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双子の姉妹の聖女じゃない方、そして彼女を取り巻く人々  作者: 神田柊子
第二章 辺境伯家での生活

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ブルーノとマーサ

 ブルーノが階下に下りるとマーサが待っていた。

 同じステラの専属同士、気になったのだろう。

「旦那様はなんておっしゃったの?」

「減俸と特訓」

 ブルーノは両腕を広げて肩をすくめる。

「二度目はないって言われていなかった?」

「お嬢様の口添えがありましたから」

 ステラが魔獣に襲われたときも同じ処分を受けた。

 あのときは確かに気が抜けていたと思う。

 ステラは辺境伯家の他の男子とは違う。オスカーが幼少のころは捕まえておくのに苦労したと聞いたことがある。ステラは注意されたことは守るし、興味本位に歩き回ることもない。事前に言い聞かせておけば大丈夫だと慢心していたのだ。

 包囲していた騎士の間をするりと抜けだされたときには驚いた。魔獣に襲われるまで一瞬だった。

 その反省を生かして、今回ブルーノは安全が確認されるまでトラヴィスに近寄らせなかった。

 それなのに。

「なんなんですかね。助けることに何のためらいもないんですよ。気が付いたときにはもうお嬢様は動いている」

 おかしな言い方だが、凄腕の暗殺者が殺気を悟らせないのと同じような……。凄腕の救援者? なんだそれは、とブルーノは自分でつっこむ。

「聖女教育の賜物なのかしら」

 マーサもブルーノも、ステラを実家から保護するときにその場にいた。

 教会での聖女認定のやり直しも見ている。

 数少ない灯りは女神像とステラだけを浮かび上がらせ、香の効果もあって、とても神秘的だった。

 しかし、ステラは聖女じゃなかった。

「お嬢様は誰かの役に立ちたいという気持ちが強いようだから、それもあるかもしれないわ」

「ですね」

 ブルーノは少し上を見上げて、

「容体はどうですか?」

「痛み止めが効いて眠ってらっしゃるわ。今晩はメイドが交代で看る予定よ」

「敵の情報は聞きましたか?」

「ええ」

 騎士が射落とした襲撃者は回収できた。墜落が死因だ。死体が残されていたということは単独行動だったのだろう、と騎士団では判断している。

 持ち物を探ったところ、傭兵ギルドの身分証を持っていたため照会しているところだ。

 狙いはトラヴィスだった。

 トラヴィスは北の砦からフランクと一緒に城に帰ってきた。兵舎でフランクと別れたあとに、騎士からフランクが呼んでいると伝言を受けて河原に行ったそうだ。フランクはそんなことは頼んでいないという。

 その騎士はすぐに見つかった。

 ステラが怪我をしたと聞いて明らかに動揺していたからわかりやすかったそうだ。

 他領の出身者で、父親を魔獣で亡くしたため、魔獣の多い辺境でできるだけたくさん倒したいと考えて入団したそうだ。トラヴィスの赤目は魔獣の血をひいていると嘘を教えられて、襲撃者に利用されたらしい。

「トラヴィス様は気になさるわよね……」

 マーサが頬に手を当てて憂う。

「トラヴィス様と仲良くなれたって、お嬢様はうれしそうになさっていたのに」

「それはトラヴィス様が乗り越えないとならないことだろうからなぁ」

 彼の立場を考えたら、あの容姿を一生隠しているわけにはいかないだろう。家を捨てるのでもない限りは、いつかは表舞台に出ないとならない。

「まあ、ステラお嬢様が安全なら、なんでもいいですよ」

 こちらに火の粉がかかるような真似は、ダレルも許さないだろう。

「今後、お嬢様が外出するときは、少し離れたところから隠密もついていくことになりました。お嬢様を危険にさらさないのと同時に、お嬢様の周囲も危険にさらさないことが目的です」

 助ける対象がいなければ、ステラが突飛な行動をすることもないはずだ。

「わかったわ」

 ブルーノとマーサはうなずきあって、それぞれの仕事に戻ったのだった。

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