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二週間と三日後。
あれから、三日間の休みも終わり、更にそれから二週間が過ぎた。
そう、今日は定期試験の日なのだ。
毎日、ルデンは机に向かい、勉強漬けだった。それに対し、俺はずっと暇な日々を過ごしてきた。
問題用紙と回答用紙が全員に行き渡った頃。
「筆記試験~、時間は~五十分でぇ~、それではぁ~始めぇ~」
試験監督は各クラスの担任…。そう言えば、このクラスの担任はラムソゥワンナだったな。ウザったらしいたら、ありゃしない。
ルデンを含め、生徒達は必死に問題を解いていく。
俺は…三十一点になるように計算して解く。別に解かなくても良さそうな問題は飛ばす。
試験問題に配点がキッチリと点数が書かれている。
俺は最初の問題から順に問題文を読んでいった。
『問一 魔法師団団長殿の御実家リヴァーフォールズ辺境伯爵領へ王都から行くには最短で何日位掛かりますか。又、経由する街や村等出来るだけ詳しく書きなさい(五点)』
うっわ。いきなり、コレかい。飛ばす。
『問二 団長殿の書かれた魔法書の最後にある魔法名と魔法属性を答えなさい(七点)』
最後?書き足してはいるのだが…。
確か、《龍炎》が最後に書かれていたとか、最後の方だとか??
まあ、その後に魔法が次々に書き足されているのだが。取り敢えず、《龍炎》と、魔法属性は火と水と書いておいた。
多分、合っているとは思う。さあ、次だ。
***
五十分が経った。
回答用紙だけが回収された。
丁度、三十一点になるように問題を選んで解いてった。解かなかった問題は綺麗なままだ。
筆記試験の後は実技試験があるが、その前に休憩を挟んでいる。
「ねぇ、アヴィル」
「何だ?」
「最後の問題、難しくなかった?」
「最後の問題?」
「ほら、あの、《身体強化》の魔法陣をより効率的に且つより強力に書きかえる問題」
最後の問題まで見てないな。
最後まで見てから答える問題を決めるつもりだったが、普通にそう言うことをするのがめんどくさくなった。途中で三十一点になった為、その後は寝ることにしたのだ。
俺は問題用紙の最後を確認する。
最後のページには、問題と基礎中の基礎しか書かれていない《身体強化》の魔法陣のみ書いてあった。
「これは、こうするんだ」
「は?」
「は?じゃないから。答えを書いただけだから」
「答え??これが?」
「そりゃそうだろ」
「これ、答えじゃないでしょ?魔法陣に上から大きく×して、隣に『←コレは要らん。イメージだけしてろ』って」
「効率を考えるならば、魔法陣は先ず要らない。てか、邪魔。前にも、言っただろう?魔法陣はイメージをメモしただけだ、と。イメージし直せば、威力も上がる。問題の魔法陣より効率的且つ強力になるだろうが」
「あ…」
「次はぁ~、実技試験だけどぉ~?二人はぁ~、移動しなくてぇ、大丈夫ぅ~?」
ラムソゥワンナが俺達に声を掛けてきた。
周りを見れば、皆、既に移動していた後だった。まだ、時間的には余裕はあるが。
「今、移動しますっ!ねっ!」
ルデンが俺の腕を引っ張る。
「まだ、急がなくても間に合う…」
「余計な事は良いから!」
そのまま、引っ張られる様にして、実技訓練場まで辿り着いた。
まだ時間は十分にあるが、一学年の生徒全員が集合していると見られる。他の学年は、この時間は待機となる。
『全体集合の五分前だが、全員揃っているとは今年の一年は素晴らしい!さて、今回の実技試験総監督は、このフレーディン・ラインブレインが務めさせて貰う!これから行う事を説明していくからな!』
フレーディンが説明していった事を簡単に纏めるとこうだ。
・学籍番号順に試験が行われる
・魔法は上限三回まで発動し、加算する
・どの魔法属性を使用しても構わない
・実技教科と同様に的に狙って魔法を放つ事
生徒達は動き出した。
学籍番号順に試験を行うが、基本はクラス単位の試験なのだ。俺達のクラスが行う場所に移動した。正確にはルデンに引っ張られて、だが。
そして、実技試験が始まっていった。
***
ルデンSide
「それではぁ~、先ずぅ~、'sk395001'番ヴィールデンタータ殿下からぁ~。どぉ~ぞぉ~」
「はい」
僕の学籍番号は学年だと一番最初。
僕は一旦、深呼吸をして一回目の魔法を発動させる事にした。
「光の精霊よ、我に力を。《雷撃》――!」
「凄いわぁ~、殿下ぁ~」
先生が褒めてくれるのは有り難いが、僕はこれでもまだまだだと判っている。否、アヴィルやメルヴェル殿と生活してて、感覚が鈍ってしまっているのかも知れない。
僕は一人三回まで魔法が発動出来る事を利用して、後二回撃つとしよう。
「いえ。一人、三回まででしたよね?」
「ど、どぉ~ぞぉ~…」
「有り難うございます。では、いきます。…風の精霊よ、我に力を《風神》」
この間の選考大会で発動させた時に比べれば、楽に発動させられる。魔力は十分にあるから。
