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18話 朝食回

リビングではちょうど、ラティナ姉とクロアが朝食を並べていた。お米、みそ汁、焼き魚。


もちろん焼き魚は骨付きだ。フォークとかであれを取り切るのは相当面倒に違いない。人の話聞いてなかったのか?


しかも、2人の席にはちゃんと箸が置かれている。しかし俺の所には置かれていない。前は置いたり置かれたりの関係だったんだが、まあ変わったのか。



俺は食器置きに向かい、フォークとスプーンを……無い?


この中には箸とかスプーンとかが、中にある仕切りで分けられて入ってた。しかし今は、箸の場所以外の置き場が空だ。まるで取り除かれたように。


シンクに溜まってたりも無い。


「なあ、箸以外どこ行ったんだ?」


「捨てたよ」


「え、なんでそんなこと」


「いいじゃん」



え、俺いじめられてるの?


……な訳が無い事は分かってる。いくらコイツらが変わろうが、そんな事はしないと信頼してる。大方ドッキリとかいたずらだろう。2人がそう言う事をしているのを見たことが無いが、その方がまだ現実味がある。


だとすれば、左手で箸使うか。


「あ、大丈夫だよ。箸あるから」



箸を取ろうとした俺の腕が止まり、得体の知れない外力によって、俺は勝手に歩き始めた。


「…………」


口は半開きのまま固定されているが、内臓や目は動く。そして食卓にはやっぱり俺の箸が無い。だからツッコミを入れるべく、ラティナ姉の念動力に抵抗する。


「急にどうしたんだよ? やっぱり箸ないぞ?」


「「あるよ?」」



ハモった。そして自身の箸を掲げる動作も被った。


俺は椅子に座る。どうやらラティナ姉もクロアと同じように変態になったようだ。いや、まだ決めるには早いか。


「いや、俺はこの旅で鍛えたんだ」


魔法にはテレキネシスってのがある。念動力とか言うアレだ。中々繊細で癖のある制御を要求されるから、使用できる奴は結構少ない。


だが俺は天才。元々使えるようになりたい魔法の上位に君臨することもあり、ずっと練習していた。


「テレキネシス」


俺は魚の骨を引っ張る。だが骨は細いからそこだけを動かすのは難しく、肉が付いて来た。ちょっとなら気にしないが、今は訓練。肉を残らずはぎ取って見せる。



「大丈夫だよ。頑張らなくても、私が食べさせてあげるから」


人がせっかく集中していたところを、ラティナ姉が邪魔して骨は綺麗に戻された。そんなに自分の箸で食べさせたいのか? 一体誰がこいつらを、こんな変態にしたんだ。


「な「え? 私がレイに食べさせるよ?」


「私が食べさせるから、クロアは自分のを食べてて」


「私レイに食べさせたいから、ラティナが1人で食べてて?」



2人は仲が良い、互いにお姉ちゃんとクロアちゃんで呼び合ってる仲だ。それと2人とも相当見た目がいいので、絡み合ってる姿は一部の男子に好評らしい。


そして2人は互いに甘い。お互いの好物のから揚げの最後の一個。あれを譲り合ってんのをよく見る。2人が何かを取り合ったことなんて、何年も前のクッキーしか記憶にない。


だが今は、どっちが俺に食べさせるのかを取り合ってる。こいつらが取り合うほど、俺へのアーンは価値が高いのか?


「変なもの取り合うなって。マジでどうした? そんなに俺のことが好きなのか?」


好きにも色々あるんだろうが、俺が言ったのはLikeではなくLoveの方だ。



「うん! 私はレイの事が大好きだよ!」


「愛してるよ、知らなかった?」


まあ知ってた。こいつらは過去にもこんな事を言った。もちろんLikeの方で。そして今のもLikeだと勘違いした。



「じゃあどこまで行ける?」


「えっと、どこまでも?」


「最後まで」


クロアはこの意味を分かってないが、ラティナ姉はわかっている。当然かのように言ってる。


この質問で、最後までと返答する意味は、質問者と男女同士のアレまでして良いと言っているようなものだ。それとも結婚だったか? まあどちらにせよやることは変わんねえな、HAHAHA!



「おいおいクロア、この質問の意味わかってんのか? ラティナ姉はほっといて、どこまでもはヤバいだろ」


「え、そうなの?」


「俺と裸で寝ても良いのか?」


「いいよ?」



…………


「なあラティナ姉、クロアどうしたんだよ? さっきも『俺の生着替え見たい』とか言ってたんだぞ? 一体何「私も見たい」


旅は一ヶ月ほどだった。



「なあ、さっきの俺を好きかって質問だけどさ。好きには二種類あるだろ?」


怖さも結構あったが、偏差で好奇心が勝ってしまった。


「友達や家族、あるいは幼馴染としての好き。いわばライク。そして恋人とか異性に対する好き。これはラブ。うまく伝わらなかったかも知れないけど、お前らは俺を、幼馴染や家族として好きだよな?」


「違う、レイとは恋人になりたいほどに好きだよ」


「わたしもー?」


ラティナ姉が間髪入れずに答えた。意味を分かっているにも関わらず。


クロアはイマイチ意味を理解していないが、まあさっきの件を考慮して、恐らくクロアも俺がLoveだ。




俺も2人は好きだ。ただしLikeで。


俺は魚を手づかみし、そのまま口に入れて少し噛み、飲み込んだ。そしてサラダも放り込み、スープで流し込んだ。



常人なら骨が刺さるし、あまり噛まずに飲み込むのは胃腸に悪いらしい。


しかしSランクは歯や喉も強い。その気になれば石だって食える、らしい。



だがせっかくのラティナ姉の美味い料理、どうせなら味わって食べたかったが、今はそんな事してる場合ではない。さっさとここから逃げるべきだ。

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