31話 策略
「ちょっと助けてくれ。ガイラント学園にフレッドって人がいるんだ。そこまで俺を運んでくれれば足を治せるから」
あの人は魔法剣士。つまり魔法専門では無いけど、部位欠損は治せる。病院じゃそのレベルの人材はほぼいない。
「フレイア?」
フレイアは俺の体を瞳孔広げて、視線を頭から膝まで往復させながらしばらく見て、ニッと笑った。
そしてフレイアは俺の足にポーションをかけた。すると何十万もした最高級のポーションでも治らなかった足が、みるみる内に元通りになっていく。
靴や破れたズボンはどうにもならないけど、それでも歩けるだけ何倍もマシだった。
「サンキューフレイア! めっちゃ助かる!」
「助かった? ならご褒美ちょうだい!」
「ご褒美……あ、そう言えば会員制リゾートだかの招待券があったな。これあげるから海でも行ってこいよ?」
「いらない」
「……じゃあ大人気スイーツ店のケーキ詰め合わせ」「いらない」
「あの有名俳優のサイン」「いらない」
「シンプルに大金」「いらない」
結構価値の高いプレゼントが、次々に拒否されていく。けど言われなくても察してる。こいつはご褒美におそらく俺自身を要求してる。そして俺を食い尽くすつもりなんだ。
「じゃあ何がほしいんだよ?」
「レイバーン!」
ほら来た。けど俺をあげる気は無い。
「ダメだ、どうせ俺を食べる気だろ。そして食い尽くされて死ぬんだ」
「そんなに食べれないよ? それにさっきのポーション、すっごく貴重なんだー」
「確かに聞いたこと無いけど、1億もあれば大丈夫だろ?」
「あれどこにも売ってないよ?」
売ってない……いや待てよ、部位欠損治すレベルのポーションは存在しないって聞いた気が。
「じゃあそんなの、一体どこで手に入れたんだよ?」
「ヒミツー」
俺は運んでくれと頼んだだけで、そんなに価値の高いポーションを使えとは言ってない。だからフレイアの要求を拒否することだって出来る。
しかし相手はその気になれば、いつでも強硬手段を取れる。それにポーションの恩もある。まあ恩を着せるのが狙いだったんだろうけど。
まあ俺を食べる以外は安全だろう。最悪全力で痛がればやめてくれる可能性だってある。食べられるのはクソ痛いけど、まあしょうがないか。
「……わかったよ、しょうがねえな。一応ポーションの恩もあるし、ちょっとぐらいなら食べさせてやるよ」
俺は利き手とは反対の、左腕をフレイアに差し出す。
「ここじゃ無くて、私の家に来て?」
「家? まあ良いけどさ」
いつの間に買ってたのか? あの時俺が渡した金は1000万なんだし、おかしくはない。けど家の買い方なんてあの時書いたっけな?




