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8話 シーナvsレシア

一体何がしたいんだ? 組織を潰した時点で、暗殺者は続けれないはずだ。いや、こいつならコネとかあってもおかしくない。


「さあな。まあ、殺しはしないから安心しろ」


そう言って近づいてくる。全く安心できない。殺しはしないって。……いや待てよ、こいつドSだったよな?



「なあ、そういえばお前自分をドSって認めてたよな? SMプレイに興味は無いぞ?」


「そんなもので済めばいいな」



これダメなやつだ。確実に拷問する気だ。さっき楽しいとか言ってたぞ。


シーナが俺の隣まで来て、俺を軽々と持ち上げた。その持ち方は、お姫様抱っこだ。まさかこれで返されるとは。


そしてこの持ち方だと顔がよく見える。少し頬を赤くして、目を気持ち大きく開け、口の端も少し引かれている。


だがシーナは俺の視線に特に反応することも無く、もと来た道をたどり始める。



このままお持ち帰りされれば、恐らく地獄が待っている。だから俺はどうにかこの状況を打破する必要がある。


しかし体は謎の薬によって、寝返りすら出来ないほどに動かなかった。魔法を無詠唱で使うことも出来るが、頭もうまく回らない。まるで寝起きの時のように。使えないことも無いが、威力は期待できそうにない。


よって、強引な方法では不可能。俺に残されているのは、不得意な説得のみだ。



「おい、良心があるんじゃ無かったのか?」


そう聞いてみたが、無視された。表情の変化も一切ない。まずは反応させる必要があるんだろうが、なんて言おうか。



俺は本気で考えていた。いくつか浮かんだ説得の言葉を、手当たり次第に言うのもアリかも知れないが、それが説得に悪影響になる可能性も否定できない。だからずっと何も言えなかった。



そこそこ長かった抜け道も、あと4分の1まで迫っている。説得の言葉も良いのが思いつかない。少し諦め始めていた頃に、変化が訪れた。


シーナがなにかに気づいたのか、少し顔をしかめ、移動速度が速くなった。そしてその後に俺も、100は越えるであろう、そのおびただしい数の気持ち悪い気配に気が付いた。



気配。まあ魔力察知と言われる魔法で、生物の位置を特定できる。そしてその生物が人か魔物かは、だいたいの人が感覚で理解している。その気配を具体的に説明できるやつは少ない。


だがこの魔力察知による気配は、たとえ覚えたての初心者でも、気持ち悪いと言えるに違いない。そして気持ち悪い気配ってことはアンデットだ。



アンデットって言うのはゾンビとかスケルトンとかの総称で、非人為的に発生するパターンは、特定の場所か、強い意志を持って死んだ死体がそれになるか。後者を非人為的と言うのは変な気もするが、まあこの2つしか無い。


だがこれらの発生方法では、ここに大量のアンデットがいる理由にはならない。



アンデットは死体があれば、人為的に作ることも出来る。恐らく大量のあれは、この方法で作られたんだろう。


だがこの方法は死霊術を習得する必要がある。



他の魔法とは違い、死霊術は使い方が公開されていない。それに難易度も相当高いらしい。だからか死霊術を使える、死霊術師と呼ばれる人は、一般人なら誰も知らない。


しかし、俺は死霊術師を1人だけ知っている。



グネグネとした道を曲がり切ると、目の前には予想通り、大量のアンデットと一人の少女がいた。


「待っていてくださいね、レイバーン様。すぐに助けますから」



やっぱりレシアだった。


クッソ高そうな白いドレスは裾が土で汚れ、所々に血がついて、それをこすったような跡がある。そんな物騒な服を来ているのにも関わらず、表情は笑顔のまま。かなりミスマッチしている。


そして後ろには、体中が崩れているようにぐちゃぐちゃな人から、全く肉が付いていない骸骨まで。恐らく死体をアンデット化したんだろう。



そして、そのアンデットたちが襲ってくる。しかも凄いのは、動きからしてみんなAランクらしい。


シーナは既にAを超えかけているが、この数は厳しいだろう。俺でもかなり面倒だ。



しかしシーナには俺がある。俺を盾にすれば、レシアはアンデット達を止めざるを得ないに違いない。


シーナの顔を見ても、一切動揺した様子はない。それに対して、レシアはこっちを睨んでいる。恐らくレシアも、俺が人質になるとわかっているんだろう。



俺は体が動かないし、頭もうまく回らない。できて威力不足の無詠唱魔法を使うことくらいだ。まあ、威力不足でも手助けくらいにはなるだろ。


シーナが動く寸前に、俺は火属性の火の玉を放つ魔法を使った。


「俺ごとやれ!」


精一杯声を張り上げたつもりだが、思った以上に小さかった。だが聞こえたと思う。



魔法は俺ごとシーナを焼くが、防具のおかげもあって暑いだけだ。一般人で言えば、サウナ程度でしかない。


防具を来ていないシーナはもっと熱いんだろうが、ひどくて火傷だろう。



だがシーナが怯む、その僅かな間をアンデットは見逃さずに、シーナの首を狙う。俺を盾にしようにも、もう間に合わない。そしてあれをシーナが受ければ、間違いなく重症を避けれない。


シーナは俺を離すしか無く、そうしてナイフでその斬撃を受け流す。


だが受け流された剣を、アンデットは強引に軌道修正し、今度はシーナの脳天に迫る。


シーナの攻撃力は、ナイフに付着した毒の効果によるもの。アンデットに毒は当然効くはずが無く、なかなか苦戦しているようだ。



そして相手のアンデット。誰かは知らないが、生前はかなり強かったんだろう。それにそのクラスがまだわんさかといる。俺はその1人の大剣使いらしきガイコツの肩に担がれ、レシアの所へ少々乱暴に降ろされた。


痛くは無いが、何となく待遇は気に入らねえ。けど今はそんなこと言ってる場合じゃねえ。レシアは何故か目を見開いて、俺を運んだアンデットを凝視している。

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