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4話 暗殺者の襲撃

国王の話によると、王女は何故か死霊術が使えるらしい。


死霊術は厳密に言えば、火属性魔法や支援魔法などと同じように、魔法の一種だ。だが死霊術は、その効果がかなり特殊なことから、魔法でありながら、魔法とは別物のように扱われる。


そしてその内容は、死者を操る。死者蘇生といったものだ。


当然死者をあやつるなんて能力、大体の人は怖がる。更に宗教によっては、禁忌として扱われることもあるらしい。



そしてこの国で一番力を持っている宗教は、不幸にも死霊術を禁忌としていた。


だがこの宗教は。無宗教や異教徒にも比較的友好的な宗教だった。だが過激派と呼ばれる団体が、レシアの死霊術をどこかで知ったのか、暗殺者を仕向けてきたそうだ。


更にレシアが死霊術を使えるっていう噂まで流しているらしく、まだその噂は信じられてはいないが、立場が弱くなりだしているらしい。


そして俺は、デリカシーもクソも無い。最低とまではいかないが、それでも十分ひどい事を考えた。




どうやら王女はかなり消耗しているようだ。国王によれば、恐らく俺が罵倒したり気味悪がったりすることを怖がっているらしい。


俺はレシアを見た。

こっちを見ていたらしい。目が合う。だがレシアは目があった瞬間にビビったのか、目を背けた。



……自分でもクズみたいな酷い考え方だとは思うが、これはとてもいい状況だ。


綺麗な人がピンチになっている。現実で起こるとは思ってなかった状況が、今現実で起こっている。



そして俺は、死霊術を怖がっていない。死者蘇生が倫理的にどうとか、社会的にこうとか言われているのは聞いたことがある。


だがそんな事どうでもいい。なぜなら興味ないからだ。


これはチャンスだ。死霊術の事を気にしない俺が暗殺者とやらを倒せば、多分王女は俺に惚れる。


……あの時の俺は、そう油断していた。



と言っても協力者に借りた絵本で、登場人物が油断してピンチになるって展開をよく見た。だから常に周りの騎士たちと警戒はしていたが、それでも多少の気のゆるみがあった。




夜。夜通し遊び続けることもある俺にとって、寝るにはまだまだ早い。だがそんな事するわけが無さそうな王女が、ウトウトしだした時だ。



周りに十人ほどいる騎士の1人が倒れる。となりには見覚えのない女が、1人だけ立っていた。いかにも暗殺者って風貌だ。


ジャストサイズの黒い戦闘服で、体のラインは判断し難いが、その大きな胸は誤魔化せない。

髪は長くて黒色で、目も同じく黒。そして手にはナイフと、……あれは銃だな。絵本でよく見たが、実物を見るのは初めてだ。



隣で警戒していた騎士2人が、暗殺者に襲い掛かる。


そのうちの1人は、騎士団で一番強いAランクの騎士団長だ。それもAランクの中ではかなり強い方。模擬戦では勝てたが、仲間がいる今のような状況では、指揮や戦術に長けているこの人の方が強いんだろう。



騎士団長は何も言ってないが、他の騎士は言われずとも、冷静に暗殺者を囲むように動こうとした。



暗殺者はそれを待たずに、騎士の1人に迫った。



速かった。


Bはあるんだろう騎士が、一瞬で顎を殴られ、顔面に回し蹴りを受けて吹き飛ばされる。



しかし騎士団長も、フルプレートアーマーを装備しておきながら、それに並ぶほどのスピードで切りかかった。


「銃だ! 危ない!」



俺はSランクの動きに見慣れてるから、あの高速で移動する鉄塊にも上手く対処できた。だがこの暗殺者の女はどうだ?


だが彼女は銃を持っている。製造がかなり難しい上に、このレベルの相手だと威力不足で、あまり使われていない。そのせいで騎士団長も、銃と言われても分からなかったようだった。


だが銃は割と強力な武器だ。対処どころか、逆に攻撃してきた。



暗殺者が騎士団長の、足を撃った。


鎧は貫通していないが、騎士団長の動きが悪くなり。それを予期していたのか、動きが悪くなる前にシーナは動いていた。団長は攻撃の怯みと、彼女の攻撃をほぼ同時にくらってしまった。そのせいで団長の手が切られた。



ここまで全て、俺が暗殺者へ向かっていた時のことだ。一秒も無い。


恐らく、暗殺者にはSランクがはっきりと見えている。ぼやけてしか見えない、俺とは違う。



だがこっち騎士団長がいる。手を切られたくらい、ちょっといいポーションでも使えば一瞬だ。騎士ならもっといいのも持ってるだろう。


だが騎士団長は、俺の期待を裏切って、倒れた。


暗殺者だ。ナイフに毒なんて、定番だったな。



その後は中々悲惨だった。たったの数分で騎士全員が使い物にならなくなり、俺vs暗殺者のタイマンになっちまった。


暗殺者は俺より強いが、その差は小さい。それにこっちにはいい武器がある。


あのドワーフの爺さんに、Sじゃないって事実を伝えに行ったら改造してくれたからな。ただでさえ強かったこの剣は、更に重く鋭くなっていた。



だが相手は俺のように、異形のバケモノと戦う冒険者では無い。人を相手取ることが専門の暗殺者だ。経験が違った。


足を撃たれ、手を切られ。毒が回って遂には腹も撃たれた。ポーションは沢山あるが、その回復も間に合ってない。倒れている騎士を見る限り、殺しはしないらしい。


つまり目的はレシアのみで、それ以外は気絶させるだけでいいんだろう。だからもういつでも気絶できる。そうすれば楽だ。


だがそれは、せっかくのチャンスを見逃すという事。それに怪我したんだ。ここから逆転すれば、惚れるに決まってるぜ。

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