第3話
時間が過ぎ、昼休憩になった。
登校中に買ったパンを食べようとしていたら、弁当を片手に持った三成がこちらに来た。
「私も隣で食べていい?」
特に問題ない、というか一緒に食べたいので、いいぞと返事をする。
「ありがとー。じゃあ、机を動かしってっと......」
俺と向い合せになるように机を動かし、座る。
弁当箱を包む布をほどき、弁当箱のふたを開ける。
弁当箱の中には、白米と手作りのおかずが並んでいた。
「なに、そんなにじろじろ見ちゃって。もしかして、欲しいの?」
自分でも気が付かないくらいじっくり見ていたらしい。
欲しくて見ていたわけではないが、おかずは欲しい。
「まあ朝に悪いことしちゃったからねー。1つならいいよ」
「本当か!」
つい大声で喜んでしまう。
おそらく恥ずかしさで顔が真っ赤になった。
「もー。そんなに欲しかったのー? 仕方ないなぁ」
手作りの卵焼きを箸で挟む。
「はい、あーん」
「えっ!」
突然だったので、反射的に口を開けてしまう。
「......なーんてね。ここに置いておくよ」
卵焼きは俺の口ではなく、弁当箱のふたに置かれた。
再び恥ずかしくなってしまい、先ほどよりさらに顔が赤くなってしまったと思う。
「......からかいやがって」
手で卵焼きを口に運ぶ。
「ごめんごめん、えへへ......。で、どう? お味の方は?」
「......うまい」
そう返事をすると、三成は喜ぶ。
そんな三成を見ていると、シャツに赤いシミがあることに気が付いた。
「三成、なんか赤いシミがシャツに付いてるけど、どうしたんだ?」
「えっ! あ、えーと、これは......。朝起きてお弁当を作ったんだけど、寝ぼけてたから包丁で切っちゃって、その時に慌てちゃって切っちゃった部分で服を触っちゃったんだ......」
「切っちゃった部分は大丈夫なのか......?」
「少しかすっただけだから、そんなに痛くなかったよ」
「そ、そうか。今度から気を付けろよ?」
「うん、今度からは夜に作ることにするね」
「......眠くてまたケガするかもしれないから、寝る前には作るなよ?」
俺は三成にケガをしてほしくないため、注意しておく。
その後は特に変わりのない普通の会話をしながら昼ご飯を食べ進めた。