキハキとして明るく、しっかり者という感じの美少女だ。
「こ、これはとんだ失礼を……申し訳ありませんです……。てっきり、ククスと同じく、魔王さまも、〝何度も死んではその度に復活する〟という〝趣味〟があるのかと思っていたです……」
「我にそんな趣味があってたまるか!」
あ、もしかして、意外と天然っぽいところもあるのか?
ククスさんが頭を下げると、鮮やかなオレンジ色のポニーテールが揺れる。
翼と尾も同じくオレンジ色だが、何よりも一番印象的なのは、キラキラと輝くそのオレンジ色の瞳だ。
『看破』でステータスを盗み見てみる、どうやら、ククスさんは不死鳥娘で、四天王のリーダーであるようだ。
「わーい! レレムは、人間がたくさんいる場所を攻めたいのだ!」
うんうん、元気なのは良いことだ。
ぴょんぴょんと飛び跳ねる二人目は、長い青紫色の髪をツンツンと逆立てた、元気一杯で子どもっぽい美少女だった。
小柄な彼女だが、ゴーレム娘であり、どうやら巨大化出来るらしい。
「いえ。スララは、まずは着実に小さな村から落とすべきだと思うのだわ」
三人目は、おしとやかな印象の美少女で、白髪ロングヘアのサイドテールがふわりと揺れ動く。
グレイトスライム娘という、物理攻撃を完全に無効化するモンスターである彼女。
うん、強いタイプのスライム娘だな。
っていうか、物理攻撃を完全無効化って、正直チートと言っても良い。
「ううん。ガガオは、小さい子どもたちを標的にするのが良いと思うのら~」
最後は、一番背が高く、引き締まった身体をしている美少女。
オーガ娘の彼女は、茶色のベリーショートで、常にとろんとした眠そうな目をしている。
この子、まったりした表情とは裏腹に、ステータスが滅茶苦茶高い……戦闘能力えげつないな。
ん?
何だこのステータス?
〝重度のロリコン〟?
……見なかったことにしよう。
そんな四天王たちは、ククスさんが言うように、主である魔王をひたすら待ち続けていたらしく。
「魔王さま! ククスたち四天王と共に、今こそ世界征服を成し遂げるです!」
魔王に詰め寄る直属の部下たちに、魔王は、「引きこもっていた我を、千年間ずっと待っていたのか?」と問う。
「はいです! お待ちしておりましたです!」
「待っていたのだ!」
「ええ。待っていたのだわ!」
「うん。待っていたのら~」
どうやら初対面らしい彼女らだが、それにもかかわらず全身から忠誠心が滲み出ている。
そんな彼女たちに対して、魔王は顔を曇らせると、頭を下げた。
「すまない! 我を慕ってくれる貴様らの気持ちは嬉しいが、我はもう、戦争は起こさないと誓ったのだ。相手がたとえ天使であっても。ましてや、貴様らが戦おうとしている相手は、人間だろう? それならば、なおさらだ」
とても真摯かつ誠実だ。
素晴らしいぞ、魔王。
しかし、残念ながら、そういう話じゃないんだ。
臣下に頭を垂れる主君に対して、目をパチクリしていた四天王たちは、顔を見合わせると。
「魔王さま、頭を上げて下さいです! きっと魔王さまは何か勘違いしてるです!」
顔を上げ、訝し気な表情を浮かべる魔王に、リーダーのククスさんが告げた。
「ククスたちは、魔王さまにアイドルになって欲しいだけです!」
「!?」