周りの皆を暴風に巻き込ませないよう、的だけを狙い定めて放った。
そして、三回目の魔法は二週間の短期間で新たにアヴィルから習った魔法。狙いが途轍も無く難しい。
「火の精霊よ、我に力を《灰海》」
本来なら、的の中央を狙うべきなのだが、的の下辺りを狙って放った。
アヴィルは、その中央の一点だけを灰にする事が出来ると言っていた。が、僕はまだ実力が不十分と言う事もあり、的全体から中央を狙った結果、的の下辺りになった。
短い練習時間で成功が一回か二回、片手の指で数えられる程にしかない。
事前に試験で撃つ事をアヴィルには話してある。仮に失敗して誰かを灰に変えてしまわない様にと。一応の保険はあるつもりではいる。
――――――。
発動を止め、成功を確認した。
見事に的が有ったであろう場所に、灰が積もれている。失敗しなくて良かった…。
「先生、終わりました」
ラムソゥワンナ先生に声を掛けて、僕の実技試験終了を報告しよう。
「はっ…」
「先生?」
「い、いぇ~?何でも有りませんけどぉ~?…強いて言うならぁ~?殿下ぁのぉ~、魔法にぃ~、驚いてぇ~居ただけぇですぅ~」
「有り難うございます」
「とんでもぉ、ございませんわぁ~」
これで今回の試験は終了した。まだ、終わっていない人の方が多いけれど。
僕は列の後ろに行く。別に行く必要は無いけれど、そこにアヴィルが居るからね。
***
実技試験を終えたルデンがこっちに向かってやって来た。
「ねぇ、僕の魔法どうだった?」
「よく頑張ったな」
「えー?それだけ?」
「じゃあ、詠唱無くせ、って言えば良いのか?」
「それは流石に無理だよ…」
今のルデンは、当時のヴァールデンと今の教師共を既に超えてるだろう。
風属性魔法の《風神》に火属性魔法の《灰海》を発動成功させてしまったんだから。
卒業する頃には、メルヴェル達と同様に詠唱を一語で唱えられる様になってたりするかも知れない。
「そう言えば、アヴィルは何の魔法をやるの?」
「そうだな…《雷撃》は辞めて、《火の粉》、《雫石》、《微風》をやろうと思っている」
「最初、全て先生に失敗して見せた魔法だね」
「次はぁ~、'sk395101'番アヴィルくん~。どぉ~ぞぉ~」
ルデンと会話している内に、俺の番が回ってきた様だ。
よし、やるかぁ…詠唱って、本当にめんどくせー。
「えーっと、火の精霊よ、我に力を…(だっけ)《火の粉》」
今回は全ての魔法を発動成功させておくことにするとしている。
発動はしたが、的に届くこと無く消えた。
まあ、魔法の痕跡位は解るだろう。失敗はしてないのだから。
続けて二回目と三回目の魔法といくか。
「水の精霊よ、我に力を《雫石》――風の精霊よ、我に力を《微風》」
《雫石》は水の雫が一滴、指先から垂れた程度で、的に届く事を知らない。
《微風》はギリギリ軽く風が的に触れた程度だろう。
「練習したのねぇ~、よく頑張ったわねぇ~」
軽く頭を撫でられた。
滅茶滅茶ムカついた。平常心が大事とはこの事かと思った。この辺一帯が塵と化す事だろう。落ち着け…俺。
解放され、ルデンの元に戻る。
ルデンが何故か、にやついていた。
「どうした」
「あー、いや?」
絶対に先程のラムソゥワンナに頭を撫でられた所を見られてただろうな。それで…。
『時間内に全員が終了するとは、いやー、今年の一年はやっぱり素晴らしい!実技試験終了にて各自解散とし、寄り道をせず、速やかに各自寮に帰る事!以上!解散!』
この実技訓練場内にフレーディンの声が鳴り響いた後、生徒達は各々で直ぐに散って行った。
この後、二年生が入れ替えで入ってくるのが分かっているからであろう。これから、二年生の実技試験がこの場で行われるからである。
ルデンと俺は、フレーディンが指示した通りに寮へと帰った。俺にとっては何処か気に食わない所が多少、有った気がするのだが。
寮の部屋には現在、カロサだけしか居なかった。
そりゃそうだ。普通の日に仕事をしているメルヴェルが普通に居たら、大問題だ。
「二人とも試験お疲れ様。これから、お昼作るから待ってて」
「手伝います…!」
「良いのよ、試験で疲れてるでしょ?《風神》とか《灰海》とか使って、魔力がほぼ空で少し怠さもあるでしょう?」
「全てバレて…アヴィル言った?」
「その短期間で言ってたか?お前の目の前で。怠いなら怠いと言えばいいものを…」
「逆にアヴィルくんに手伝って欲しいくらいなのよー?魔力の減りが全く無いアヴィルくん?」
「断る」
「言うと思ってたわよ、はぁ」
カロサはキッチンへと向かい、昼食を作りに行った。
「後もう少しで長期休暇だよ」
「それくらいは知ってる」
「つまり、後もう少しで合同特別魔法強化訓練だよ」
「ヘェー、ソレハシラナカッタナー」
マジで知らなかった。後でメルヴェルに聞く必要が有りそうだな。
ここまで読んでくださり有り難うございます。
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遅くなってしまいすみませんでした




