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29話 ヤンデレクロア

地理は得意でも無いし好きでも無いけど、冒険者やってればある程度は覚えるし、先生に強制で覚えさせられた。いや、フレッドって言ったほうが良いんだっけ。


そんなことがあって、どこになんて名前の何があるかは大体把握してる。けど、クロアがあまりにも速すぎて、ここがどこだかイマイチ把握しきれてないが、近くに何か変わったものが無いのは確定してる。


変わったものがあれば覚えてる筈だからな。



だから俺とクロア以外に、恐らくここに居るやつはいない。つまり何もない場所だ。


クロアはそんな森の中でゆっくりと減速して、歩く速度になった。そしてクロアは俺を腕から地面に下ろす。さっきから目的がわからない。だから聞こう。

「ちょっと邪魔がいないか探してくるから! そこで待っててね?」



しかし俺が発言する前に、クロアはどこかへ走り去っていった……。


よくわからないけど、ここが安全な場所だと確定していない以上、魔物の警戒はしたほうが良い。フレッドがそんな事をよく言ってた。


よっぽどの魔物でも無い限り、素手でも勝てる。けどたった数キロの剣を、腰から抜いて構えるくらいなんの消耗もない。。何も無ければ多少のストレスとともに剣を戻す、それだけで済む。



魔力は感じないけど捉えきれないほど高速で、何かが飛んでくるのが見えた。クロアだろうけど、まあ一応剣を持ち上げ、警戒しておいた。……ヤンデレのクロアだし。



「どうしたの?」


クロアは双剣をしまった。そして敵意を感じさせる俺の構えに、当然疑問を抱く。


「ここがどこだか知らないからな。だから一応魔物を警戒してたんだ。そんな気配しないけどさ。で、ソニックブームで聞こえてなかったっぽいし、改めて聞くけどさ。ここどこだよ?」



もう気配の正体がクロアだってわかってる。いくら幼馴染でも失礼だし、俺はさっさと剣を下ろすべきだ。


真面目なやつ……例えばフレッドなら常に警戒してるだろうけど、俺はそんな性格じゃない。だから普段なら剣を下ろすし、俺がそんなやつだって一緒にパーティー組んでるクロアも知ってる。


けどなんかクロアから嫌な予感がして、俺は剣を下ろせずにいた。



「よくわかんないけど、人がいない場所」


いつものように少し笑顔を浮かべながら、元気よく言った。何も変わった様子なんて無い。にしても人気のない場所ですか。


普通なら強いのは男だけど、今は女のほうが強い。そして学園で呼び出しくらってコルトの家に行った後にここまで連れてこられている。だから常人なら目の前のクロアの表情がわからないほどに、もう辺りは薄暗い。



「薄暗くて人気のない場所で、二人っきりなんて……一体何するんだよ?」


「何もしないよ? ここは特殊な魔力でいっぱいだから、魔力をうまく使えない。つまり魔力察知も使えない。だから全力で走ってちょっと疲れたし、ここで休憩しようと思って」



特殊な魔力? 何も魔力を感じないんだけどな。……じゃあなんでクロアの魔力を感じない? 流石にいることさえわかってれば、魔力を見逃しなんてしないんだけど。


いや、魔力が使えない? そう思って魔法を試すと、何も発動しない。何度も連続で試すが、それでもだ。魔力を外に放出すると、まるで溶けるように消えて無くなる。


普通魔法に失敗すれば、壊れた魔法陣から魔力が出てきて広がっていくのに。



「でしょ?」


「確かに使えなかったけど、それよりもさ。なんで俺をここに連れてきた?」


旅の前の過保護、昨日誰が好きかと問い詰められた時、そしてコルトに対する態度。どれもヤンデレっぽい。けどヤンデレと言うには、なんだか微妙だった。


レシアみたいに睡眠薬使ったり、拷問やら食べようとしたりするやつら。クロアはそいつらと違って異常さが足りない。足りなくていいけど。



「レイに近寄るあの4人。あの4人もレイの事が好きみたいで、レイに近寄ってくるから。本当なら殺したかったけど、私じゃ出来そうになかった。それはごめんね?」


「……まず最初にさ、少なくとも絶対シーナは俺を遊び道具としか思ってない。でなきゃなんで拷問しようとするんだ?」


「それは知らないけど、あの4人は絶対レイの事が好き。絶対そう!そしてみんな乱暴だからレイを監禁したり洗脳したり脅迫したりして無理やり私以外を好きにする。そんなの嫌でしょ?だから逃げよ?ガイラントに不満は無かったけど、私がいればどんな場所でも良いよね?」



みんなにクロアが含まれていないようだけど、コルトを脅してたよな。しかし正直にそんなこと言ったところで、この状況が改善しそうにはない。むしろ絶対悪化する。


だからどうしようか。


「いくら俺がイケメンだからって、それはなくね? それに友達もいるからさ?」


「私より友達が大切なの?」


「いやそんな「じゃあ来て」


「人の「来て、私が一番大切だよね?」



反論を許さないゴリ押しにより、俺はyesかnoで答えることしかできない。ならnoだ。


「悪いけど、俺は帰る。ラティナ姉も心配してるだろうし、お前もさっさと帰ろうぜ?」


方角は分かる。だから迷ってないし、全速力で走れば30分で帰れる。



「お姉ちゃんの方が大事なんだ……。もういい」


クロアが双剣を持ち、腰についてるケースごと引きちぎり、そして近づいてくる。最近良くやるように激怒しては無い。静かに怒ってる。



「痛いことはしたくなかったけど、レイが悪いんだから。私を選んでくれないんだもん」


「意味分かんねえよ」


嫉妬だ。クロアがヤンデレらしくなってしまった。

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