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16話 異常なおかえり

まだ外は暗いが病院に行き、夜勤の医者たちに俺がレイバーンだとバレて驚かれ、更に腕の事にもっと驚かれた。


俺は小さい魔物に噛まれたと言い訳し、しっかりと手当された。医者は結構な年寄りで、俺に手当してる時も普通にやってたが、看護師は直接手当てに関わっていないのに、クッソ緊張してる。



で、手当てが終わり、医者にはなんと一週間もすれば動くようになると言われた。


どうやら俺の回復力は異常らしい。Sランクになったおかげか。




学園は明日から始まる。


右腕が使えないのは相当目立つんだろうが、もともと目立ってるし問題ない。



まあクロアとラティナ姉の二人が知れば、相当騒がれるだろうな。あいつら心配性だし。



そしてしばらく歩き、遂に到着した。あの貴族から貰った俺の家だ。さっさと朝ごはん食べてもっと寝よう。結構寝たんだけど、まだ寝たい気分だ。


魔力察知により、2人は……俺のベッド? なんで? コーヒーでもこぼしたのか? まあいいや。


2人はどうやら一緒に寝ているようなので、特殊なカギに魔力を込め、静かに鍵を開けた。


「ただいまー」


呟くように言った。


この家防音性能高いし、聞こえてる訳が無いだろう。さっさと朝ごはんでも作ろ。



「「おかえり!」」


「うぉ!?」


2人がほぼ同時に現れた。2階の俺のベットにいたはずが、一瞬で目の前まで来た。


まるでワープしているような速さだったし、声に力がこもっている。だから思わず驚いて、声を出してしまった。



そして顔を見てすぐに気が付いたのが、様子がおかしい。


2人は夜更かしをせず、むしろ夜更かしをする俺を気にかけていた。そんな2人が目にクマを作っていた。しかも相当濃い。


他にも、目はいつもより大きく開いてるし、俺の目をじっと見ている。それに帰って来てもおかえりと言うだけで、わざわざ玄関に来ることなんてない。


だがこいつらは恐らく全力で玄関まで来た。まあしばらく居なかったんだし、心配性な2人ならこんなものかな?



「驚かすなよー。そんな全力で来る?」


笑いながら冗談らしく言ったんだけど、2人に何の反応も無い。まあ雰囲気からしてそうだろうとは思ったけどさ。


「…………」


「おーい、2人ともー?」


俺は左手で、2人の視線を遮るように手を振る。なんにも反応の無い人によくやるアレだ。


右手はまだ動かないから、本来なら両手でやれば良いものを、片手だけで頑張ってる。そもそもこれを2人にやっているのを、俺は見たこと無いのもあるのか、かなり不自然に思える。



「右手どうしたの?」


ラティナもその不自然さに気が付いたようだ。


「魔物に噛まれちまってな。治るのに一週間は掛かるってさ。まあ左手だけでも大丈夫だから、その辺りの事情は心配すんな」


「ちょっと見せて」



服装の詳細に付いては省くが、簡単に言えば長袖長ズボンだ。それもブランド物の結構気に入ってるやつ。


そしてクロアはその右腕の袖を乱暴にまくり、右肩の怪我の痕が見えるようになった。長袖を肩が見えるまでまくって、袖が無事だと思うか?


もちろんそんな事は無く、ビリって言って破れた。しかも恥ずかしくて着れないほどに。



「ちょちょ、もっと優しくしてくれよ!?」


聞いてんのか違うのかは知らないが、クロアが腕や肩の怪我を見て、俺の匂いを嗅いだ。


「待って!? 俺風呂入ってなかった!」


フレイアと寝る間に風呂に入ったが、その後食べられたし激しく運動した。血はポーションで洗い流したのは覚えているが、それでも汗臭さはあるはずだ。


まあ俺みたいなイケメンなら、汗の匂いもたぶんいい匂いだ。俺自身は臭いとしか思ってないけど。



「他の女の人の匂い。そして獣臭い。昨日何してたの?」


自分の匂いはよく分からない。だが他人の匂いを嗅いだだけで、誰と会ったかなんて分からない。体臭とか香水の匂いもあいつには無かった。


「昨日? グランドドラゴンと戦おうとしたんだけど、油断しててその子供に噛まれたんだよ。何故かそれだけで右手が動かなくなったし、焦って手当もせずに帰ったんだ。さすがあれの子供だな。まさかあんな事になるとは思わなかったよ」



グランドドラゴン


巨大なドラゴンで、Sランクの中でも上位の戦闘力を誇る。デカさ故に動きは鈍いが、その分それ以外の能力は高い。だから一撃必殺級の攻撃を避けながら、何時間も掛けて膨大な体力を削らないといけない。


そんな訳で素材は貴族とかが剥製欲しさに、大金で買い取ってくれる。それに俺にとって一番大きいのは、武器の素材になる。ドワーフの爺さんが言ってた。



その事は2人に言ったことがある。だから不自然では無く、むしろごく自然なことだ。



「本当に?」


「もちろんさ」


2人は俺の協力者を見てる時のような、あの軽蔑した目で俺を見ている。なぜそんな目で俺を見るのかは予想できる。


「じゃあその女の匂いは?」


「さあ? てか何だ女の匂いって。昨日話した女は受付嬢ぐらいだぜ?」


どうやったって、フレイアのことはバレる心配はない。たとえ匂いがあろうと、その持ち主がわからないと意味はないだろう。


てかそもそもバレたって良いよな。なんか雰囲気に流されたけど、なんで俺が浮気してるみたいな扱いなんだよ。まず俺誰とも付き合ってないし。嫉妬でもしてるって事か? こいつらが?



「まあ良く分かんねえけど、さっさと朝食食べようぜ? 腕こんなんだし作ってくれよ。スプーンとか手づかみで食えるやつを」


「それもそうだね。じゃあ私が作るよ」」


2人はまだ疑っているようだが、ラティナ姉のおかげでとりあえずこの話は終わりだ。


クロアは活発な、ラティナ姉はのんびり屋。2人はいつもと同じ雰囲気に戻った。



……少しシャワーでも浴びよう。気分が悪い。

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