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19話 とっても不穏な気配

俺の質問は否定され、2人は俺を異性として好きだと確定した。


2人とは友達だ。恋や性の対象では無い。だからなんて答えれば良いのか……。



それに2人とも明らかに様子がおかしい。最近狂った女に3人も出会ったんだ。2人だけはなんて、とても思えなくなってくる。


「ごちそうさま」


俺は気持ち速く動いて、リビングのドアノブに手を掛けた。


「待って、レイはどうなの?」



クロアが俺の右手首を、痛いぐらい強く掴んだ。


「もちろん2人とも好きだぜ?」


「どっちの意味で?」


『もちろん友達として!』




こう言える雰囲気じゃない事は理解している。2人は確実に、俺が異性として自身を好むことを望んでいる。


しかしその望みを叶えると、俺は嘘をつく事になる。



この2つを選ぶ以外にも、逃げるを選ぶことも出来る。しかし選んだとて、このクロアから逃げれるイメージが湧かない。


だから更にもう一つの選択肢、ぼかすを選ぼう。



「言わせんなよ恥ずかしい」


「言って」


「やだ!」


思いつきで即答してしまった。精神年齢が低く見えるが、拒否自体は選択肢の一つ。2人ならこれで終わってくれるはずだ。



「……私が嫌いなの?」


殺気を感じる。それも絶対向けられると思っていなかった人の1人に。


「そんな事は無い、俺はクロアの事が好きだぞ?」


「どっち?」



友達としてなんて、言えるかよ。


「さあな、秘密さ」


「答えてよ? ……ねえ!」



クロアが俺の右手首を離し、そしてまた双剣を取り出した。今のは背中から出てたか?


だがラティナ姉の姿がブレた。それと同時にクロアが右手の剣を後ろに動かし、また同時にそこから火花が飛び散り、ラティナ姉がそこにいた。



ラティナ姉は風魔法で手の先にナイフのような物を作ったらしいが、いくら相手が後衛職だとしても、クロアはその攻撃をノールックで防御した。


「駄目だよ、暴力は」


その通りだ。その調子でクロアをどうにかしてくれ。


「うるさい……黙れ!」



クロアが剣を振り回している。細かいことはよくわからないが、俺はアレを一回防御しただけでも体勢を崩され、その次の剣に殺される。パワーだけでもそのレベルがある。


しかもクロアの動きは、俺の読みをことごとく裏切る。だから恐らく技術だけでも負けている。



しかしラティナ姉はそれらをすべて対処する。


相手が剣を振るのに合わせて、テレキネシスや土魔法でその勢いを殺し、更に風魔法で2人の間に爆風を発生させ、全力で回避している。



流石に魔法使いが双剣士へ反撃するのは難しいらしいが、この戦いで何も壊れていない。


恐らくクロアが本気で剣を振れば、魔法無しでもこの家を破壊できる。俺も本気で振れば、家具は破壊できるからな。


そして今押されているラティナ姉だが、そもそも魔法使いは大規模破壊のスペシャリストだ。本気で戦うなら国が大変な事になる。



つまり2人とも本気で戦っていない。なのに俺でもその2人に勝ち目がない。


だからこの時点での2人の強さは、Sの下の方が勝ち目無いんだから、少なく見積もってもSの上の方。


そしてこの2人が本気を出せば、あのSランク最強より強い。



となるとこの2人は、Sの更に上のランクだということになる。しかしそんなランクは存在しない。ただし冒険者には。


昔はSランク以上に強いやつも何回か確認されていたらしい。だがSの上なんて想定してなかったから、そういう奴らは間に合せで、SSランクってことにした。協力者にそう聞いた


2人がSSランク? 自分の判断を疑うが、2人がどう考えてもSの器に収まらない。



まあどうでも……良くはないが、さっさと逃げよう。


もちろん2人は俺の逃走に気づいているが、下手に隙を見せれば相手に倒される。互いに足を引っ張り合ってるってわけだ。




俺は外に出たが、すぐに国の外側が騒がしいことに気が付いた。


恐らく他国の貴族とかが来たんだろう。たまにあることだ。観光とか誰かに会いに来たとか留学とか。理由は色々あるらしい。



だがそれにしては音が大きすぎる。いくら俺の聴力が良くても、何キロもあるここまで声が聞こえるなんてことはない。


だから恐らく王族が、それも大国のが来たに違いない。



レシア・リルムンドは、その名の通りリルムンド王国の王女。そしてそのリルムンド王国は、ここガイラント以上の大国。軍事力が相当だとも聞いた。


嫌な予感しかしないし、その騒ぎの発生源は、だんだんこっちへ一直線に近づいている。



まあ俺の家の前は一番大きな道。ここの王城に行くならそこを通るのが一番いいから、馬車がこっちにくるのは当然だ。


念の為に離れておくか。誰にせよああいう奴らにとって、俺は便利な道具に違いないからな。



俺は大通りを避け、少し細めの道で国の外側に向かっているんだが、そろそろ馬車とすれ違う。


遠目で見ても分かった。リルムンド王国の紋章だ。ゆっくり走ってる。周りにはあの時の騎士が馬に乗って、馬車の護衛をしている。


馬車の中に誰がいるのかは見えないが、こっそり魔力探知をすると、レシアらしき気配がした。しかし俺が魔力探知を行った瞬間に、騎士たちの顔が一層引き締まる。



魔力探知を行うと、相手の練度によってはやられたとバレる。しかし位置を逆探知するのは難しい。出来ても格下の魔力察知だけだ。


まあ位置がバレても襲って来ることは殆どない。ああいう人達にとってはあるあるらしいからな。常時張ってる人もいるくらいだ。それを全員不敬罪は相当面倒だろ。



だが、馬車が俺を通り過ぎた直後、急に停止した。


あれ? コレやばいやつだった?



騎士たちは中にいる誰かと揉めているようだが、野外で小声で喋られると流石に聞こえない。


良く分からないけど、とりあえず逃げよう。そうすれば何も起こらない。

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