14.「呪いが解けて分かったこと」
状況から察するに、世界樹温泉に入った巨大目玉モンスターが、本来の姿である、尖った耳・牙・黒翼・黒尻尾を持つあのピンク色ツーサイドアップ美少女――アイジェさんへと戻ったということなのだろう。
ということは。
「……呪い……解けたんだな……」
「うん♪ ほら、元通り♪」
アイジェさんがクルクルと回り、ピンク色ツーサイドアップがフワリと揺れる。
どうやら彼女は、つい先程まで呪いに掛かっていたらしい。
それが、世界樹温泉のおかげで解けたのだ。
アイジェさん自身も楽しそうにしているし、何ら問題ない。
――と言いたい所だが、そう単純な問題ではないかもしれない。
アイジェさんは、受付の前で魔王と会った際、「ブーブー!」と、不満気に声を上げたのだ。
何かしらの因縁がある可能性もある。
「ブーブー!」
「!」
図らずも、危惧した通り、アイジェさんは再び不満の声を上げ、頬を膨らませた。
と同時に、魔王の顔が真っ青になる。
そこからの魔王の行動は、早かった。
「すまなかったああああああああああ!」
土下座!?
魔王は華麗に跳躍したかと思うと、アイジェさんの目の前に着地すると同時に土下座した。
「貴様が千年間苦しみ続けたのは、我が〝呪術魔法〟を使ったせいだ! 本当にすまなかったああああああああああ!」
畳に頭をこすり付ける魔王に、しかしアイジェさんは、意外な反応を示した。
「もう! デレカちゃんったら、全然遊んでくれないんだもん! アイジェ、寂しかった! ブーブー!」
「そうだよな、孤独だったよな、絶望したよな……それも全て、我のせいだ! 申し訳ないいいいいいい!」
「もっとデレカちゃんと遊びたかったな~。そしたら、たくさん思い出も作れたのに!」
「そうだよな、悲しく苦しい思い出しかないもんな、我を恨むのも無理はない! 本当に申し訳ないいいいいいい!」
ん?
何か、おかしい。
会話が全然かみ合っていない。
ひょっとしたら、これって――
「『看破』」
アイジェさんのステータスと記憶を盗み見てみる。
………………
マジか……
そう言うことか……
〝魔王が千年前に引きこもった原因〟が分かった。
「魔王、顔を上げろ」
「メグル。悪いが、これは我の罪だ。我は断罪されなければいけない」
「いや、お前は悪くない。もちろん、アイジェさんも悪くない」
「? 貴様は何を言って――」
戸惑いながら見上げる魔王に、俺は告げた。
「〝巨大目玉モンスターにする呪い〟だが、あれはお前の魔法じゃない」
「!?」




