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 フレーディンとの決闘した日の翌日。今日も一日中、実技教科だ。

 見たところ、フレーディンは気を取り戻し、普通に行動出来ているようだ。まあ、そりゃ、《超回復》を掛けてやったしな。治ってなきゃ、困るわ。

 一時限目の今、俺はルデンのルーティンで風属性の所に居る。

 ルデンは風属性魔法を練習している。それを、俺は見ているだけ。


 「それで、君は何故、今日も練習しようとしない?」

 風属性を担当している教師に言われた。

 「必要性を感じられないからだ」

 「必要性って…じゃあ、何で君はこの学校に入ったのかな?」


 理由としては、ルデンの護衛だからだが、それを正直には言えないからな。

 いつも通り、適当な理由でも見繕うか…。


 「学校と言うものは、学びながら成長し、その過程にて必要性などと言ったものを見出だす事を手伝う機関だろう?」

 「うーん…まあ、そんな感じだろうね」

 「教師であるお前が、俺に必要性を見出だせられれば、多分、練習するだろう」

 「…先生に対して、お前は失礼だとは思わないのかな?」

 「思った事は無いな」


 残念ながら。


 「あはは…」


 教師は口喧嘩(?)に負け、俺は授業をずっと見学していた。





 二限目。火属性。

 フレーディンは明らかに俺に対しての態度が激変していた。


 「えっと…あれほどになる魔法をお使いになられる貴方は何故、魔法を発動させないのでしょうか…?」


 俺にビクビクしながら話掛けて来た。まるで、五十()年ぶりに会ったガードラーレの様に怯えている。


 「生徒は勿論、お前ら教師共にも俺が魔法を使えると言うのを隠しているんだ。つまり、何と言いたいのか判るよな?」


 フレーディンを脅してみた。


 「つまり…?」

 「黙れ、と言う事だ」

 「ヒイィィィッッ!!」


 完全にひれ伏している。




 フレーディンが俺を見る度に震えていた。

 本日火属性二度目となる、五限目も同じ様に震えていた。震えに関しては、リダルンディと似てた。

 光属性に関しては、特にこれと言った様な事は無かった。





 放課後。

 いつも通りにルデンの魔法を見ている。

 今日から本格的に対人戦の練習をする事になった(ルデンの強い希望により、仕方無く)。

 地属性魔法の《土人形(ゴーレム)》を、本物の人間に寄せ(サイズも)、戦わしている。

 俺はゴーレムの操作はしない。自動操作(オート)機能を付けて、更には魔法までランダムに発動する、本当に人間と見間違うようなゴーレムに仕上がった。


 「光の精霊よ、我に力を《雷撃》!」

 『《障壁》《避雷針》』

 「うぐっ…ひ、光の精霊よ、我に力を《回復》!風の精霊よ、我に力を《つむじ風》!」


 ゴーレムの態勢が少し崩れる。


 (よし…!このまま畳み掛ける!)

 「火の精霊よ、我に力を《火の槍》!」

 『…』


 ゴーレムと戦わしてから、三時間でやっと倒した。強さレベルは、大体俺の普通時の五パーセント位なのだが。


 「お疲れ」

 「はあはあ…」


 息切れしている。見たところ、魔力も残り後わずかな様だな。


 「終わりましたか?」

 「今、終わったところだな」


 俺はゴーレムの残骸を《魔法削除》で消す。ゴーレムは、魔法で創られた物だから簡単に《魔法削除》で消せる。


 「それでは、ご食事の方を並べさせていただきますね」


 メルヴェルは、夕食を並べていった。

 その間、ルデンは息を調えている。


 「そう言えば、アレって後何日位なんだ?」

 「あ、アレって…?選考大会のこと?」

 「ああ、それそれ」

 「多分、三週間後だと思うけど?」

 「…三週間もあるのかよ」


 合同特別魔法強化訓練に参加する者を選考する為の大会が三週間後に迫っているらしい。が、俺にとってはどうでも良い事だし、早く終わってほしいと言うのが俺の気持ちだ。


 「魔法の指導、引き続き宜しくね」

 「はいはい」


***


 学校の寮のとある生徒の部屋。


 「後三週間か…」

 「オレ達が優勝して…」


 彼らは三週間後に迫る選考大会に向けて、何やら作戦を練っている様であった。

 この二人は、一学年の四席と五席の成績を修めている。しかし、合同特別魔法強化訓練の参加が認められるのは、各学年上位三名のみ。彼らではギリギリ届かないのだ。

 だからこそ、二人で参加出来るように入念な作戦を練り、鍛練を怠らなかった。


 「絶対に勝つぞ」

 「ああ!」


***


 マリアンローナSide


 私の祖父はとても強い人。私の知る限りでは。

 私が幼かった頃、そんな強い祖父に憧れを抱いていた。

 今は引退しているけれど、かつては筆頭宮廷魔法師だった。

 祖父は言った。


 「マリア、私だけを追い掛けてはならない。私なんかより比にならない位に強い人なんかザラにいるからね」と。


 この国立高等魔法学校に入学する五、六年前の話になる。

 祖父はこう続けて言った。


 「今、行方知らずとなった魔法師団の団長殿には一度も勝ちはしなかった。マリアが強き者に憧れを抱いているのは知っている。憧れの目は、私ではなく団長殿に向ける方が良いだろう」と。

