21話 どこかで見た展開
さて、今俺は5人の女に問い詰められている。
一番好きなのはだれかと。
正直クッソ面倒な質問だ。
もし誰か1人を選べば、それ以外は傷つくに決まってる。そして選ばれなかった人はその事を、俺とあう度に思い出すだろう。もちろん俺も。
そんなの気まずいわ。
けど、相手はSSランクだから逃げるなんて無理。答えないもたぶん諦めてくれない。
だからって適当に選んでも、相手はヤンデレ。確か嫉妬深いんだ。選ばなければ、どこまでされるかわからない。
「そもそもな、まず一番なんて考えたことも無い。やめろよそういうの」
「じゃあ今から考えて。私は待つから」
ラティナ姉ににらみつけられる。本気でぶっ殺されそうだ。
理性はラティナ姉が、俺を殺すなんてそんな訳がないと言っている。だが俺の感情は、こいつに殺されると訴えている。
まあ、言わないけど誰が一番好きか考えてみるか。
消去法で行くと、嫌いなのはクロアやシーナやフレイア辺りか。クロアは変態でなんか凶暴だし、シーナはドSの域をとうに超えた拷問狂だし、フレイアは俺を食べようとするし。
けど他の2人も、なんか怖かったり、睡眠魔法使われたりと、決めつけるにはまだ早いが結構おかしい。まあ今まで一緒にいたし、一番マシなのはラティナ姉か。
しかし決まっても言う訳にはいかない。言ったら終わりだ。だから、無理だと諦めていた逃げに、チャレンジしよう。
こいつらから逃げ切ることは不可能。だから逃げる先は人が沢山いる王国。それ以外だと確実に捕まる。
しかし、その王国は彼女たちの背にある。つまりSランクの俺が、SSランク5人を突破する必要がある。
強引に突破しようとしても、パワーもスピードも確実に負けてるからそれは不可能。
だから俺はさり気なく、歩き回る。
初めはその場をでたらめに行ったり来たりする。そして彼女たちを横から通り抜けた。5人が俺を止めようとする様子はない。
どうやら案外あっさりと、成功していまいそうだ。だが恐らくこの先にも、同じような状況が何度も起こると想像できる。
仮にその時に、コレと同じ方法を使おうとしても、2共同じ手には引っかからない。だから何らかの対策を取られるはずだ。
まあいいか。どうせ今も命の危険を感じるから、つまり最悪の状況だ。次の対策は、次の俺にでも任せよう。多分なるようになるさ。
そして彼女たちの後ろにまわり、少し歩いた。そろそろ走るべきだろう。だから走った。
そういえば変装の魔道具だが、シーナにふっとばされた時に壊れた。そんなに高いものでも無いから、そこはまあいい。
けど俺は予備を持っていなかった。買おうとした時に一個しか無くて、予備はいつか買おうと思った。壊れたとは偶に聞いたからな。けどそのままずっと予備を買うことを忘れていた。
だから俺は変装してない。それだけでも十分目立つというのに、俺の周りには美女が5人いる。しかもそのうち2人は、世間一般的には俺と同じSランク。そして1人は明らかに高そうな服を着ている。
今日はリルムンドの馬車が来たと騒ぎになってたからか、レシアが王族だと気づかれている。
そして、5人と俺の距離はやけに近い。みんな俺たちの道を開けてるのに。
スゲえとかマジかよなんて声が聞こえる。そして、ハーレムだって言ってるのも聞こえた。けど残念ながらそれh違う。
こいつらが大人しいのは人が沢山いる場所だけだ。周りに人がいなくなれば、どうなることやら。
「なあシーナ、お前のせいで変装の魔道具がぶっ壊れた。だから予備をくれ。」
「これでいいか?」
シーナが取り出したのは、ちゃんと男用のやつだった。女用でも使えるけど、いろいろと問題がある。
俺は急に路地裏へ飛び、風魔法を使用することで、物理完全無視のありえない軌道で着地した。
そして周りには誰も人がいない。だから変装の魔道具を使い、俺は少しカッコいい男になった。
ちなみに5人は、当然のように周りにいる。
「なんで逃げるの?」
路地裏には誰もいない。だから5人が行動しない理由は無い。とは言え誰かくる可能性もあるし、大きな音がすれば野次馬が寄ってくる。あまり強引な事は出来ないだろう。
しかしそれは俺も同じこと。俺は5人に囲まれた。
「答えろってことか。誰が異性として好きか」
『うん』3人、『はい』と『ああ』が1人ずつ。5人全員が、それぞれの言葉で同意した。
「そういえば、なぜか俺に好きな人がいることになってるけど、俺は誰とも恋人になろうと思ったことはない」」
「私はそれでも」「なんで? 嘘つき!」「恋人? じゃあ妻?」「まあ誰でもいいさ」「そうなの……?」
5人同時に言うから、単語しか聞き取れなかった。
クロアとフレイアは疑問の表情、ラティナ姉はキレてる。そしてシーナとレシアは諦めている。
納得してなさそうなやつもいるが、確かに答えたんだ。
「もう良いだろ? 俺は家に帰りたいんだ。だからさっさと通してくれ」
「じゃあ誰が一番好きなの?」
どけてくれそうだったんだが、ラティナ姉のせいで、それがもとに戻った。またピンチだよ、めんどくさい。