 「そんなに強い人なの?」と、祖父に聞いた。

 「ああ。メルヴェル殿の全力でも圧勝するほどに」と答えていた。


 見た事がなく、半分くらいは信じていないが、この国の魔法師の中で頂点に立ち、当時憧れていた祖父にあれだけ言わせているのだから、本当に強いのだろう。



 それから半信半疑ではあるが、その団長殿に憧れを抱く様になった。

 団長殿の偉業は調べていくと、祖父の話は本当で、更には色々な魔法を創り出したりしていた。様々な勇姿を描かれた伝記も沢山あった。

 それで、顔知らぬ団長殿に強く憧れた。




 今年、国立高等魔法学校に入学した。毎年、この学校と魔法師団が手を組んで、合同特別魔法強化訓練を行っているから。

 運が良かったのか分からないが、今年は行方知らずだった筈の団長殿直々に指導が受けられると言う。

 私は、三週間後に控える選考大会に学年トップスリーを目指さなければならない。確実に。

 放課後は自分のMr(魔法耐性)を担当する先生方の研究室に通い、寮の門限前ギリギリまで学校に残って、魔法を磨いている。


 それはそうと、最近、私のクラスに編入生が来た。この学校の入試の偏差値が馬鹿に高いのにも関わらず、編入生が来た。

 その編入生は、素行不良生徒且つ極悪犯罪者。

 編入一日目は一日の授業を寝て過ごし、二日目三日目は無断欠席、四日目は何と彼の団長殿の魔法書に落書きをしていた。何処で手に入れたかは分からない。

 あの者は団長殿の物に落書きをした事実は変わらない。


 ―――ああ、早く処刑されてしまえば良いのに。


***


 カロサSide


 私がアヴィルくん達に置き手紙をして、去ってから何れくらいの日にちが過ぎたのだろう?

 漸く、やる事が今のところ全て終わったから、アヴィルくん達の元へ早く速く戻りたい。

 嬉しいニュースと悪いニュースを話す為に。両方とも結構、重要だったりする。


 「――おや、もう降りるのですか?」


 神王代理、安眠の男神キアガーフに声を掛けられた。無視してはならない。


 「ええ。彼との約束をまだ果たしておりませんので」

 「彼…と言うと、人間族のアヴィルですね?」

 「貴方様もご存知なのですね」

 「いえ、名だけしか存じ上げてないですよ」


 名前だけ…。


 「一度、会ってみたいですね、彼に」

 「ここに連れてこいと仰有っていますか?」


 安眠の男神キアガーフは軽く頷いた。


 「ここは神共が住まう地。彼がここに来るのなら、彼は神格化することになりましょう」


 神格化とは、神になる事を言う。

 今現在、存在する神達の大半が人間など神ではない者が神格化し、神となっている。そして、少数ではあるが、元から神である者も存在する。

 それは、私や目の前に居る安眠の男神キアガーフ、そして、神王が当てはまる。神王代理に選ばれる条件として、元から神である事が当てはまらなければならない。

 ここは私達神が住む地。例え、アヴィルくんであろうとも、人間は辞め、神格化して神にならなければ踏み居ることは出来ない。連れて来たいのなら、アヴィルくんを神格化する必要がある。


 「ただ…」

 「ただ?」

 「彼は、人間であることに拘っていますから。簡単には神格化を受け入れないでしょう」

 「そうですか。なら、自分自身で会いに行くとしましょうか。それとも、自分を祀ってくれている所の巫女に会いに来て貰いましょうか。どちらが、良いと思いますか?召還の女神カロサモンティスよ」


 会いに行く!?態々、一人の人間の為に…何故、代理とは言え、神王が…。


 「どうしました?」

 「あ、…いえ、何でもありません。私は貴方様のお好きな様にされても良いと思います」

 「では、会いに来て貰う事にしましょう。引き留めてしまい、すみませんね」

 「謝罪する必要はありません」

 「そうですか」

 「はい。それでは、これにて私は失礼致します」


 私は軽く礼をし、アヴィルくん達の元へと向かった。


***


 ルデンが就寝した後、部屋にヴァールデンがやって来た。


 「アヴィルに伝えとかなくてはならない話がある」

 「手短に済ませ」

 「ああ、そのつもりだ。三週間後に行われる、選考大会は特にルデンに目を見張れ」

 「魔族の襲撃でも予言しているかの様だな?」

 「この学校内に魔族…或いは、内通者が居るとの情報が入ってな。襲撃をするのならば、選考大会当日だろう」


 内通者が居るのか…この学校に。


 「じゃあ、何故、ここに通わせ続ける?」

 「ルデンだけを休学にする訳にもいかないだろう?」

 「まあ、そうだな」


 ルデンを休まし、王宮に帰らすのなら、俺は通い続ける必要は無くなる。


 「同時期にアヴィルまで休学になってみろ。めんどくさい事が起こるぞ、きっと」

 「あー、確かに、何かめんどくさい事が起こるかも知れないな」

 「それじゃ、頼んだぞ」

 「…」


 ヴァールデンは、王宮へ帰っていった。

 いつも以上に警戒をしていろ、と言って。

 魔族、内通者が襲撃するとして、生徒なのか教師なのかが判らない。ルデンが誰かと対戦中だったら…。

 俺は静かにルデンの眠る隣へと行き、就寝する事とした。

ここまで読んでくださり有り難うございます。

誤字脱字の指摘、感想、ブックマーク、評価、レビューをくれると幸いです。


***


次の更新は3月2日です。


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